SNN #01-3

SUCCESS NET NOVEL #01

2023年4月   なろう等のネット小説で諸々成功した作品   愛及屋烏

ナイツ&マジック

Continuation from last page. 01-2 https://no-value.jp/column/38355/

百年の停滞から解き放たれた幻晶騎士開発

幻晶騎士の機関構成は生物機能の単純模倣と呼べるものであり、大気中のエーテルを魔力に変換する半永久機関である魔力転換炉(エーテルリアクタ)を原動力とし、メインフレームに相当する金属内格(インナースケルトン)に駆動系とコンデンサを兼ねる結晶筋肉(クリスタルティシュー)を全身に張り巡らせ、外装(アウタースキン)を着せることで形作られる。


機体の制御はコンピュータに相当する魔導演算機(マギウスエンジン)が担い、騎操士(ナイトランナー)が操縦席で機体を操作すると、それに対応した術式が結晶筋肉を駆動させ、機体を動かす。
金属内格・結晶筋肉・外装は消耗品故に量産が効くが、大型のパーツを一体形成する工業技術が無い為、細かいパーツを強化魔法で結合させる事でパーツを製造しており、強化魔法を維持する魔力が途切れれば機体は最小単位に分解・自壊してしまう(ただし、魔力転換炉に組み込まれたリミッターによって維持に必要最低限の魔力は放出されないようにしており、滅多な事では自壊する事は無い)。


また魔導演算機と魔力転換炉は国家機密級の技術のため、漏洩・拡散を防ぐ目的でブラックボックス化しており、機体の高コスト化を招いている。特に魔力転換炉の製造方法は厳重に秘匿されており、その製造方法や生産拠点を知るのは国王と一部の重鎮のみである。
武装は人間の振るう剣や槍などを幻晶騎士用にスケールアップした物や、戦術級魔法(オーバード・スペル)と呼ばれる大規模魔法を行使する為の魔導兵装(シルエットアームズ)を使用し、内蔵火器などは基本的に存在しない。

幻晶騎士は量産化されてから今日まで数百年単位にも迄ぶものの、その設計は骨格の再設計や結晶筋肉の配置転換程度のものが殆どで、その根本的な性能は数百年間変化がない。
これは幻晶騎士が「人体の模倣・人体の延長線上のもの」という常識が長い歴史の中で定着し、筋肉の組み方を変えたり、手足を増やしたりといった人体から逸脱した姿にするという発想がなかったためである。
それ故に革新的な技術や新型機は数百年に1度程度にしか作られなかったが、エルネスティ・エチェバルリアの登場によって転生前の世界の兵器の概念や発想が導入され、劇的な変化を遂げることになる。

テレスターレ

エルが中心となって改良を行った新型機のプロトタイプ。

素体としてはベヘモス事変で大破した実習機のサロドレアが使われているが、既存の機体とは基本構造からして異なっているため、パーツの共有率は二割にも満たない。

綱型結晶筋肉(ストランド・クリスタルティシュー)の採用で出力が従来機の1.5倍、筋肉の耐久性に至っては10倍に上昇し、補助腕(サブアーム)を用いた背面武装(バックウエポン)システムの追加により攻撃力が強化されている。

その一方で、向上した出力と魔力を食うデバイスが増えたことで連続稼働時間が半分ほどにまで低下。魔力貯蔵に特化した板状結晶筋肉の採用である程度は対応したものの、機体重量増等の問題もあり完全な解決には至っていない。

他にも、操作系の調整を後回しにした為、出力に振り回されて安定しない劣悪な操縦性と化しており、大きな課題として残されていた。最新鋭機開発の為に国機研に開発が移譲された際に、これ幸いとこの課題は丸投げされた。

綱型結晶筋肉と背面武装を用いた機体群の原点であり、後に他国の機体でもこの形式のものは東方様式(イースタン・モード)と呼称されるようになる。

ツェンドルグ

銀鳳騎士団が幻晶騎士の移動能力強化を目的に開発した、人型の上半身と馬型の下半身を持つ人馬騎士と呼ばれるケンタウロス型幻晶騎士のプロトタイプ。

後にこの機体の設計はシルフィアーネにも流用された為、飛翔騎士の祖であるとも言える。並外れて大柄な体躯のために通常機の倍以上の重量をもつが、その分多量の綱型筋肉結晶や蓄魔力式装甲を積んでいるため魔力容量と出力が高い。

操縦に要する術式が未完成であるため、動かすためには上半身と下半身をそれぞれ操る騎操士が2名必要であり、史上初となる2人乗りの操縦席が取り付けられた。

実働試験を行いながら術式を最適化していき、いずれは一人乗りにというのが当初からの予定だった。

主な装備は長大な斧槍と先端が尖った縦に細長いランス代わりにも使える盾で、突撃の際の槍の保持を補助する固定具が下半身に付けられている。また、軽量化のために装甲を薄めにしている下半身の防御力をカバーするために、可動式追加装甲と同じ機構を持つ可動装甲が機体そのものに組み込まれている。機動時にはこの可動装甲をカウンターウェイトとして用いる事で、騎馬では考えられないような驚異的な旋回機動を見せる。

銀鳳騎士団のお披露目を兼ねた模擬戦では、アーキッドとアデルトルートの双子を騎操士に据えて使用され、人間の歩兵と騎馬の比較に倣い戦力比を3対1とされた。模擬戦後は、制式採用機である単座式のツェンドリンブルの量産が開始された為、登場しなくなる。

その移動能力に支えられた運搬力や機動力、突撃力は従来の常識を覆すものであり、専用に作られた荷馬車を牽いて人員や幻晶騎士を速やかに遠距離まで移送でき、3式装備『戦馬車(チャリオット)』を用いた時には絶大な戦力を誇る。本体性能も言わずもがなであるため、オプション装備分離後もそのまま騎馬隊の如く戦闘に参加し敵を駆逐できる。特に幻晶騎士の運搬面での効果は大きく、従来は自走させるもしくは部品にばらして馬車により時間を掛けて遠距離移送していたものを、完成状態の複数騎を一気に高速運搬可能というのは画期的なものであった。

システム的に二人乗りが強くなるのが良かったのか、スパロボ30ではこちらで参戦している。

トイボックス

国から新たに給与されたカルダトアをテレスターレ仕様に改修した機体のエル機。

元は魔導噴流推進器の実験失敗により大破したカルダトア。カラーリングはアニメ版は青。

修理されて以降も実験台として酷使され続け、一度はあまりにもガタが来たために、修理ついでに全面改修されテレスターレとなった。アニメ版では御前試合の時点でトイボックスと呼ばれている。

魔導噴流推進器の仕様が大きく変更されている。肩部と腰部に魔導噴流推進器を内蔵した可動式の装甲を有する(アニメ版では脚部や背部にも推進器が搭載されている)。この魔導噴流推進器は改良型であり、加速に際して機体が一歩踏み出すごとに小刻みに噴射することで消費魔力の軽減を実現している。可動式であることを活かし、噴射のベクトルを変更することで回避運動や制動にも利用可能だが、制動には長時間推進器を噴かさなければならず、結局のところ消費魔力の大きさは相変わらずである。魔導噴流推進器に限らず、エルが思い付きで造った様々な装備品の実験台にされており、それを見た団員達から「エルの玩具箱(トイボックス)」という名を贈られ、正式にエルの専用騎として扱われることとなる。

機体の欠点たる燃費問題への対策として「炉(エーテルリアクタ)」を2つに増やす」という無茶な改造を行った結果、2つ目の炉を始めとする後付け部分が騎体構造に余計な負荷を与えており、強化魔法に回す魔力が増大してしまっている。それでも魔力供給量は増加した為、燃費問題はある程度の解決を見たが、機体バランスの悪化などを考慮すると全体的な性能はテレスターレを下回っている。立ち位置としてはイカルガが完成するまでの繋ぎの機体であり、戦場に出たのは女皇殻獣との戦闘のみである。

アディとの新婚旅行時には、カルディトーレをベースにした新婚旅行専用騎・トイボックス(Mk.2)が登場している。

カルディトーレ

カルダトアの後継となるフレメヴィーラ王国の最新鋭制式量産幻晶騎士。

模擬戦での結果を経て、先行試作機のカルダトア・ダーシュをベースに再開発された。

銀鳳騎士団のテレスターレに使われた各種新技術と、国機研の王国伝統技術による協同製作の集大成として、良好な操縦性と高い攻撃力がバランスよく両立した破格の高性能を有する傑作機となった。

模擬戦で披露された選択装備にも対応しており、様々な局面への対応力がかなり高い。テレスターレ系統の一番の課題だった稼働時間も、実用化に至った『容量特化型』の結晶筋肉を用いた蓄魔力式装甲の採用で解決されている。

この機体の登場で国内の対魔獣戦において多くの余力が生まれ、配備計画が見直された事で生じた余剰魔力転換炉はツェンドリンブルの量産に回された。

先行量産された機体は銀鳳騎士団に優先配備され、中隊旗機のカスタム機のベースになった。

ゴルドリーオ(金獅子)/ジルバティーガ(銀虎)

カルディトーレをベースに開発した王族専用機。
エルが先王アンブロシウスとその孫エムリスの依頼で創り上げた機体で、外装は異なるものの性能的には同一の兄弟機。


エムリスの要望で出力・膂力に特化(ティラントーと対等)した仕様となっており、同時に王族の専用機という事で最高級の部品を使用している為耐久性・機動性も高い。
また切り札として、両肩と背面(アニメ版と漫画版では両肩と膝)に「獣王轟咆(ブラストハウリング)」と呼ばれる連動型の魔術兵装を持つ。燃費こそ悪いがその威力は絶大で、劇中では幻晶騎士の体当りに耐える門を内側ごと吹き飛ばしている。

web版で更新中の新章では銀虎が参戦し、エスクワイア・イーグルによって強化された「真(マッシヴ)・獣王轟咆」を披露している。

スパロボでは金獅子が自軍に加入。
獣王轟咆が射撃武器とMAP兵器版でそれぞれ実装され、前者は射程距離の長さ、後者は広範囲で使い勝手が非常に良い為、戦線系ミッションなどではそれを活かして資金稼ぎに打って付けなMAP兵器の鬼と化す。

イカルガ

エルネスティ・エチェバルリアが自身の専用機として開発した幻晶騎士。エル的にはメインヒロイン。

銀鳳騎士団の旗機でもあり、エルがこれまでに入手した知識と、発明した技術が投入されている。

日本人としての記憶を持つエルの意向から、鎧武者を象った外観をしており、頭部も怒りの形相を浮かべた仮面が取り付けられている。背中から伸びる四本の副腕「執月之手(ラーフフィスト)」を備えた姿とその仮面の形相から、敵からは「鬼神(鬼面の死神)」の異名で呼ばれている。

魔力転換炉にはエルが撃破した大型魔獣「陸皇亀」と「女皇殻獣」の素材を利用した「皇之心臓(ベヘモス・ハート)」と「女皇之冠(クイーンズコロネット)」が搭載されており、他の幻晶騎士と比較にならない程の高い魔力出力を誇る。

また、推進機関として可動式の「魔導噴流推進器(マギウスジェットスラスタ)」を装備。

高出力とジェット推進の合せ技により、イカルガは幻晶騎士単体での飛行が可能な初の機体となった。普段は莫大な出力の大半を、飛行可能な程の機動力に回している為、これを攻撃に割振ると桁外れの火力を出すことができる。

大出力・高火力を有する反面、あまりにも複雑かつピーキーな機体へと至ってしまった為、従来の制御機構では追いつかず、小型の魔導演算機が複数搭載され、エルによる直接制御と、エルの前世を反映したキーボード状の操鍵盤による操作によって初めて運用が可能となる。

その性質上、性能をフルに発揮できるのはエルただ一人のみであり、「地上最高の戦闘力を持つ、史上最高の欠陥機」とも呼ばれる機体に仕上がった。

何をトチ狂ったのか抱き枕カバー(裏面は外装を外した全脱ぎ)が存在しており、描いた漫画作画の加藤も初めて担当した抱き枕カバーがまさかのロボで驚いている。アニメ公式からエルのカバーが出ているが、冷静に考えると、そもそも男子だし。

最新のweb連載では、敵性存在に寄生されてガチでラスボスになりつつある。

to be next page. 01-4 https://no-value.jp/column/38460/

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愛及屋烏

ゲーム好き、小説好き、アニメ好き、三役揃いの物書きの端くれ。 ピンチに陥っても、それはそれで気楽にやるタイプ。 ●好きな言葉:続編・クロスオーバー・オールスター・アンサーソング・データ引継ぎ ●好きなゲーム:DQ・軌跡&イース・スパロボ・ゼルダ・神宮寺・逆裁・ラチェクラ ●好きなサブカル:ロボ全般・特撮全般・少、青年誌系 ●好きなドラマ:科捜研・相棒・CSI・キャッスル・十津川警部・赤い霊柩車 ●利用ソシャゲ:へプバン・ギアスロススト・Dr.STバトクラ・シンフォギアXD・スパロボDD・うたわれLF・ギター少女・勇者の飯 ●経歴:宮城出身、30代、なろう出版経験有 ●現在:脳梗塞療養にともないリハビリ&失業中

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