~中世・ルネッサンス時代の音楽~
今回はキリスト教の聖歌についてご紹介したいと思います。
キリスト教では、歌うことが大切にされています。
聖書には「詩と賛美と霊の歌をもって、互いに語り、主に向かって、心から歌い、賛美しなさい。」(エペソ5:19)とあります。
聖書にしたがって、ミサや礼拝の中で歌は重要な役割を占めています。
今回は中世(7世紀~14世紀)・ルネッサンス時代(14世紀終わり~16世紀末)のカトリック教会で用いられた聖歌についてお話します。
グレゴリオ聖歌
まず、主に9世紀から10世紀にかけて発展したグレゴリオ聖歌をご紹介します。
それまでいろいろな教会で歌われていた聖歌を、教皇グレゴリオ1世が編纂したということからこの名前がつけられました。
グレゴリオ聖歌は、単旋律(ハーモニーがない)で男声1部で歌われることが特徴です。
それまで口伝でつたえられていた聖歌でしたが、ネウマ譜という記譜法が9世紀から11世紀にかけて発展し、記録されるようになり伝承されるようになりました。
(ネウマ譜)
声部の発展
単旋律のグレゴリオ聖歌でしたが、徐々に発展していくなかで異なる音程で重ね合わせていくようになり声部が発展しハーモニーが生まれます。
ジョスカン・デ・プレ(1455~1521)「アヴェ・マリア」
この曲は2声になっていて、輪唱のように似た音程を追いかけっこのように歌い、ハーモニーを作っています。
オルランド・ディ・ラッソ(1532~1594)
先ほどのジョスカン・デ・プレから時代が進み、たくさんの声部で歌われています。
この曲は10声なのでとても豪華です。
まとめ
このように徐々に和声を重視した多声音楽が発展し、のちのバロック音楽につながっていきます。バロック音楽は現代の音楽の基盤にもなっており、現代の音楽ともつながっていると思うと興味深いですね。
とても美しくゆったり静かな音楽なので、リラックス効果もあり心を平安にしたいときもおすすめです。
読者の皆様も一度聖歌に触れてみてはいかがでしょうか?