中世ヨーロッパの音楽観

【3つのムージカ】

古代ギリシャ時代には音楽には3つあるという風に考えられていました。

音楽が3つ?

どういうことなのでしょうか?

3つのムージカという考え方で、音楽を3つのタイプに分類していました。

①「ムージカ・ムンダーナ」

「宇宙の音楽」を意味するもので、天体や地球が作り出す音楽で、これは耳に聞くことができない。

②「ムージカ・フマーナ」

「人間の音楽」。人間の精神及び肉体、マクロコスモスを律する音楽で、これも耳に聞くことができない。

③「ムージカ・インストゥルメンタリース」

「耳に聞くことの出来る音楽」。現代の私たちのいう「音楽」。

     

という3つの分類です。

要するに、「天体や人間の秩序に音楽が根本的にかかわっていて、神の秩序や摂理を証するもの」という考えです。

現代の私たちにはちょっとスピリチュアルな感じが強すぎて???という感じですが、下記に専門の本から引用すると、

「このような音楽観は古代ギリシャだけでなく、中国やインドにもあったようで、古代ギリシャから中世ヨーロッパに継承されて、キリスト教教会の音楽に対する基本的な姿勢になっていた。(中略)このような考え方から、音楽はキリスト教徒にとってもっとも重要な芸術とされて、人間が神に祈り、神に賛美するためには、美しい絵画を描くより、壮大な建築をきずくより、まず音楽をささげるのが適切とされた。」とあります。           

(出典:「中世・ルネッサンスの音楽」皆川達夫」)

ヨーロッパの音楽の歴史をひも解いていくと、キリスト教の教会音楽が音楽の発展に大きく貢献しているのがわかりますが、こういった理由があったのですね。

まとめ

ほかの宗教では音楽を「人を堕落させるよくないもの」として忌避しているところもあり、

そういった意味でヨーロッパの音楽が現代まで大きく発展したのには、キリスト教の影響もかなりあったのではないかと思います。

最後に、「3つのムージカ」が信じられていた頃のおすすめの楽曲をご紹介します。

イタリアの作曲家、フランチェスコ・ランディー二(1325頃~1397)の「L’Alma mia Piange」です。

とても自然的な美の世界が印象的です。

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yukinco

好きな音楽についての記事を書かせて頂きたいと思っています。 興味の方向があちこちに飛ぶタイプなので、ジャンルなどは脈絡はないですが、あまり知られていない分野が多いので少しでも関心を持って頂ければ幸いです。 よろしくお願いします。

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