SUCCESS NET NOVEL #02
2023年5月 なろう等のネット小説で諸々成功した作品 愛及屋烏
薬屋のひとりごと
前述
ネット小説全盛期は過ぎた感はあるが、戸口は広がり、
作品人口は拡大を続け、玉石混合の魔境である。
単純に出版小説としての成功、コミカライズ、アニメ化と成功のポイントは
多岐に渡るが、その中でも特に全局面的に成功した作品を紹介したい。
自叙
名探偵コナンの99巻の巻末の探偵図鑑で紹介され、俄かに話題になった主人公の猫猫。
なろう小説の中でも医療ミステリ×中華系王宮という独自のポジションを構築している。
職業系かつ、恋愛方面には中々発展しない女主人公というのも珍しい。
概要
『薬屋のひとりごと』は、日向夏による日本のオンライン小説、ライトノベル作品。
内容は中華風の帝国を舞台に、後宮に勤める薬師の娘「猫猫(マオマオ)」が、その知識を基に謎の宦官・壬氏と共に王宮で起こる事件を解決していく、中華・後宮ミステリー×ラブコメもの。
事件一つ一つのエピソードそのものは短編に近く、あまり複雑な事件では無いことが多いが、それらが実は裏でつながりを持っており、全体として見ると大きく複雑な事件や陰謀となっている、というような展開が多い。
2011年10月に小説投稿サイト「小説家になろう」で連載が開始され、人気を得た事から第1部「後宮編」が2012年に主婦の友社の「Ray Books」レーベルから単行本として発売された。
なろう黎明期から連載が続いており、昨今の並みのファンタジー系なろうよりも先達であるがアニメ化には至っていなかった。
その後、同社(2018年11月以降はイマジカインフォス)で刊行されたライトノベルレーベル「ヒーロー文庫」で2014年に第1部が新装刊され、以後継続されて発行されている。
イラストはしのとうこ。2023年4月時点で既刊13巻。 書籍化された後もwebの方は削除されておらず、読むことが可能。 ナイツマもそうだが、売れていると逆に削除せずに済むのだろうか?
書籍化にあたって文章や内容がより読みやすいように再構成されている。 作者曰く「webはノーマルエンドで書籍はグッドエンド」。
2017年からは
『月刊ビッグガンガン』(スクウェア・エニックス)作画:猫くらげ 『月刊サンデーGX』(小学館)作画:倉田三ノ路
の月刊誌2誌でコミカライズ版が連載されている。 二社同時連載の理由は原作者本人も分からないらしい。
同じ内容を連載しているにもかかわらず(物語の構成や原作からチョイスしたエピソードと描写方法、絵柄は異なる)、どちらも評価が高く売り上げも良いという珍しいことになっている。
キャラ寄りか、ストーリー寄りかというのも強いて言えば違う。
スクエニ版が既刊11巻(2023年4月)、副題『猫猫の後宮謎解き手帳』のついている小学館版は既刊16巻(2023年4月)。
2023年2月時点で全シリーズ累計部数は2100万部を突破しており、アニメ化前の作品としては驚異的な記録となっている。なので、なろうの最終兵器とか言われている。
2023年に遂にTVアニメが放送予定に。キャラビジュアルはスクエニ版がベースとなる模様。
あらすじ
大陸の中央に位置する、とある大国。その皇帝のおひざ元に一人の娘がいた。
名前は、猫猫(マオマオ)。
医師である養父を手伝って、花街で薬師をやっていたが、人攫いによって後宮に下女として売られてしまい、渋々と下働き中である。
そばかす(偽装)だらけで、けして美人とはいえぬ猫猫は、まかり間違っても帝が自分を“御手付き”にしない自信があった。
自分の給金は人攫いにピンハネされる仕組みなので、人攫い達への送金が増えない様に無能を装いながら、分相応に何事もなく年季があけるのを待っていた。
そんな中、帝の御子たちが皆短命であることを知る。
今現在いる二人の御子もともに病で次第に弱っている話を聞いた猫猫は、興味本位でその原因を調べ始める。
呪いなどあるわけないと言わんばかりに。
衰弱事件の謎を解いた事から猫猫に目を付けた美形の宦官・壬氏は、猫猫を帝の寵妃の毒見役にする。
人間には特に興味がないが、毒と薬への執着は異常、そんな花街育ちの薬師が巻き込まれる、噂や事件。きれいな薔薇には棘がある、女の園は毒だらけ、噂と陰謀事欠かず。
壬氏からどんどん面倒事を押し付けられながらも、仕事をこなしていく猫猫。
稀代の毒好き娘が今日も後宮内を駆け回る。
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