LATER SEQUELS SERIES #09
2023年10月 後年になって続編orリメイクが作られたシリーズ 愛及屋烏
蒼穹のファフナー(2004年・第一期)
蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT(2005年・前日譚)
蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH(2010年・劇場版)
蒼穹のファフナー EXODUS(2015年・第二期)
蒼穹のファフナー THE BEYOND(2019年・第三期 OVA)
蒼穹のファフナー BEHIND THE LINE(2023年 スピンオフ OVA)
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L計画推移
初めて敵を倒し、みな、浮かれた。
喜びで、不安をかき消そうとした。
もう、後戻りは出来なかった。
島を守る為の文字通り島が危機を回避する為の計画だったが参加者、特に8人のパイロットにとっては過酷で残酷な作戦となった。
Lボートには2日に1度フェストゥムの襲撃があり、作戦開始から僅か6日で同化現象によって、一期での咲良同様昏睡状態に陥ったパイロットが出てしまい、それを皮切りに次々戦死ではなく同化現象によって脱落していくパイロットが出始める。
コード形成率の高いパイロット達でも、パイロット間のクロッシングで読心を防ぐ目的でのジークフリードシステム搭載により、ノートゥングモデルの数十倍にまで跳ね上がった同化速度は大きな負担となり、最大15分間しか戦闘時間はなかった。
しかも脱落に伴って、搭乗の頻度が高まると同化の進行は蓄積されていく。
コード形成率は「どれだけファフナーと一体化出来るか」という数字であり、「同化現象にどれだけ耐えれるか」の数値である同化耐久率はパイロット選抜においては重視されていなかったようで、更にジークフリートシステムは後の蒼穹作戦で取られた負荷を仲間で分け合う分割方式ではなく文字通り1機につき丸ごと1つ搭載する方式が執られていた事も、同化速度が爆発的に上がった要因だった。
しかもこの時はまだ同化現象に対する治療法が確立されておらず、同化現象を起こしたが最後、医療スタッフもただ見殺し同然に結晶化して”いなくなる“のを見守る事しか出来なかった。
だがフェストゥムはLボートを竜宮島と認識している為攻撃の手は止まないどころか激化の一途を辿っていき、いつしか非戦闘員にも死者が出始める。
大ホールモニター下には、まだ戦えるパイロット達の生きたい、死にたくない、島に帰りたいという叫びが日に日に増えていった。
その悲痛な落書きも、数を重ねる毎に前向きなものから「帰りたい」「おかあさん」と悲痛さを増していく一方で、どれだけパイロット達が精神を摩耗させていっているかを物語っていた。
そんな中、作戦終了まで残り29日時点で祐未の搭乗していたファフナーが激戦の末コックピットブロックが半ば露出するほど損傷し使用不能になる。
声のない叫びも届かず、船橋幸弘が僚に救助された直後結晶化、砕け散り”いなくなった”のを皮切りに、
末期症状を起こしたパイロット達は次々に結晶化し”いなくなって”いき、まだ戦えるパイロットにも初期症状が出始め、更に精神を追い詰めていく。
そして「自分たちの武器であるファフナーにじわじわと殺される」という絶望や恐怖を爆発させた村上剛史が「どうせみんないなくなる」と殴り書きをしてしまい、僚は激怒してそれを咎めたが、とうに恐怖と不安が臨界点を越えていた残り4人となったパイロット達は泣き崩れた。
そして残り13日時点で村上が戦死、コックピット諸共えぐられて大破した為使用できるファフナーも残り2機のみになり、追い打ちをかけるように後に生存パイロットの立木惇が負傷し、戦えるパイロットも僚と祐未のみとなってしまった。
そして60日目、計画終了日。
最初40人いた参加者は、度重なる襲撃により公蔵の願いも虚しくパイロット3人を含めたった12人となっていた。計画終了時刻を迎えると大ホールモニターがせり上がり、脱出用の潜水艇プラットフォームが姿を現す。
負傷していた惇は潜水艇に乗艦、僚と祐未は残った2機のティターンモデルに搭乗しLボートを離脱した。
L計画終了を迎えると襲撃中のフェストゥムを巻き込んでLボートそのものが自爆するようプログラムされていたのだ。
生駒の「フェストゥムは海中で活動出来ない」という定義を信じて潜水艇とファフナーはLボートの爆発圏内から離脱に成功。
その時点で初めて竜宮島の現在座標を知り、まさに目と鼻の先という地点まで航行した時だった。
海中で活動できないはずのフェストゥムが、潜水艇の目の前に現れた。
これまでの定説が覆され、驚愕する潜水艇ブリッジ。応戦しようとしたものの完全包囲されており、残存2機のファフナーも潜水艇から離れており反撃も出来ず撃沈。
この時潜水艇は竜宮島が捕捉しており、潜水艇のシグナルロストが確認されAlvisの司令室にも衝撃が走る。
その時、これまで比較的平静を保っていた祐未が遂に限界を越えて泣き叫んだ。このままフェストゥムを振り切って島に帰ろう、島に帰りたいと。
僚はそれでは作戦の意味がなくなると諭し帰還を断念。
フェストゥムを巻き込んでのフェンリルによる自爆を決意する。
父さん…褒めてくれるかな
そして2人は海流を計算した上で「運がよければ海流に乗って残骸は島に帰れる」地点の海底に辿り着き、マリンスノーが降る中、僚は「好きだ。いや、好き”だった”」と告白する。
祐未は「好きかどうかは分からない。けど、そんなものはとっくに越えていた」と返答した。
僚…今そばにいてくれるのが、あなたでよかった。すごく…そう想うの
…そっか
これって…好きってことなのかな。でももっと…それ以上のものを感じる…
だが、祐未の身体はもう大部分が結晶化していた。
地点到達時点で搭乗限界時間を13分オーバーしており、同化耐久率が低い祐未にとってそれは大きすぎる負担でしかなかった。
結晶化が進んでいく中、告白は続く。
あなたがそばにいてくれたから…わたし……―
全てを言い終える前に、僚の機体が握っていた祐未の機体の手が抜け落ち、そして機体が崩れ落ちた。
半ばで途切れた言葉。
消えた気配。
そして、途絶えたクロッシング。
全てを察しながらも僚は声を掛け、そして泣き叫ぶ。
祐未…?なあ…祐未…?…いなくなったのか…祐未っ…
その後、僚は音声記録として1時間45分に及ぶ戦いの真実を吹き込み機体のブラックボックスに保存。誰かが聞いてくれる事を信じて、徐々に結晶化が進む中接近していたフェストゥムと祐未の「いた」機体を巻き込みフェンリルで自爆した。
お前たちが海に入れなかったのは…代謝出来ずに結晶化するからなんだってな…
代謝って…身体を生まれ変わらせることだよな…お前たちも、それを手に入れた
それって、生命になるってことだろ…―――
こうして、平和と戦いは受け継がれた。
彼らの生きる意志、前線で戦う者達の痛み。
その全てを僕に背負えるだろうか。
繰り返し、自分にそう聞いた。
答えは――――これからの戦いの中にある。
僕らの闘いの中に。
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