THRILL SHOCK SUSPENSE #10
2023年12月 変わらない評価を受ける名作推理ADVを紹介 愛及屋烏
探偵 神宮寺三郎シリーズ
前述
推理ADVという一大ジャンル。
日本では1983年の『ポートピア連続殺人事件』から幾星霜。
名作と呼ばれるゲームはFCやPS1のソフトであろうとも未だに上位を譲らない。
そんな中でも実際にプレイしてみて、おススメしたい作品を紹介したい。
自叙
幼児の時分、人生で二番目に遊んだゲームが『横浜港連続殺人事件』で初ADVで読めない攻略本を片手に悪戦苦闘。
その次に神宮寺に触れたのは横浜港も収録されたPSでのアーリーコレクション。
内容はFC版のままなのでプレイ進行も苦労して、結局は積む羽目に。
携帯アプリ版を移植したDSシリーズが発売されてからは、UIがシンプルになり、すっかり嵌って定期的にプレイしています。
概要
夜の街・新宿歌舞伎町に事務所を構える私立探偵の「神宮寺三郎」が活躍する、ADVシリーズ。
神宮寺の元に舞い込んだ依頼(事件)を、助手の御苑洋子、友人で警部の熊野参造らの助けを借りながら解決していく。
制作はデータイースト。
同社倒産後はワークジャム、2017年からはアークシステムワークスが権利を引き継いでいる。
和製フィリップ・マーロウとでも言うべき、ハードボイルド路線の渋い雰囲気は本シリーズの売りの1つで、グラフィックのレベルも高い。
中でも、PS/SS『夢の終わりに』では、寺田克也氏の描く原画に忠実な絵が好評を博し、これ以降もハード性能の許す限りで同様の路線を貫いている。
ゲームはオーソドックスなコマンド選択式であり、関係者からの聞き込みや現場の捜査を中心に進めていく。
特徴的なのが「タバコ吸う」コマンド。 マルボロに火を着け、一息ついて頭を落ち着ける事で、行き詰まりかけた捜査に別の視点を見出したり、忘れていた出来事を思い出したりする。
ただし、現実社会での分煙化や嫌煙思考の流れに合わせてか、徐々にタバコを控える場面も多くなってきた。
基本的にゲームオーバーは無いのだが、「特定のコマンドを行うと時間が進み、一定期間内に調査が完了しなければゲームオーバー」「相手の表情や性格を見極め、段階を追って本心を聞き出す」といった探偵らしい要素が盛り込まれている作品もある。
初期のFCではほぼ1年ごとに1作品、計4タイトルをリリース。その後6年のブランクを経て『未完のルポ』で再始動。
1~2年くらいのスパンでコンスタントに作品数を重ねながら、第16作『復讐の輪舞』で25周年、第17作『GHOST OF THE DUSK』で30周年を迎えた。
第10作『白い影の少女』以降は携帯機でのリリースが中心。
そこからしばらくは携帯アプリでの展開が中心となり、「携帯アプリ版がある程度溜まるとオリジナルシナリオを追加して携帯機のDSへ移植」という手頃な形で継続してソフトが発売されていた(同時期の『灰とダイヤモンド』は完全新作)。
ワークジャムの携帯事業撤退に伴い携帯アプリ版は24作で終了し、移植も『GHOST OF THE DUSK』で全て終わっている。
既存の携帯アプリ版の移植が全て終わったことや、新作が据置機での単発作品での発売への移行から、携帯アプリでの展開は終了したものと思われる。
探偵 神宮寺三郎
神宮寺探偵事務所所長。2月6日生まれ。血液型はAB。身長179cm、体重70kg。
推理ゲーム界のミスターハードボイルド。
好きな煙草はマルボロ、好きな酒はカミュ、好きなコーヒーはカプチーノ、愛車は緑のミニクーパー。このイメージが強固過ぎるので、他作品でハードボイルドキャラのネタにされる事も。
国際企業の神宮寺コンツェルンの総帥・神宮寺晴彦の三男として生まれながら、その跡を継ぐことを嫌い、大学卒業後に単身渡米しニューヨークで探偵の助手として、そのノウハウを学ぶ。
現在はNYで知り合った才媛・御苑洋子と共に、新宿歌舞伎町の端の方で探偵事務所を開いている。
祖父の神宮寺京介は大正時代に活躍した、日本初の職業探偵であり、三郎の探偵としての思考の師でもある。NYで死亡しており、その事件を青年時の神宮寺が追う作品も存在する。
かなりのヘビースモーカーで、マルボロを吸いながら考えをまとめるのが基本スタイル。
その為、全ての作品に「タバコを吸う」コマンドがあるのもシリーズの特徴だが、分煙化が進んだ近年では、作中においても吸えるシーンが減る傾向にある。事務所か自家用車内ぐらいだろうか。
不器用で口数も少なめにして強面であり、初対面の者はとっつき難さを感じるが、徐々にその人間性に魅かれていく。家族とは疎遠だが、企業を継いだ兄弟と電話で話す場面があり、仲は悪くない様子が見られる。
ボクシングの経験があり、作中でも格闘シーンが度々用意されている。そのためか体が異常にタフで、本編やセルフパロディ「謎の事件簿」では、タフさを茶化されることもある。
寺田克也は「顔が描きにくい」「つかみどころがない」「顔は難しい」とコメントしている。
to be next page. 10-2 https://no-value.jp/column/47232/