今回は皆さんがよく目にする蜘蛛(クモ)について紹介しようと思います。そして、そのクモの中でもよく身近に生息しているジョロウグモの生態を紹介します。少々苦手な人も多いとは思いますが、いざ知ってみると興味深いものとなっているので、ぜひ最後まで見てください。
ジョロウグモは主に、春先から秋の終わりごろまでの間にみられる身近に生息しているクモです。生息域は北海道を除く本州全土に分布しています。
まず、交尾を終えたメスは建物の隙間や、木の枝の隙間などに卵のうと呼ばれる中に自分の卵が入ったものをつくり、次の世代にいのちを託します。そして、春先に卵のうの中から小さな幼虫がたくさんふ化します。彼らは生まれてしばらくたつまで、まどいとよばれる集団で固まったまま過ごし、時期が来ると腹部から糸を出し風に乗って遠くに飛んでゆきます。この風に乗って飛んで移動することをバルーニングと言います。
バルーニングによりまどいから離れると、手ごろな場所に定着して巣を張って獲物を待ち構えるようになります。最初は、小さなハエやカなどを食料にしますが、成長して体が大きくなるにつれて、捕食する獲物の大きさも大きくなります。具体的にはチョウやガ、バッタやトンボなどになります。そしておおよそ夏の終わりぐらいにはほぼ成虫と変わらない見た目になっています。この間に七回から八回ほど脱皮を行います。
十分に成熟した個体は大きな巣を張り、巣の中心に常に張り付いて獲物が来るのを待ち構えています。大きさや場所にもよりますが、巣は大型のものが多くなかには一メートルを超えるサイズのものを作る個体もいます。ジョロウグモに限ったわけではないのですが、巣を作るクモは視力が弱い種類もおり、ジョロウグモにもそれが当てはまります。では具体的にどうやって獲物の場所を把握しているかというと、網にかかった獲物が出す振動を頼りに獲物を探知して、糸でがんじがらめにして巣の中央に運んで、獲物に毒針を打ち込み体内を溶かしてその中身を数日もかけて捕食します。
そして、秋が深まるころには交尾の季節が訪れますが、雄個体にとってはここが正念場になります。理由としては、不用意にメスに近づいてしまうと、自分が食べられてしまう可能性があるからです。ではどうやって交尾を行うのかというと、主にメスが獲物を捕食している間に行うことが多いです。食事中のメスは警戒心が緩まり、この機会にオスはこっそりメスに接触して交尾を行います。こうして命がけの交尾を終えたのち、冬が近づくと再びメスは産卵をし次の世代にバトンを渡すのです。
いかがだったでしょうか。ひとえにクモといっても様々な種類がいますがそのなかでも比較的身近にいるジョロウグモについて今回は解説しました。クモは見た目が気持ち悪いという人も多いですが、彼らは農作物や人間に危害を加える可能性を持つ害虫を食べてくれる非常に有益な存在です。また余談ですが、クモは昆虫ではありません。昆虫の定義は、頭と胴体、腹部と足が六本あり四枚の羽があるのが、昆虫と呼ばれる存在であるためクモは足が八本あるため昆虫の定義に当てはまりません。では何なのかというと、その点を解説すると非常に長くなってしまうため、またの機会に解説したいと思います。
それではここまで読んでくださりありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。