『宮城のおすすめスポット3』
♢仙台ラーメン
東北地方はラーメンの消費量が全国的に高い傾向にあります。
福島の喜多方ラーメンや白河ラーメン、山形の冷やしラーメンなど、有名ご当地ラーメンが多数ありますが、「仙台ラーメン」は初耳という人も少なくないはず。
仙台は東北随一の大都市だけあって、ラーメン店が多い激戦区となっていますが、醤油味や塩味などお店によって味付けは様々で、統一した基準はありません。
しかし、仙台特産の味噌を使った味噌味ベースのお店が多く、特にパンチの効いた辛口味噌ラーメンを「仙台ラーメン」と呼ぶことが多いようです。
特産の「仙台味噌」は、米麹と大豆から作られる長期熟成型の赤みそです。
塩分が通常の味噌より高い特徴がありますが、風味がよく、そのまま食べることもできるため、「なめみそ」とも呼ばれています。
この味噌は江戸時代初期、初代仙台藩主だった伊達政宗が青葉城(仙台城)下に「御塩噌蔵」という味噌醸造所を設置したのがはじまりです。
風味豊かな仙台の赤味噌は江戸でも評判となり、「仙台味噌」が赤味噌の総称として使われるほどだったとも言われています。
仙台ラーメンのスープは、そんな伝統ある味噌をベースにしています。
♢せり鍋
「せり」は日本原産の多年草で、「春の七草」のひとつとして古くから親しまれている食材です。
カロチンやカリウム、鉄分などの栄養素を豊富に含んでおり、シャキシャキした歯触りと独特の強い香り、爽やかな苦みに特徴があります。
宮城県は全国一の生産量を誇り、その数全体の4割強。
そのうち8割を仙台近郊の名取市で生産しています。
せりは冬の味覚として知られていますが、宮城では通年出荷され、秋から冬にかけての「根セリ」と、春から夏にかけての「葉セリ」に分類されます。
葉っぱから根っこまで、余すことなく丸ごと食べることのできる野菜です。
そんなセリを具材としてふんだんに使い、鶏肉や鴨肉、豆腐やねぎなどを加えて煮込んだ鍋料理が、「せり鍋」です。
濃厚な出し汁と、シャキシャキしたセリの葉っぱや茎の歯ごたえがたまらない美味さで、仙台エリアを代表する冬の味覚となっています。
♢痛風鍋
痛風とは、尿酸が身体の中にたまり、結晶となって激しい関節炎を伴う病気のこと。
主に足の親指の付け根が腫れ、風に当たるだけで強烈な痛みを発するから「痛風」。
暴飲暴食や、贅沢な食べ物を食べ続けた結果であったり、大量のプリン体を摂取することが原因であるとも言われています。
そんなプリン体を大量に含んだ贅沢食材まみれの鍋が「痛風鍋」で、痛風になる可能性が高い、ある意味とても危険な鍋料理なんです。
痛風鍋に使用する具材は、牡蠣やイクラ、白子やあん肝などの高級食材がたっぷり。
お店によっては、ウニやフォアグラ、うなぎやサーロインステーキを使っているところもあり、いずれにしても成人が1日に摂取するプリン体の基準を遥かに超えています。
野菜など他の具材もふんだんに使用していますが、場違いな贅沢食材がメインになるため、全体的な見た目は正直グロテスクな印象を受けます。
コクが深く濃厚な味わいがあり、健康面を度外視すれば、これほど美味しい鍋は他に見当たらないほどです。
♢仙台づけ丼
宮城県の太平洋側は、魚介類の宝庫。
黒潮と親潮、津軽暖流などが交差し、さらに複雑に入り組むリアス式海岸と多くの島が点在する地形は、魚が暮らす環境に適していると言われています。
特に県北部に位置する三陸・金華山沖は世界三大漁場のひとつに数えられるほど魚群が濃く、水揚げされる魚は200種類を超えるほど。
近郊に塩竈や気仙沼、石巻など大漁港を有する仙台には、新鮮で美味しい海産物がとても多く流通しています。
「仙台づけ丼」は、宮城県下で水揚げされる白身魚を特製ダレで漬け込み、県産の米と合わせて提供される海鮮丼ぶり飯のことです。
タイやヒラメなど地場産の白身魚を半分以上使用していれば、ホタテやイクラ、まぐろなど他の具材をトッピングしても構わないことになっています。
宮城産の食材を使うこと以外には、各店舗の独自性を出すことが義務づけられているので、提供店ごとに味付けが異なる「仙台づけ丼」を味わえるわけです。
♢ずんだ餅
牛タン・笹かまぼことともに「三大仙台名物」として知られるずんだ餅。
すり潰した枝豆に砂糖などを加えて餡を作り、白餅と絡めて食べる和菓子のことです。
爽やかな萌黄色の見た目が印象的で、喜ばれる仙台土産の定番としても知られています。
枝豆は塩茹でして食べる方法が普及しているため、砂糖を加えて甘くするなど想像できないかもしれませんね。
しかし、枝豆が持つ仄かな苦みと砂糖の甘さが中和して独特の爽快な食感となり、もちっとした白餅と抜群のコンビネーションを醸し出しています。
宮城県を中心とした東北地方南部では知られた存在ですが、全国の他の地域ではなかなかお目にかかることがありません。
♢はらこ飯
「はらこ」とは腹の子、つまり魚卵のことを指します。
はらこ飯とは、鮭の卵であるイクラと親である鮭の身を盛った丼ぶり飯です。
太平洋に面した県南部・亘理町の荒浜地区に古くから伝わる郷土料理で、秋の味覚として現地では欠かせない存在となっています。
亘理町を流れる阿武隈川は、古来から鮭が遡上する川として知られていました。
この地域では地引網を用いて鮭を漁獲していたのですが、漁師のまかない食として発展してきた料理が「はらこ飯」のはじまりと言われています。
江戸時代初期、荒浜の運河工事の視察に訪れた藩主・伊達政宗に献上されたとの記録が残っていることから、この頃には既に存在していたようです。
イクラとサーモンが一緒になった丼飯はさほど珍しいものではありませんが、はらこ飯は通常の「イクラサーモン丼」と比べて大きく異なる点があります。
イクラサーモン丼が白飯(あるいは酢飯)をそのまま使うのに対して、はらこ飯は醤油やみりんと一緒に鮭を煮込み、その煮汁で炊き込んだ飯を使っています。
はらこ飯は炊き込みご飯の一種であり、茶色っぽい色の飯が特徴です。
旨味たっぷりの煮汁が滲みこんだご飯は、これだけでもお替わりしたくなるほど。
♢白石温麺
福島県との県境・宮城県最南部にある白石市は、蔵王連峰の麓に位置する自然豊かな街です。
伊達政宗を支えた名参謀・片倉小十郎景綱ゆかりの城下町としても知られ、市内には白石城をはじめ数多くの由緒ある観光スポットが点在しています。
そんな白石市を代表する特産グルメが「白石温麺(うーめん)」です。
白石温麺は素麺に近い食べ物ですが、長さが10cm程度と、素麺の1/3程度しかありません。
長さが短いために小さな鍋でも調理しやすく、食べやすいといったメリットがあります。
さらに大きな特徴として、素麺は麺を延ばすときに油を塗りますが、温麺は油を使用しないで作られます。
油を塗らないために胃腸への負担が少なく、素麺よりも健康面を配慮した麺類とも言えます。
また、麺の太さが素麺より一回り太いため、食べ応え充分です。
♢真牡蠣
宮城県は、全国トップクラスを誇る牡蠣(マガキ)の大産地です。
日本国内における牡蠣の水揚げ量は、広島県と宮城県がほとんどのシェアを占めています。
加工用も含めた全体の水揚げ量こそ広島県が一番ですが、生牡蠣に関しては宮城県の三陸海岸産がトップです。
世界三大漁場にも数えられる三陸海岸は、牡蠣の餌となるプランクトンが豊富で、良質な牡蠣の生産には最適な場所と言えます。
広島の牡蠣が肉厚で大粒なのに対して、宮城の牡蠣はやや小ぶり。
しかしながら旨味が凝縮しており、さっぱりとした味わいの広島産よりも、濃厚でクリーミーな味わいを楽しむことができます。
宮城産牡蠣の旬は冬場が中心で、おおよそ11~4月ですが、特に春を迎える3月の下旬から4月にかけてが身が締まり、一番美味しいと言われています。
仙台を含む宮城県の沿岸地域で広く提供されていますが、やはり特産地として有名なのが松島!
日本三景に数えられる、絶景の景観を眺めながら味わう牡蠣の味は絶品です。
松島周辺では年間を通じて牡蠣が楽しめますが、やはり旬の冬から春先にかけては身が太り、格段に美味しくなります。
4続く・・・