前書き
私が好きな音楽ジャンルであるスラッシュメタル。
名前の通り鞭打つようなスピードとリズムに重きを置き、とてもメロディアスとは言い難い叫ぶようなボーカルが特徴的な非常にパワフルな音楽の1つだ。
そんなスラッシュメタルを象徴する「スラッシュメタル四天王」や「ビッグ・4」と呼ばれるバンドグループが「メタリカ」「メガデス」「スレイヤー」「アンスラックス」だ。
その中でも「メタリカ」と「メガデス」にはドラマティックな1つのエピソードがある。
今回はそれを前編、後編の2回に分けて紹介したい。
まず初めにこの物語の中心となる1つのグループと1人の男について紹介しよう。
スラッシュメタルの創造神『メタリカ』
「メタリカ」はアメリカ合衆国 カリフォルニア州ロサンゼルスで発足したスラッシュメタルバンドだ。現時点でのメンバーはヴォーカリスト兼リズムギターの”ジェイムズ・ヘットフィールド”、ドラマーの”ラーズ・ウルリッヒ”、リードギターの”カーク・ハメット”、ベーシストの”ロバート・トゥルヒーヨ”。その音楽性はイングランド出身のヘヴィメタルバンド「ダイアモンド・ヘッド」や、同じくイングランドのロックバンドである「モーターヘッド」などから影響を受けただけあって、リフ(繰り返す短いフレーズの塊)に重点を置き、それをプッシュするような、いわゆる「ドンシャリ(中音域を抑えて、低、高音を強調した音)」なサウンドかつ爆音が特徴だ。
また「メタリカ」を語るうえで欠かせないのが、ジェイムズのダウンカッティングだ。
これはメタルなどに置いて、速いブリッジミュート(”ズンズン”というような伸びない音)を絡めたリフを弾くときは、ピック(弦を弾くための道具)の上下の動きで弦を弾くが、ダウンカッティングでは、ピックを下げる動きのみで弾ききってしまうことである。
ある程度のスピードならメタル系のギタリストにとっては造作もないことだが、「メタリカ」のジャンルはスラッシュメタル。代表曲である「master of puppets」はBPM212だ。
解りやすく例えるなら、400メートル走を片足のみで全力で走り切るようなものだ。
しかもジェイムズはそれを歌いながらやってのけるのだ。
もう一つの特徴はアルバム毎に音楽性が変わるということだ。
つまるところ、飽きる事なく楽しめるということになる。
裏を返せば、自分が好きな音楽性の頃の「メタリカ」を長くは楽しめないということになるが。
デイヴ・ムステインという人物
デイヴ・ムステインは「メガデス」のボーカリスト兼ギタリストだ。
ハイトーンながらも冷たさを感じる声質と、どんなリフでも歌いながら刻めてしまう器用さが主だった特徴。
そして彼が手がける楽曲はまるで、蛇のごとく絡みつくような執念深さを感じる印象の曲が多い。
これも偏に後に語ることとなる、「メタリカ」との確執があったが故か。
とにかく数あるスラッシュメタルのバンドの中でも、唯一無二の個性的なボーカリストだ。
彼の初めてのバンドは「パニック」という名のバンドだった。
しかし、次々とバンドメンバーに不幸が襲い、ついにはデモテープ(自分の実力や音楽性を評価してもらうための試作品)が作られる事すらなく空中分解してしまった。
今回はこの物語の中心人物となるメタリカというバンドグループと、デイヴム・ステインという人物について紹介した。
次回からいよいよ物語の核心に迫っていこうと思う。