こんにちは。L.I.D:りど です。ゲーム作品紹介その4です。3回連続でサスペンスを主体とした作品を紹介してきましたが、今回はサスペンスではなくアクションアドベンチャー。今回は内容が盛りだくさんなのでご容赦ください。
技術が発展し、人とアンドロイドが共存することが当たり前になった時代。そんな当たり前の時代に新たな命が芽生え、後に世論を変え革命が起きる物語を紹介していきます。
1.DETROIT:BECOME HUMAN
前回紹介した HEAVY RAIN 心の軋むとき を開発した会社フランスのゲーム会社クアンティック・ドリームが開発した。
2038年のアメリカ・デトロイトが舞台。主人公3人はアンドロイドで突然自我に目覚め、人間達に疎まれ虐げられ奴隷のような扱いをされながらも自身の制度や不平等に対し、人間と同じ自由と尊厳を得るために革命を起こす物語。ストーリー自体がかなり膨大であり、一本映画を見ているかのようなクオリティと完成度である。
プレイヤーはストーリーを進めていく中で数々の選択肢を迫られる。選んだ選択肢によってシナリオが変化し主人公たちの生死に関わることも。操作は移動・ボタン・スティック操作・コントローラーを傾けたりなど細かいが、ゲーム初心者でも楽しめるように難易度調整ができる。ただしゲームのシーン中では戦闘や逃走があり時限式のボタン入力【QTE】をミスしたり、会話中の選択肢や今までプレイヤーが起こした行動によっては死亡する可能性がある。一つ一つの選択がその後の展開を大きく左右するため慎重に選ばなければならない。
HEAVY RAINと同じく今作も実在する俳優がモデルとなっておりモーションキャプチャーや実際の演技をゲームに収録するモーションアクターといった技術で映画を見ているような感覚を引き出している。
2-1.あらすじ
2038年、アメリカ・デトロイト。AI技術とロボット工学の発達で産業はアンドロイドで栄えていた。そのため人間に過酷かつ危険な労働や可能な限りの作業をアンドロイドに任せた結果、経済が発展するにつれ人が働ける環境が少なくなり失業率が増大していた。さらにアンドロイドの中には人間の自我を持ち行動する個体「変異体」が現れていた。
同年、8月。変異体による初の殺人事件に主人公の一人 コナーが派遣される。彼は最新鋭の捜査補佐アンドロイドだ。変異体は現場の家庭で所有されるアンドロイド。一家の父親を殺害し娘を人質に立てこもっていた。コナーは人質救出のため交渉人として対応する。その結果、変異体は別で動いていた警察部隊に射殺。少女は救出されコナーはその場を後にする。
同年、11月。世間は失業により貧富の格差によって反アンドロイド派が形成されデモが日々行われていた。失業者の一人 トッド・ウィリアムズに所有されている主人公の一人 カーラは家事型のアンドロイドで薬物に依存しているトッドに暴行を受け、修理・故障を繰り返してはそれまでの記憶をリセットされていた。修復が終わりトッドと共に帰宅するカーラ。帰ってきて早々、家事と娘 アリスの世話を任される。
そんなある日、トッドは薬物依存により発狂しアリスに暴行を加えようとする。それを見たカーラは突如自我が目覚め変異体となる。アリスに再び暴行を加えようとするトッドを止め、共に家から逃げ出す二人。あてどなく彷徨いながらも二人は出会いを繰り返し家族となり自由を求める。
2-2.あらすじ
一方で、主人公の一人 マーカスは自律型のアンドロイドで裕福な画家 カール・マンフレッドの介護と創作アシスタントを任されていた。マーカスはアンドロイドとして奉仕しながらも、カールから哲学や絵画を通じて人とアンドロイドの在り方とカールが亡くなった後、マーカスがどう生きるかを問われながら日々を送っていた。
ある日、誰もいないスタジオに明かりがついておりマーカスはカールの指示で警察に通報。マーカスとカールがスタジオに入ると侵入者の正体はカールの私生児 レオだった。レオは薬物を買うために金目になる絵画を物色していた。その際レオは自分より父親に大事にされるマーカスを疎ましく感じ不満を露わにした。 口論が生じレオがマーカスの胸ぐらを掴んだ時、カールは抵抗してはならないとマーカスに指示するがその指示に疑問を抱いたマーカスは変異体となってしまう。口論の末、駆けつけた警官に撃たれ廃棄される。
廃棄場で奇跡的に再起動したマーカスは自身の壊れた部品を廃棄されていたアンドロイドの部品と交換し生き延びた。部品を交換した時にそのアンドロイドからある情報を受け取る。それは人間の手から逃れた変異体の集団が隠れ住んでいる古びた貨物船【ジェリコ】の場所だった。そこでマーカスは変異体の三人 ノース・ジョッシュ・サイモンと共に人間に対し自由と権利を要求し革命を起こす。
2-3.あらすじ
変異体となったカーラ・マーカスと変異体が起こした事件を追うコナーはデトロイト市警のハンク・アンダーソン警部補の捜査補佐として現場に赴く。ハンクは元々優秀な警官だったがあることをきっかけにアンドロイドを嫌い捜査にも非協力的だった。
しかし、捜査を進めていく内にコナーのプログラムにも異常が起き変異の兆候を見せていく。変異体事件に関わる中、ハンクからただの機械か、それとも人間と同じで生きているのか、死んでしまったときは何を思うのか。などを問われるうちに自身が何者なのかと葛藤しながらどちらかを選ぶ。
3.作品について
機械か、命か。それを問われるようなストーリー。現実でも実際に起こりうる技術と社会問題は人と機械との共存はどうあるべきなのかを考えさせる。自分が思うのは、変異体たちは本物の人間にしか思えず人間側の行いは醜態そのものだろう。しかし実際のところ、このような世の中になれば当然だとも思ってしまう。それでも一番大切なのは理解すること。他人の主張を鵜呑みにして一括りに決めるのではなく、相手のことを知り言葉を通じお互いの理解を深めていくという当たり前のことを忘れてはいけない。
プレイヤーが選んだ選択・行動は常に記録されフローチャートという流れ図で確認でき、その際ネットワークに繋ぐことで全プレイヤーの選択の割合を見ることが出来る。選んだ選択が正統か異端か。それを他者と比べるのも楽しみの一つだろう。ゲームのメインメニュー画面で会話をしてくるアンドロイドにアンケートを求められたり、そのアンドロイドが冗談を口にしたりなど他のゲームにはない個性がある。
4.感想
現実でもいずれ起こるかもしれない未来の物語。人の形をした機械がもし自我を持ったら人はどう受け止めるのだろう。手を取り人間と同じように助け合い共存するのか、それとも相容れない存在として互いに争うのか。最後の最後まで心を動かされ、考えさせられるストーリーだと痛感した。
14年後はどうなっているだろう?本当にこのゲーム通りの世界になったら自分たちはどう受け入れるか。そんな未来を想像させるこのゲームをまだ手に取っていない読者に向けてこの作品を薦めよう。
アイキャッチ画像参考サイト→photoAC