SUCCESS NET NOVEL #03
2024年5月 なろう等のネット小説で諸々成功した作品 愛及屋烏
異世界食堂
前述
ネット小説全盛期は過ぎた感はあるが、戸口は広がり、
作品人口は拡大を続け、玉石混合の魔境である。
単純に出版小説としての成功、コミカライズ、アニメ化と成功のポイントは
多岐に渡るが、その中でも特に全局面的に成功した作品を紹介したい。
自叙
深夜に見てはいけない飯テロアニメである事は勿論として、オムニバス形式なので適当な話数(メニュー)の摘まみ食い視聴や流し・繰り返しの視聴に非常に向いている作品。まったく疲れない。
概要
『異世界食堂』は、犬塚惇平による日本のなろう系ライトノベル。 2013年1月4日より小説投稿サイト『小説家になろう』で連載されている。
年春頃まではほぼ毎週1話ずつ新作が公開され、その後は不定期に新作が公開されている。 2019年3月時点でシリーズ累計発行部数は110万部を記録している。
書籍化がなされた作品ではあるが、小説家になろう内における閲覧制限は受けておらず、全話閲覧可能となっている。…のだが、2021年5月を最後に未完のまま1年以上も更新が滞っており、完結が危ぶまれている状況である。「今後は不定期掲載にし、活動自体は続ける」との事らしいのだが。
2015年2月よりヒーロー文庫(主婦の友社→イマジカインフォス)から書籍化されている。
書籍版はエナミカツミがイラストを担当し、『小説家になろう』版に加筆修正などの手が加えられたものとなっている。
『ヤングガンガン』(スクウェア・エニックス)にて2016年23号から九月タカアキ(作画)による漫画版の連載が開始された。
2017年にはSILVER LINK.制作によるテレビアニメが放送され、2021年10月よりOLM制作によるテレビアニメ第2期が放送されている。
基本的には1話完結の話が連なり、各話でスポットライトの当たる登場人物が異なり(グランドホテル方式)、作品全体としての主役やヒロインは存在しない。
アニメでは1エピソード(一人・1メニュー)×2で一話の構成になっている。
そのため、他の話で主役だった人物が脇役や関連人物として登場することもあれば、その逆に以前の話で存在が仄めかされていた人物が主役となる話もある。
基本的に現代の店主の時代に起きた出来事が描かれるが、過去に遡って先代の時代の話が描かれる事もあり、先代の頃からの常連本人やその関係者が現代の話に出てくる事も多い。
客たちはすべて同一の「異世界」の住人である為、客同士が「ねこや」での出会いを通じて自分たちの世界で新たな関係を築いていったり、異世界での事象がさまざまな客の視点から語られることで徐々に全貌を表していったりする演出が随所に用いられており、各話は独立したものとなっているが、個々の話がゆるやかにリンクしていくように物語が紡がれている。
その為、料理を軸としているもののそれだけに焦点を当てた作品とはなっていない。
異世界店舗・異世界ギャップ系作品で評価された走りだが、実は異世界居酒屋「のぶ」の方が連載は早い。
あらすじ
オフィス街に程近い商店街の一角、犬の看板が目印の雑居ビルの地下一階にその店はある。猫の絵が描かれた扉の食堂「洋食のねこや」。
創業五十年、オフィス街のサラリーマンの胃袋を満たし続けてきた。
洋食屋といいながら、先代店主の「洋食は海の向こうの料理。つまり元々日本になかった料理は大体洋食」という独特な持論から、洋食以外のメニューも豊富な事が特徴といえば特徴な極普通の食堂だ。
しかし、「ある世界」の人達にとっては、特別でオンリーワンな一軒に変わる。
「ねこや」には一つの秘密がある。
毎週土曜日の店休日、「ねこや」は“特別な客”で溢れ返るのだ。
チリンチリンと鈴の音を響かせやってくる、生まれも、育ちも、信仰や種族すらもバラバラの客達が求めるのは、世にも珍しい不思議で美味しい料理。
いや、オフィス街の人なら見慣れた、日本で食べ慣れた料理だ。
しかし、「土曜日の客達」=「ある世界の人達」にとっては見た事も聞いた事もない料理ばかり。特別な絶品料理を出す「ねこや」は、「ある世界」の人達からはこう呼ばれている。
―――――「異世界食堂」。
そして今週もまた、チリンチリンと鈴の音が響く。
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