SNN #03-3

SUCCESS NET NOVEL #03

2024年5月   なろう等のネット小説で諸々成功した作品   愛及屋烏

異世界食堂

Continuation from last page. 03-2 https://no-value.jp/column/59522/

土曜の常連客

メンチカツ

本名はサラ=ゴールド

ゴールド商会の令嬢であり、売り出し中のトレジャーハンター。
ある時、ゴールド商会の基盤となった莫大な遺産を残したトレジャーハンターである曽祖父ウィリアムの手記を発見し、ウィリアムが晩年を過ごした廃坑の町に隠された財宝を見つけようとその町を訪れ、ねこやの扉を発見した。
その日の日替わりがたまたまメンチカツ定食だった事からそれを頼んだ。
ねこやの常連であったウィリアムが最も好んだ料理であり、サラも一度食べた後は常連になった事は言うまでもない。
ウィリアムと交友のあった古株の常連客からはメンチカツ二世と呼ばれている。
アニメ版の中の人は本作のEDも歌っている。

ロースカツ

四英雄の一人。叡智を極めた大賢者・アルトリウス。
先代の頃からねこやに通う古株の常連客であり、異世界のお客向けのメニューは彼が翻訳した。
生活圏にある扉に通う他の常連とは異なり、魔法陣を使って扉自体を呼び寄せるという方法でねこやに通っており、店では常にキンキンに冷えたビールと一緒にロースカツを食べている。

プリンアラモード

公国の魔女姫、ヴィクトリア・サマナーク。
現公王の姉であるが、人間の両親からハーフエルフの「取り替え子(チェンジリング)」として生まれた事で真っ当に人間として生きる事が出来なくなった。
その為、魔術師としての道を選び、その才能から大賢者アルトリウスに弟子入りし、二年前に免許皆伝を貰い公国に戻り、表舞台に出ない代わりに豊富な研究資金を与えられ、魔術の研究を行っている。
師のアルトリウスに連れられてねこやを訪れた事でその存在を知り、プリンアラモードを食べた事で常連となった。ちなみにスイーツ系のメニューの翻訳は彼女が行った。
ねこやに来た時は必ずカスタードプリンを土産として持ち帰り、魔術で再現した宝石箱サイズの冷蔵庫に保存している。

テリヤキチキン

西大陸出身の老侍にして伝説の傭兵・タツゴロウ。

人間の身では倒せぬと言われた魔物を幾体も屠り、およそ剣を握る者なら知らぬ者はいないとまで言われている。
テリヤキチキン定食と清酒を特に好んでいる。
ウィリアムとも顔見知りであり、そのひ孫であるサラを見かけた事で自分もその内、見所のある奴をねこやに連れて行こうと思っている。

エビフライ

公国の騎士・ハインリヒ・ゼーレマン。
ある時、モスマンと呼ばれる魔物が大量発生した異変を公国に伝える為に走り、馬が死に空腹で自身も力尽きかけていた時、ねこやの扉を発見。
ねこやで腹を満たし、疲れを癒した事で公国に事態を伝える事が出来、その功績で隊の一つを任せられる事となった。
その時に注文した料理は「エビフライ」。
異世界においてエビ(異世界の言葉でシュライプ)は保存技術が未発達な為に海辺の町でしか食べられず、港町出身であったハインリヒは長い間食べていなかったエビの味を思い出して注文し、その味に感動した。


しかし、任務の途中で金を持っていなかった為、代わりに担保として自分の剣を店主に預けて、そのまま店を飛び出していった。だが、せっかちな性格が災いして、ねこやの扉が7日に一度にしか現れないという基本情報を聞かずに店を出てしまった為、以降3年間ねこやに辿り着けなかった。
しかし、一向に剣を取りに来ないので店主がタツゴロウに剣を返してもらう様に頼み、タツゴロウの案内で再びねこやを訪れる事になった。
以降は常連としてエビフライをもりもり食べている。

ビーフシチュー

六柱の神の一柱たる『赤の女王』。                                                                                                                                                                    本来の姿は赤いドラゴンだが、ねこやに来る時は人間の姿に変身している。                                             そもそも、そうしないとデカすぎて店に入れない。                                               年齢は不明だが本人曰く、10万歳を超えているらしい。


24年前、自分の城に現れた扉を通ってねこやに入り、ビーフシチューを食べてすっかりはまってしまった。
以前は昼間から店にいてビーフシチューを頼もうとする客を睨み付けていたが、店主に止めるよう言われ、それ以降は他の客が皆帰った真夜中に店に入り、ビーフシチューを鍋ごと持って帰っている。その為、他の客の間では「真夜中の貴婦人」と呼ばれ、噂になっている。
女王としてはビーフシチューにはいっぱいの黄金を出したいが、値引きもぼったくりもしない主義のねこやの流儀に倣い、金貨2枚で妥協している。
ちなみに本来の姿では鍋いっぱいの量でも物足りず、もっといっぱい作ってほしいなあと思っていたりする。
自分が集めた財宝に状態を把握できる呪いをかけており、ねこや(や店主やアレッタ)もそれに含まれる。その為、ねこやで狼藉を働く者がいれば即座に赤の女王が飛んでくる。

ミートソース

アルフェイド商会を王都屈指の大商会へと育て上げた立役者・トマス=アルフェイド。
ねこやの常連でもあり、店で食べた麺料理のソースをこっちでも食べたいと開発をし続けた結果、そのソースが大流行し、アルフェイド商会は一気にのし上がる事になった。
先代の頃からねこやと契約を結んでおり、四週間に一度、土曜の売り上げと自分の世界の食材を取引している。
その食材を店主が自分で食べ、異世界の味覚を研究するのがねこやの伝統となっている。
最近になって孫に扉を譲ったが、未練は残しており、孫がまだ再現できていないソースを自分が生きている内に作ってくれないかなあと期待している。

ナポリタン

トマスの孫・シリウス=アルフェイド。

祖父に連れられてねこやに入り、いずれ商会を継ぐ者として異世界の料理を学ばせる為、トマスから扉を譲られた。
祖父はミートソースが一番だと思っていたが、シリウスはナポリタンこそ至高と言う結論に至った様子。

オムライス

リザードマンの一族の一つ、青尻尾族の勇者・ガガンポ。
青尻尾族の村にはねこやの扉があり、その扉が開いた時、年に一度の祭り(形式は武道会に近い)で勇者に選ばれた者がねこやに赴き、村の皆の為にパーティー用のオムレツを数種類持ち帰る、という習わしがある。
その時、勇者は「店で腹いっぱいオムライスを食べていい」という特権があり、青尻尾族の男はみな勇者になりたがっている。
しかし、ガガンポもオムライスを食べたいのでまだまだ後進に譲ってやる気はない様子。
文中ではリザードマンの村では流暢に話している一方、ねこやでは片言かつ無口になっているが、これはリザードマンの扱う言語が異世界でも独自のものである為。ねこやの中では異世界言語が自動翻訳されるのだが、他の客が主に使うサマナーク語は流暢な日本語に、リザードマン語は片言になる。彼のエピソードは、さながらディスカバリーチャンネルの動物生態番組の様相であった。

ハンバーガー

田舎の少年三人組、ジャックとテリーとケント。
町外れの古井戸で偶然ねこやの扉を発見し、以来小遣いを稼いで毎週通ってハンバーガーを食べている。
ねこやで色んな種族を目にする事で世界の広さを実感し、いずれ3人で冒険者になる夢を抱いている。
後に3人で正式に冒険者になった様子。

パウンドケーキ

光の神の高司祭。
尼僧院の院長を務めている。
光の神の教団には「享楽を知らぬままに耐えるのは容易い。修行を妨げるものの魅力を知ってこそ、それを耐えることが禁欲の修行に繋がる」という教えがあり、高司祭には1年間あらゆる娯楽を享受し、その後でそれを絶つ「一年の享受」という風習がある。といっても1つや2つの娯楽を嗜む程度は許される。
若くして高司祭となったセレスティーヌは見事すべての娯楽を断ってみせたが、ある時ねこやに入り、パウンドケーキを食べた事で常連となってしまった。ちょうど1年が経った後、どうにか通うのをやめようとしたがラムレーズンのパウンドケーキの誘惑に負けて無理だった。
そして、フライングパピーが常連にプレゼントしているブランデーケーキまで貰ってしまい、開き直ったセレスティーヌはそれを弟子たちにも振る舞い、彼女らと共にケーキの再現を試みるのだった。
この事から光の神殿は菓子作りの聖地としても崇められる事になり、法王となった後もセレスティーヌはケーキを断てぬままだったとか。

カレーライス

公国の将軍・アルフォンス・フリューゲル。
最強の海軍将軍と謳われたが、20年前にクラーケンとの戦いで船を沈められ、無人島に漂流。その島で主を倒したりしている内にねこやの扉を見つけた。
その時、最初に注文したカレーライスにはまり、以来20年間土曜には欠かさず食べに行っていた。というよりは無人島にはろくな食べ物がなく、異世界の料理の方が美味しいからである。週に一度の楽しみを繰り返し、無人島生活を乗り切る活力とした。


しかし、公国の船が偶然その島に漂着した事で救助され、公国に戻る事になり、もう食べられないのかと諦めていたが、最近訪れるようになったエビフライ好きの公国騎士がいた事で公国にも探せば扉はある筈と確信。
三ヶ月かけて扉を探し出し、変わらずカレーライスを毎回注文している。
ちなみに主のキマイラを倒した事から近隣の魔物からは「キマイラ殺し」と呼ばれて恐れられたりしている。

カルパッチョ

セイレーンの子供・イリスとアーリウス。
セイレーンは人を食う魔物として恐れられているが、主食は生の魚で人間には特に興味が無い。
新しい巣を探していた時、「キマイラ殺しの島」に辿り着き、そこでカレーライス(アルフォンス)が後続の漂流者に向けて残していった書き置きとお金を見つけた事でねこやを訪れる事になった。
異世界の人間には生の魚を食べる風習がなかったが、ねこやではカルパッチョをメニューとして出していたため、それにはまり、キマイラ殺しの島は彼女らの新しい巣になったのだった。

カツ丼

「獅子王」と呼ばれる魔族最強の剣闘士・ライオネル。CV.檜山修之なのは確実に狙っている。
魔王にも匹敵すると言われるほどの邪神の加護を受けた魔族の戦士であり、戦いを求めて暴れ回っていったが、
四英雄の一人、剣神アレクサンデルに敗れ、見せしめとして闘技場に送られる事になった。
アレクサンデルに手も足も出せずに負けた事で自信を失っていたが、自分の部屋に偶然現れた扉からねこやを訪れ、先代に「戦いに勝てそうな料理」として、カツ丼を食べさせてもらった事で気力を取り戻した。
以降、20年以上に渡って最強の剣闘士として名を馳せる事になり、毎週ねこやにも通って何杯もカツ丼を頼んでいる。
ちなみにアルフォンスとはねこやを最初に訪れたのが同じ日であり、それ以来2人とも常連になったため、長い付き合いで友人とも言える仲。

チョコレートパフェ

帝国の皇女・アーデルハイド。
4歳の頃、祖父である初代皇帝ヴィルヘイムが住まう離宮へ避暑に出かけた際、祖父に連れられてねこやに入った事があり、その時に食べたチョコレートパフェが一番の好物となった。
しかし、それから12年程時が経ち、当時の記憶も薄れて夢だと思い込んでいたが、肺の病を煩った事で離宮で療養生活を送ることになり、思い出の味と再会する事となった。
以降は常連となり、チョコレートパフェを始めとしたスイーツを食べに来ている。

コロッケ

アーデルハイドの祖父。帝国初代皇帝・ヴィルヘルム。
邪神戦争で滅ぼされた旧帝都の王族の生き残りであり、邪神戦争の終結後、その地を支配していた最後の魔王アルティーナと同盟を組み、帝国を建国した。
その後は帝国を東大陸の大国の一つに数えられるほどに育て上げ、賢帝として名を馳せることになる。
ちなみにその躍進はまだ異世界の存在を知らなかった小さかった頃の店主がヴィルヘルムに渡した男爵イモが、麦が育つ土地が少なかった帝国で流行し、食料生産力を爆発的に高めたおかげだったりする。
これはヴィルヘルムの最たる偉業として挙げられているが、実際のところは向こうでもコロッケが食べたかったから買って来ただけなのだった。

後述

オムニバス形式のストーリーだが、常連客達の立場や行動が絶妙にリンクしており、思わぬ所で関係性が垣間見えるのが楽しい。ねこや店内での揉め事が厳禁なので平和だが、もっと殺伐としても可笑しくない因縁があったりする。

アーデルハイドに一目惚れした、砂漠の国の王子とのねこや店内での恋愛劇も見どころ。アニメ二期のラストは彼らの結婚式(ねこやで常連を集めたビュッフェ形式の食事会)で終わるのも感慨深い。

END.

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愛及屋烏

ゲーム好き、小説好き、アニメ好き、三役揃いの物書きの端くれ。 ピンチに陥っても、それはそれで気楽にやるタイプ。 ●好きな言葉:続編・クロスオーバー・オールスター・アンサーソング・データ引継ぎ ●好きなゲーム:DQ・軌跡&イース・スパロボ・ゼルダ・神宮寺・逆裁・ラチェクラ ●好きなサブカル:ロボ全般・特撮全般・少、青年誌系 ●好きなドラマ:科捜研・相棒・CSI・キャッスル・十津川警部・赤い霊柩車 ●利用ソシャゲ:へプバン・ギアスロススト・Dr.STバトクラ・シンフォギアXD・スパロボDD・うたわれLF・ギター少女・勇者の飯 ●経歴:宮城出身、30代、なろう出版経験有 ●現在:脳梗塞療養にともないリハビリ&失業中

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