『花のおやつ』~あとがき~
前回、『花のおやつ』という童話に編み物を添えた作品を作りました。
このお話は、私の実体験から生まれました。
ある冬の日、私が昼寝をしている間に、鉢植えのプリムラという花を食べられてしまったのです。
最初はダンゴムシ等の雑食性の虫が食べたのかなと思いましたが、調べてみたらヒヨドリという鳥の可能性が高いということが分かりました。
ピンクと黄色のプリムラの花が咲いていましたが、ピンクを先に全て食べられて、翌日は黄色というような感じでした。
初めは、このまま花をあげてもいいかなと思いましたが、フンも散らかっていましたので、近所迷惑になるのではと不安になりました。
また、せっかくの冬の楽しみの花でしたので、鉢に不織布をかけてカバーすることにしました。
そうしていましたら、花はまたたくさんの蕾をどんどん咲かせました。
この些細な体験をもとに『花のおやつ』を作りました。
お話の中では主人公のタヌキは花を育て振る舞い、空腹の鳥たちを喜ばせることに、冬の生き甲斐を見出しています。
また、全ての花をあげるのではなく、タヌキ自身の大切な白い花は食べないようにお願いし、自分自身を大切にしている場面もストーリーに加えました。
純粋な友情の絆で、動物たちが支え合って厳しい冬を乗り越えたという穏やかなお話にしました。
物語のもとになった動物や花について
【ヒヨドリ】
- スズメ目ヒヨドリ科 全長28㎝ キジバト大
- 全体的に灰色っぽい。頭はボサボサで白っぽい。頬に茶色の模様。
- 日本各地の市街地、山地の林、農耕地でよく見かける鳥。
- 一年中同じ所に留まり過ごす。
- 日本以外でも生息するが、その数は少ない。
- 雑食性で果物、木の実、花の蜜など甘いものをよく食べる。昆虫や他の子鳥の卵やヒナまで食べる。
- 鳴き声は大きく、ピィーピィー。ピーヨ。
- 農作物を荒らす害鳥として扱われているが、夏は農作物についた害虫をヒナに食べさせてくれるので益鳥ともされる。
- 人懐こい鳥とも言われ、平安時代は貴族が飼っていた歴史がある。
見わけがすぐつく野鳥図鑑 小宮輝之監修 成美堂出版 2021年 P.41
【タヌキ】
- 食肉目イヌ科 体長50~68㎝ 尾長12.5 ~25㎝ 体重4~6㎏ *秋には冬に向けて脂肪を蓄えるため、6~10kgに達することがある。
- 生息域はシベリアのアムール川あたりを北限とし、沿海州、サハリン、中国、朝鮮半島、九州以南をのぞく日本。南限はベトナム北部あたり。 毛皮目的に移入された狸の脱走、野生化により、東ヨーロッパのポーランドあたりにも生息し始めている。
- 縄文人が現れる以前から日本列島に棲み付いていた。
- 食肉目だが実際は雑食で、ほとんど好き嫌いがなく、特に柿が大好物。揚げ物も好きで甘いものも好きらしい。
- 特技は、木登り(降りるのは苦手)、死んだマネ(タヌキねいり・・・実際は驚きやすく失神しやすい。)。
- 巣は自分で掘らず、他の動物が棲み終えた巣穴や廃屋、自然に空いた穴などに住む。
- タヌキは生きた動物を捕獲することも苦手で攻撃性がなく、とても臆病な性格である。日本人と同じように一夫一妻で夫婦で協力して子どもを育てるという共通点もあり、昔から人に可愛がられ見守られてきたことが多かった。人懐っこく、時には飼い猫など、他の動物とも仲良くなることがある。
- 1子~8子の子どもを春に産む。秋には子別れをする。
- 野生化での平均寿命は10年程度。
※タヌキに人間の食べ物を与えると、タヌキの栄養に良くないだけではなく、野生で生きていく力が落ちてしまう。
また、タヌキが人間の世界に近付き過ぎることで、交通事故、犬や他のタヌキの密集などからの伝染病の罹患、人間のゴミを漁るなどの問題が出てきてしまう。
人は森林を守りタヌキの棲みかを破壊せず、餌付けをせず、ゴミを適切に処理し、お互いにとって心地よい距離感で共存することが大切だと本やインターネット、自然観察会などで提案されている。
キツネとタヌキの大研究 木倉正夫 PHP研究所 2002年
カラー自然シリーズ72 タヌキ 富士本寿彦 偕成社 1989年
Wikipedia タヌキ https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%8C%E3%82%AD
【プリムラ】
- サクラソウ科サクラソウ属
- 多年草だが、夏の高温多湿に弱く、夏越しが難しい。
- 冬~春の花で、様々な色のバリエーションがある。また、花びらの形などの品種も多様。
- 花期はどんどん蕾を付け、たくさんの花を咲かせる。
<プリムラの育て方>
水はけの良い土で、日当たりの良い場所に置く。 土の表面が乾いたら、たっぷりと水やりをする。 この時注意したいことは、花に水がかかると花が傷むので、先の細いジョウロ等で葉の根元に与えるようにする。 花が終わったものは、花がら摘みをし、栄養を次の花に使えるようにする。 葉も黄色くなったものは摘んで風通しを良くする。 花が減ってきたら液体肥料を与える。 寒さには強いが、霜には弱いので、霜が降りる地域では軒下に置いたり不織布をかけるなど注意する。 子株ができることがあるので、分けて新しい鉢に植えると増やすことができる。 上手に管理すれば夏越ができることがある。 夏越しの方法は、6月ころまでに植え替えをし、直射日光を避け、風通しの良い半日陰に置き土の表面が乾いたら水やりをし管理する。秋になり気温が下がったら日当たりの良い場所に移動する。 あるいは、涼しい室内に入れ窓越しで管理する。 |
LOVEGREEN プリムラとは?育て方、花の季節、夏越し、種類や名前の由来、増やし方https://lovegreen.net/flower/p262612/