つい先日、念願のレース着物を購入しました!
ずっと気になってはいたものの色や柄など好みのものがなかなか見つからずにいたのです。それがとあるきっかけによってレース着物が注目を集めることとなり、結果的に自分好みのものと出会うことができました。
レース着物とは
レース着物とはレース素材によって作られた着物で、盛夏(7月~8月)以外の通年着られます。
生地によって様々ですがレースなので多少透け感があるため、下着などが透けないように気を付ける必要があります。ただし裏地が付いているものはその限りではありません。
また、自宅で洗えるものが多いので雨の日などにも着られるのが魅力です。
私が購入したものは着物の中に着る襦袢(じゅばん)がすっかり透けてしまうくらい透け感の強い生地なので、襦袢の色をわざと見せることで印象を変えられるところがお気に入りです。
透けているからと一見涼しそうに見えますが、決して涼しい訳ではありません。下着などの透け対策にしっかり着込むので実際は暑いくらいです(笑)でもかわいいので5月~6月、9月などの単衣の時期に楽しもうと思います。
SNSでの炎上
私がこのレース着物を見つけるきっかけとなったのは、決して楽しい話ではありません。とあるSNSで賛否両論というより炎上してしまった方がいたのです。
その方は観光地在住のため、観光客がレンタル着物屋さんで着物を着せてもらう姿をよく見かけたようです。現在、観光地で流行っているのはまさしくレース着物で、若い女の子が白や黒のレース着物をワントーンコーディネートで着ているのです。つまり全身真っ白や真っ黒です。
その方はそれを「経帷子(きょうかたびら:死装束)と喪服」だと指摘し、レンタル着物屋さんに対し苦言を呈していました。
「確かに白一色の着物姿には驚いてしまう」と賛同する意見もありましたが、ほとんどの意見が否定的でした。それは「観光地で普段は着ない着物を楽しんでいるのに水を差すようなことを言わなくてもいいのではないか」というものでした。否定的な意見は徐々にエスカレートし、あまりの反響にその方はアカウントごと消してしまったのでした。
着物のワントーンコーディネートはアリかナシか
私はこの一連の流れを見て、着物も洋服と同じ流れを歩んでいるなと思いました。今でこそ洋服のワントーンコーディネートは珍しいものではなくなっていますが、黒一色でコーディネートすると「喪服みたいだ」という人も一定数います。
それだけ着物の裾野が広がっているのだと思うとうれしい反面、やはり違和感を覚える人がいるのも事実です。新しいものが出てくると反発してしまう人がいるのは仕方のないことです。とは言え、レース着物自体は少なくとも10年以上前からあるのですが…
個人的には白一色も黒一色も好きなように楽しんだらいいと思うのです。むしろレース着物を黒一色で着て喪服として葬儀などに参列したら非常識だと言われかねません。観光地で非日常を体験し、あわよくば着物に興味を持ってもらいたいと思います。
ちなみにその方は着物にレースやリボンが付いているのも、大人が兵児帯(へこおび)を締めるのもお好きではないそうです。着物にレースやリボンを付けたり兵児帯を締めている私とは徹底的に意見が分かれているな、と思いました(笑)
着物初心者さんが楽しむために
初心者さんが着物を楽しむ上で洋服感覚で着るのはアリだと私は思っています。まして普段着物ならなおさらです。観光地でなくたって着物にレースやリボンを付けたり大人が半幅帯(はんはばおび)よりさらに簡単な兵児帯で楽しむのも良いことだと思います。
今、着物系のハンドメイド界隈では大人が締めてもかわいい兵児帯が流行しています。また、半幅帯にしても「結ばない帯結び」という方法があります。これはその名の通り半幅帯を胴に巻いて帯締め(おびじめ)などで止めるだけという非常にシンプルな方法で、初心者さんが自分で着物や浴衣を着るときにネックになりがちな帯を結ばなくていいのでハードルが下がると思います。
SNSで目にした意見に「裾野が広がらなければ頂点は高くならない」という趣旨の言葉があり、本当にその通りだと思いました。
けれど、今回の炎上騒ぎのように着物を好きな人が全員同じ意見とは限りませんし、人それぞれ着物に対する自分の美学があると思うのでそこを否定はしません。その点ではアカウントを消すまで追い込まれてしまったその方を気の毒に思います。
願わくば、人それぞれの考えを尊重し自分とは違った意見の人もいることも踏まえつつ、自分らしいお着物ライフを楽しんでほしいと思います。