前回のコラムでは剪定について説明しました。今回は剪定も踏まえつつ、日陰のコントロールの仕方に触れていこうかと思っています。外観のデザインを考える(あるいは維持する)だけでなく、樹木を植える際にも、また以前から育てている草木に応じて心地よく育ってもらう環境を整えるためにも重要なことなんです。
・植物の配置を意識する
直射日光を苦手とする植物は以外に多く、それらは日陰で本領を発揮します。これから新たに植える、もしくは移植を考えているのであれば、一日のうち、時間帯によって日陰が出来る場所をよく観察し、考慮する必要があります。日陰を好むようなら枝葉の生い茂る高木のそばに植えましょう。土壌の質によるところもありますが、日当たりが違うと土の乾きやすさも大分変わり、土が乾燥しすぎると成長に支障をきたす場合があります。
・植物の枝の長さを意識する
隣り合った樹木との間であまりにも枝が混み合っている場合は剪定が必要になってきます。剪定は庭の景観を良くしたり、放っておいた枯れ枝からの病気や害虫の発生を予防でき、下草への日当たりの確保にも繋がります。木の生え具合や下草の種類を覚え、記録しておくと今後の庭のお手入れに役立つかもしれません。
・人工物を使う
塀やフェンスを活用すると西日を遮り、葉焼けを抑えられます。また、竹垣を設置すると、より日本庭園としての落ち着いた趣が感じられます。日当たりの良い箇所に花壇を設置し、草丈の短い花を並べれば日陰とのコントラストを演出できます。手前を暗い空間にし、奥を明るい空間にすると、庭を進むにつれてトンネルを抜け出たような開放感が得られる庭になり、反対に、手前を明るくすると奥行きが生まれます。
植物がよく伸び、それでいて人が見て癒される空間、両方が活きる庭であることが理想的です。最後になりますが、アジサイや沈丁花は木漏れ日が差し込む明るい日陰、ドクダミやナンテン、ヤブコウジは雑木林のような暗い日陰を好む、という風に、草木によっては陰の濃さで過ごしやすさが変わってくるものもあります。ただ日陰を作るだけでなく、日陰の種類を考慮した上で丁寧に育ててみてください。