今年は異例とも言えるような高気圧が重なり、日本を含め世界各地で高気温を記録している。海外では40度だ50度、国内でも39度やら37度と報道され、みなさんも感覚が麻痺してるのではないだろうか。
そこで人間の深部体温を考えると37度前後だ、皮膚や耳で計測すると低くなる傾向になるが、人間の体温は基本37度。ちなみに人間のES細胞やIPS細胞で実験する際も37度の温度を保つそうだ。
暖かくなって昆虫が増えたり、草木が芽生えたりする初春や初夏をイメージをすると、25度や30度程度の気温が思い浮かぶだろう。
しかし昨今は35度超えの猛暑日が全国で多発している。虫も活動が弱まり、草木も枯れる。
聞いた話によると気温が35℃を超えると車の故障でレッカー車が出動する事態が激増するそうだ。みなさんも電子機器や家電の仕様や取扱説明書で動作保証温度や動作環境温度という名称で35度や40度と言う数字を見た覚えがあるだろう。
ちなみにスマートフォンなどで使われているリチウムイオンバッテリーも45度以上で充電すると寿命が縮まると言われている。温度を測定するアプリや触った肌感で温度はわかるので、最新のゲームなど重たいアプリを遊んで温かくなったスマートフォンは、その分電池の残量が減るため、気持ちとしては、すぐに充電したいと思うが一旦アプリを落として自然に温度を下げてから充電することをお勧めする。その方がバッテリーの負担が少なく長持ちするからだ。
ちなみに防水だからといって水で冷やしたり、冷蔵庫に入れるのはお勧めしない。水で冷やすと充電端子が濡れたり、冷蔵庫で冷やし過ぎてから充電して温まると内部の基板に結露が発生して故障の原因になるからだ。
ちなみにノートパソコンの故障が多いのが冬。冷蔵庫のように寒い部屋に置い冷えたノートパソコンを、快適な暖かい部屋で使おうと移動させるとノートパソコンは急激に温まり内部で結露が発生して故障する。暑い夏に氷が入った冷たいコップに水滴がつくのと同じ原理だ。
精密機器の温度変化は常温の日陰でゆっくり行おう。洗濯機やテーブルの上など常温で多少ひんやりしているものの上に置いておくのが良いだろう。
そして人間も同じだ。人間も車やスマートフォンと同じように、あらゆる物質で構成されている。しかも主に熱に弱いタンパク質で出来ている。タンパク質と言うと筋肉をイメージするかも知れないが、肌も髪も爪もタンパク質、あらゆる臓器が主にタンパク質で出来ている。
そして茹で卵は二度と生卵に戻せないように、人間の脳や内臓や皮膚は加熱によって重大な損傷を受ける。夏は体を冷やす、水分や塩分を取る、電解質を整え、エアコンや空調を使い、日陰で涼む。これらに気をつけねばならない。
では具体的に日常生活で何をしたら良いだろう?最近はエアコンを使いましょう。こまめに水分を取りましょう。と良く聞くが具体的には何をしたら良いのだろうか?
私は熱中症対策には朝ご飯を食べると言うのを提唱したい。
朝ご飯を食べると言うと良く聞くのが「朝ご飯を食べている子どもの方が学力が高い。だから朝ご飯を食べましょう」という話だ。
しかし個人的には懐疑的で、これは相関関係と因果関係の話だと考えている。
そもそも子供に朝ご飯を与えないような家庭と言う可能性が有る。子供に朝食を与えないということは家庭環境や経済状況が良くない傾向になるだろう。
日曜日の夜に子供が「お腹が空いて寝れない」と言っても面倒に思って「なら明日、給食をお代わりすれば良いでしょ!」と言うような親かもしれない。ネグレクトの可能性もある。
そういった家庭は子供に絵本や図鑑や漢字ドリルを買い与えたり塾に通わせたり習い事もさせない傾向になるだろう。
では子供にちゃんと栄養が有る美味しい朝ご飯を用意する家庭はどうだろう。子供に知育玩具や本を買い与えたり、塾や習い事、動物園や博物館に連れて行ったり、今の時代インターネットやパソコンやスマートフォンやタブレットを使わせつつ親子でコミュニケーションを取りながらITリテラシーも育む傾向になるだろう。ならば学力に差が出るのは当然だ。
つまり学力が低い子どもに無理やり朝ご飯を食べさせたからと言って勝手に学力が高くなる訳ではないのだ。
そして「数字は嘘をつかないが、嘘つきは数字を使う」と言うが、仮に私が『朝ご飯を食べない方が学力が高い。だから朝ご飯を食べるのを止めましょう』と言う意見を主張するならば、手法は簡単だ。
偏差値60以上で朝ご飯を食べない学生と、偏差値40以下で朝ご飯を食べる学生を1,000人以上集めれば良い。そしてそれを、もっともらしいグラフや動画にして「有名な大学で凄い研究をしている◯◯さんは、今日も朝ご飯を食べずに勉強しています!」「それに比べて呑気に朝ご飯を食べている◯◯さんは学力が低いです!」と、まるで『朝ご飯を食べるのが悪い事であるかのように』言い張れば良いのだ。
聡明な方は「何を言ってるんだ」と思うだろうが、信じてしまう人も居るだろう。データやグラフや印象操作とは、こういうものだ。
しかし朝ご飯と熱中症の関係はどうだろう?ちなみに熱中症になって緊急搬送された方の多くが「朝ご飯を食べていなかった」と聞いたことが有る。
そこで昔ながらの日本の朝ご飯を想像してほしい。焼き鮭や、お漬物、お味噌汁。日本食は割と塩分が多く、汗をかくにも身体のイオンバランスを整えるのに必要な塩分が含まれている。
そして焼き鮭にも醤油をかけたりするだろう。そして白いご飯は炭水化物、糖質。塩分とその他のミネラルで電解質。
ならば昔ながらの朝ご飯。白いご飯と、焼き魚に、お醤油をかけて、お漬物も食べて、お味噌汁を飲んで、食後に、お茶を飲んで。水分も塩分も電解質も補給できる。
ちなみにコップ一杯くらいなら大した量ではないが、理想を言えば緑茶やコーヒーよりカフェインが入ってない麦茶や水の方が良い。
これなら暑い中、汗をかいても負担が少ない。それこそ食べている間に汗が吹き出してくるかも知れない。
それに比べて朝ご飯を食べていない人と、昔ながらの朝ご飯を食べた人、どちらが熱中症になりにくいか比べるまでもない。暑い夏を無事に乗り切るために朝ご飯を食べることを、お勧めする。
しかし忙しい情報社会の現代。毎日そんな朝ご飯を作るのは負担が大きすぎる。そう思う方も多いだろう。
ではカップラーメンは、いかがだろうか?「カップラーメンは塩分が多くて身体に悪い」「カップラーメンのスープは全部飲んじゃ駄目、残しましょう」そんな事を言われて育った方も多いのではないだろうか。
しかしカップラーメンは簡単に作れるし、塩分も炭水化物も水分も摂れる。そして塩分が多いからこそ、食後に水やお茶を飲んだりもするだろう。
現代の暑い夏に、せめてカップラーメンを食べて水やお茶を飲んでから出かけた人と、何も食べていない人、どちらが熱中症になりやすいか比べるまでもないだろう。
更に、お酒を飲む人はアルコールを控えよう。「ビールくらい大丈夫だろう」なんて考えは良くない。むしろビールみたいにアルコール度数5%以下のお酒はついつい飲みすぎてしまう。95%以上が水分なのに実際には飲んだビール以上の水分が体から出ていってしまうのだ。つまりアルコールを接種すると脱水症状になる。お酒は飲み物だが、お酒は水分補給にならない。
ついついお酒が進んだ翌日に、体調が悪く、汗もかかないし喉も渇かない。しかし、なんだか真水は飲みにくい、とてもじゃないが水をゴクゴク飲む気にならないと言った経験はないだろうか?
ビールを何本も飲むとアルコールに伴う脱水によりキログラム単位で体重が減ることも有るのだ。しかも夜中に目覚めたりしたくないから水分も摂らない人も多いだろう。これでは脱水症状は悪化するばかりだ。そんな体調で炎天下に外出したら危険なのは火を見るより明らかだ。
だからと言って「夏にお酒は絶対ダメ!アルコール禁止!」と言うわけじゃない。最初に書いた通り「控えよう」だ。飲む時間を早めたり、量を控えめにして水分も摂る。寝る頃には酔いも冷めてきてトイレも済ます。出来ることは有るはずだ。そうすれば水も飲まずに、お酒をたくさん飲んだ場合より安全になる。
まとめると、朝ご飯を食べよう、カフェインやアルコールは控えよう。簡単だ。
もちろんエアコンを使う、外出を控える、出かける時は日陰に入ったり日傘を使う、早めに行動して、ゆっくり歩いたり途中でコンビニやスーパーに寄って涼む。これらをやるとやらないのでは大きく違う。
ちなみに、こういう話をしたら「麦茶が売ってなかったのでジャスミン茶にしました」と言ってきた人が居る。ジャスミン茶にもカフェインが含まれているし、今の時期は麦茶は大量に仕入れて、どこでも売られているだろう。あと麦茶以外のカフェインが入っていないお茶にはカフェインレスとかカフェイン0と書いてあるので本当に麦茶が売ってなかったとしても、それらか水を買えばよかっただけの話だ。恐らく普段通りジャスミン茶を買った理由として「麦茶が売ってなかった」と言ったのだろう。
またアルコールは控えようと言う話として先ほど一般的なアルコールであるビールを例に上げたが世の中には「私はビールは飲みません。」と言ったり『ビールじゃないなら飲んでも良いと勝手に解釈して違うアルコールを普段通りに飲む人』が居たりする。
話の本質は、麦茶じゃなくてカフェインだし、ビールじゃなくてアルコールだ。世の中には文脈で物事を理解するのが苦手な人が居る。
ならば、いざ脱水症状や熱中症になったときの対処として、まずは身体を冷やそう。人間の体は複雑で電解質や浸透圧など様々な要素が絡み、水分と言っても水が飲めない状態にもなる。ちなみに「塩分も摂りましょう」と言うが、野菜を塩で揉むと水分が出てくる。これが浸透圧だ。水や塩をいたずらに接種しても余計危険な状態になることも有るのだ。そして人間が短時間に吸収できる水分はとても少ない。身体の状態に適さない水分を無理に飲むのは危険だ。
そういう時はクーラーが有る場所や日陰に移動し体を冷やす。出来れば風がある場所が良い。そして水を持っているなら無理に飲むのではなく頭からかぶったり首にかけたりして身体を冷やそう。水で濡れば汗の代わりになるし、汗をかくより体の負担が少ないし、汗より水の方がキレイだ。
自宅なら、まずは部屋を涼しくして、温めのシャワーを浴びよう、仕上げにシャワーを真水にして数秒でも良いので耐えられるくらい水を浴びて身体を冷やそう、全身びしょ濡れになれば同じく汗の代わりになる。
現に熱中症で助かった例として、運動中に倒れた人に対して救急車が来るまでの間、仲間がホースで水をかけ続けたそうだ。
水分摂取はそれからだ、こういう時はスポーツドリンクや経口補水液を少し口に含んで飲めそうなら飲もう。水も同じだ。体調や脱水状態によって飲みやすい飲み物の成分は変化する。家ならペットボトルからコップに少し注いで試せば良い。問題なくゴクゴク飲める飲み物なら飲んでも良い。
ところで昭和の根性論のように語られる『運動中に水を飲むな!』は実は理にかなっていたのだ。発汗中にむやみに真水を飲むのは危険でアメリカも昔は同様だった。なぜなら昔はスポーツドリンクが無かったからだ。「水飲むとバテるぞ!」は根性論ではなかったのだ。発汗中の水分摂取に適したスポーツドリンクが普及した今では当たり前のようにスポーツドリンクを飲みながら激しいスポーツをするし、最近は日本もそうなってきていると聞く。
そして同じく昭和の光景として思い浮かぶのが、夏に水を飲ませず『倒れたらバケツで水をぶっかける!』これも叩き起こしているようだが、全身びしょ濡れになるので合理的だ。そして倒れたのだから日陰に連れて行って休ませる。昭和の夏は今より気温が低かったし、全身びしょ濡れのまま日陰で風を浴びていたら体温も下がる。その後、回復してから水や麦茶を無理せずチビチビ飲めば、水分を接種できる。ゆっくり飲めば、もし真水を飲みすぎた時に身体が反応して戻すので、真水の過剰摂取になりにくい。
そして現代にはスポーツドリンクや経口補水液やクーラーやシャワーが有る。昔より暑くなった昨今だが、昔は無かったものが普及しているのだ。それらを適切に利用して暑い夏を乗り切ろう。