SYSTEM COLLABO`s GAME #04
2024年8月 他所の土俵で作られた名or迷作ゲーム 愛及屋烏
巨影都市
ウルトラマン・ガメラ・エヴァ・ゴジラ・パトレイバー×絶体絶命都市
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絶体絶命都市シリーズ
『絶体絶命都市』はアイレムソフトウェアエンジニアリング(以下、アイレム)より2002年4月25日に発売されたPlayStation 2(PS2)用ゲームソフト。
実際の大震災の記録を元に製作された、本格的なサバイバルACTゲーム。
「大規模な災害に晒された一般人が、いかにして生き延びるか」に主軸においたリアリティ溢れる作風を特徴としており、ACTゲームながら派手なアクションはほとんど無い。
本作の成功によりシリーズ化が進められ、現在まで4作品が発売されている。
ジャンルとしては「アクションアドベンチャー」である。
地震や地震に伴う大規模災害から避難するというゲームの性質に加えて、主人公が特異な能力を持たない一般的な民間人という設定である為、プレイヤーが要求される行動は、殆どが逃げ回る事のみなので、同種のジャンルでも『メタルギアソリッド』・『バイオハザード』などのゲームとは趣が大きく異なる。
ゲーム制作の際、実際に地震で被災した街を参考にしている為、地震で崩壊した街がリアルに表現されている。
荒削りで不足点はあるが、震災ゲームの第1作としてはかなりの意欲作である。 同社の『桜坂消防隊』とは違い続編も複数製作され、アイレムを代表するゲームの一つに成長したと言って良いだろう。
震災経験のあるスタッフも参加し、制作されている事もあり、入念なリサーチによって雰囲気はよく出せており、グラフィックの低品質さを乗り越えているのは評価点。
震災ゲーム、という事でシナリオは基本的にシリアス路線ではあるが、重すぎる雰囲気を出し過ぎる事は無く、アイレムらしい馬鹿ゲー的な遊びの要素を選択肢等に加えている事も好評。
陰謀めいた内容に関しては否定的な意見が多いが、この点も後の作品にも大なり小なり受け継がれている。しかし、これも上記の一環と思えば、否定的な人でもある程度は理解は出来るか。
水害に襲われる街で足掻く絶体絶命都市2
今作の舞台は前作から5年後、真冬の地方都市「富坂市」が舞台。
都市開発競争が進む中、限られた土地を有効活用するべく発案された「ジオフロンティア計画」によって、地上と地下を融合させた人口約118万人に及ぶ巨大都市「ジオシティ」に発展した。
しかし、連日降り続いた豪雨によって、市内を流れる川が決壊。大規模な浸水により、地下都市の陥没事故が各所で多発し、ジオシティは崩壊・水没していく。
今作はこの大水害に見舞われた絶体絶命の富坂市にて生き延びる事を目的とするが、必ずしも主人公達は「都市からの脱出」を目指すとは限らない。
今作では主人公が5名(+隠しキャラ1名)存在し、それぞれが全く異なる立場・視点から同じ災害の中で生き抜いていくオムニバス方式となっている。
主人公はプレイヤーが任意に選ぶのではなく、予め決められた順番でプレイしていく。一度エンディングを迎えた後は任意のシナリオのみをプレイする「フリーゲーム」が追加される。
携帯機で挑んだ絶体絶命都市3
今回はPSPで発売され、それを生かしたアドホックでのマルチプレイモードがある(これをしないとコスチュームコンプできない)
しかし、ノウハウが少なかったのかキャラの造形は前作より微妙になっており、酷い場合モブキャラが書き割りになる。
今回は体力ゲージとストレスゲージがあり、体力ゲージがなくなるとゲームオーバー。相変わらず焼け死ぬ以外では即死する方が早いですけどね!
両ゲージは相互に反比例しており、体力がいくらあってもストレスが増えると体力が圧迫されてしまう。
ベンチなどで休んだり、食べ物を食べると回復する。
歌や飲み物やイベントなどストレスだけを回復するものでは体力は回復しないのでピンチの時は微妙。
今回は主人公に性格があり、選択肢によって随所で、情熱、冷静、臆病の3パターンのどれかに変わる。
どれも一長一短なので好みに応じて選んでよし。
今作は男女主人公制、実際に役立つ災害対策マニュアル、火災旋風や暴徒化した市民等、新たな危険など新要素を盛り込んでいるものの、人工島で地震と前々作を連想させるものが多い。
絶体絶命都市4発売の紆余曲折と独立
2010年の東京ゲームショウ時は4は「PS3で今冬」発売予定だった。だが、その後も延期を繰り返し、一時は2011年3月10日に発売予定とされていた。
2011年2月22日に同年の春へと発売を延期、更に3月14日になって発売中止を発表した。同時に絶体絶命都市シリーズの過去作の生産中止も告知され、アイレムの公式サイトの大幅なコンテンツ縮小が行われた。
朝日新聞社の取材記事では発売中止の理由を、そもそもの開発が遅れ気味だったのと、東日本大震災の被災者への配慮としている。
公式では震災によるものではなく、以前から開発に関して会社側との折り合いがつかず延期を繰り返し、最終的に中止という形になった為と後日、話している。
その後、シリーズのプロデューサーである九条一馬を始めとするゲーム部門の主要スタッフはアイレムから独立(一応本人曰く「円満退社」との事)、「アイレムに革命を起こす!」という様な意味合いで『R-TYPE TACTICS II -Operation BITTER CHOCOLATE-』の革命軍に因み新会社グランゼーラを設立し、2014年に本シリーズの版権を取得。
九条PはX(旧Twitter)上で小説形式でストーリーを連載し、早い段階から本作を復活させたい意向を示すなど、過去作の配信と共に本作を完成し発売する意欲を前面に押し出していた。
そして、PS4にプラットフォームを移し、2015年11月に販売中止となったPS3版『4』のリメイクとして開発が再開されたことが公表。
Unreal Engineによって、グラフィックや被災地の表現が大幅に強化されたことからタイトルを『絶体絶命都市4Plus』と改題した。
しかし再び音沙汰がなくなってしまい、途中で関連作の『巨影都市』が発売されたものの、本作は長らく発売される事はなかった。
ところが2018年になり、10月25日に発売される事が公表されたが、直前に発売延期になり、翌月の11月22日にようやく発売された。
九条Pによると、本作の発売は「待ってくれた人へのお礼とお詫び」であるという。
本作はこういった経緯を持つゲーム史でも類稀な超難産タイトルだったのだが……その出来はお世辞にもよろしくはない。
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