その小説を手に取ったのは中学二年生の時でした。私は再放送をきっかけにとあるアニメにのめり込み、その作品関連の書籍を古本屋で探していました。その時に手に取った小説はいわゆる「ノベライズ」「外伝小説」に位置づけられるものです。
小説の元となったアニメは、異世界に召喚された日本人の主人公と異世界の人間であるヒロインの恋愛を描いたもので、その時に手に取った小説は異世界側の登場人物同士の恋愛模様を描いたものでした。
私はそれまで小説というものをあまり読んだことがありませんでした。活字が苦手なわけでなく、単純に興味がある作品のうちに小説が含まれていなかったということです。そんな私が活字に初めて興味を持ったきっかけが上記アニメの小説版ということになります。
軽い気持ちで手に取った小説でしたが、その後私はその小説を何度も読み返しました。最終的にはカバーがボロボロになり現在実物は残っておりませんが、それだけあのキャラクター同士が描かれた文章にのめり込んだのだな……と回顧しています。
今でも元となったアニメのファンの方が小説版はここが良かった!と感想を書いているのを見ると微笑ましくなります。
最近になり、別の作品に夢中になっても同じ作品を何度も読み返すことがあります。海外文学で翻訳者や翻訳された箇所が違ったりする場合に確認の意味を込めたりする場合もありますし、作品から何かを作り出したいと思った時に参考にすることもあります。
※翻訳ものである場合は、翻訳の種類として細かい部分を省略した「抄訳」と、ほとんど全てを翻訳した「完訳」があり抄訳である程度内容を把握した後に完訳を読む場合もあります。
近年は電子書籍もあるため、読み返しによる劣化をあまり考えなくて良くなったということは本当に喜ばしいと思っています。ボロボロになるまで読み返していたあの小説が電子書籍になれば、コレクションの状態を気にせずに当時のあの感覚を再現することができるかもしれない……とも考えています。
※所有することにこだわらず、破損していない状態で読みたい場合は図書館で借りる方法もおすすめです。図書館の蔵書本はあらかじめ補強してあります。
私は上記の経験から「好きな映像作品にノベライズ・原作小説が存在するなら最初にそれを読むのが手だと思う」と勧めるかもしれません。
こういう手法を取ることには意外とメリットがある気がします。小説を読むことが苦手な方は描写された情景をどう想像したらいいか?ということが引っかかりになっている…と私は考えています。それなら一部想像するべき部分をあらかじめ映像で具体化してもらい、その上で映像になっていない部分を補い想像していく…ということが意外といい補助道具になるんじゃないかな…?と考えています。
小説作品の映像化や映像作品のノベライズの場合においても全て小説と映像版が同一ということはあまりなく、オリジナルのシーンが盛り込まれていたり細部の設定が違うことが多いです。それを踏まえ、「小説の彼ら」を想像してみることも、また楽しいかもしれません。