THRILL SHOCK SUSPENSE #19
2024年11月 変わらない評価を受ける名作推理ADVを紹介 愛及屋烏
『墓場文庫』開発のADV
和階堂真の事件簿-処刑人の楔
和階堂真の事件簿2-隠し神の森
和階堂真の事件簿3-影法師の足
和階堂真の事件簿 TRILOGY DELUXE(1~3+4-指切館の殺人)
都市伝説解体センター
Continuation from last page. 19-2 https://no-value.jp/column/88265/
和階堂シリーズの評価点
効果的に組み込まれたミスリードと真相の提示
1話1~2時間程度で読了できるボリュームながら、プレイヤーをどんな思い込みへ誘導するかや、どんな真相を見せれば驚きを与えられるかと言った点が丁寧。
謎解き面では手掛かりがフェアに提示されており、ドラマ的な部分では意図的にプレイヤーに見せていない事柄があるという作りな為、ミステリとしての面白さが損なわれていない。
いぶし銀の王道的進行
和階堂刑事は卓越した推理力こそあれど、一介の刑事でしかない為、超自然的な特殊能力は持ち合わせていない。
足を使った聞き込みと探索、そして情報整理による解決への足取りは極地味ではあるが、発売時点では逆に珍しくなった「王道感」「本格推理感」を抱かせる物となっている。
和階堂刑事のキャラクターも、表情こそ見えないが、動作と台詞から落ち着きと渋さを感じさせる。
残酷過ぎず、かつ鮮烈な殺人現場の表現
首無し死体を始め、猟奇的な殺害現場がシリーズを通して複数登場するが、粗い描画と単色でべっとりと塗られた血の色で現される為、残酷表現が苦手でも問題なくプレイできる。
かといって味気ないわけではなく、表情も描かれていない死体は却って想像力も掻き立てられ、サスペンスの一幕としては十分なインパクトを有している。
概要・2
『都市伝説解体センター』は『和階堂真』シリーズの墓場文庫と集英社ゲームズから発売されるADVゲームソフト。発売日は2025年2月13日。
現時点でのプラットフォームはNintendo Switch、PS5、PC(Steam)となっている。
『和階堂真』シリーズで墓場文庫がGoogle Play Indie Games Festival 2021にて、集英社ゲームクリエターズCAMP賞を受賞した事が切っ掛けになった共同開発の作品。
特典付属のスペシャル版(6,930円)、パッケージ版(3,740円)、DL版(1,980円)で価格にかなり差が出ている。DL版はかなり手頃。
本作は『和階堂真』シリーズに比べ、会話シーンにはドット絵で描かれた一枚絵やバストアップ絵が何パターンも登場しており、更にしっかりとアニメーションまでつけられている。
あらすじ・2
主人公の福来あざみは、『見えてはいけないモノが見える』女子大生。
そんな『呪い』染みた状態を解決すべく、怪異、呪物、異界などの調査・解体を行う『都市伝説解体センター』に助けを求める。
しかし、センター長であり国内屈指の能力者である廻屋渉の策略(あざみは気付いていない)で、呪物の弁償という形で多額の借金を背負わされ、あざみはセンターの職員として、労働で借金を返済する羽目に。
そんな訳で、センターの仲間と共に「都市伝説」絡みの依頼を解決していく事になってしまったあざみは自身の問題を解決する事が出来るのだろうか?
インターネット上に飛び交う幾つかの都市伝説をテーマに、推理ミステリーの様なシナリオと和階堂シリーズにも通ずるサイケデリックなピクセルアートで紡ぐ連続ドラマ形式のアドベンチャーゲーム。
後述
和階堂は和階堂で楽しめるのだが、キャラクターに愛着を持つには難しい類のゲームである。
それに対して都市伝説解体センターはシステム回りこそ同系統でありながら、会話画面ではキャラがわちゃわちゃ(特に主人公のあざみが)と動くので感情移入がしやすい。
冒頭のみが遊べる体験版の段階で『庇護欲のそそられる主人公』というのが刷り込まれる感じである。DL版は手頃な価格なので、来たる発売日には是非とも購入したい作品である。
END.