ここ最近の朝晩の冷え込みが激しく、街に出ると、年賀状やクリスマスツリーが店頭に並んでいるところも見かけ、冬の足音も少しずつ感じはじめてきました。猛暑から一転、これだけ肌寒くなってくるともう今年も終わるなあとしみじみするし、秋の深まりに応じるように温かい紅茶が欲しくなります。今回は、そんな紅茶の具体的な効能や種類について詳しくご紹介します。
1.茶葉について
緑茶、紅茶、ウーロン茶と、お茶にいくつか種類が分かれていますが元は同じチャノキを加工したもので、茶葉の発酵具合で違いが生まれます。発酵させていないものが緑茶、少しだけ発酵の進ませたのがウーロン茶、完全に発酵が済んだものが紅茶になります。茶葉には、ポリフェノールオキシダーゼという酸化酵素が含まれており、摘んだ後には徐々に発酵が進み、発酵の過程で香りや色合いが変化していくのですが、摘み取ったばかりの茶葉は熱が加わると発酵が止まります。緑茶は、収穫後すぐに加工されるため緑色を保てます。
2.効果
1で説明した通り、茶葉を発酵させて出来上がるのが紅茶。お茶には、身体を温めるものと身体を冷やすものがありますが、それは茶葉の発酵度によって変わってきます。発酵度が高いほど身体を温める効果を持つため、完全に発酵した紅茶は前者に当てはまります。
紅茶にはポリフェノール、カテキン、カフェインなどの成分が含まれています。ポリフェノールは抗酸化作用があり、老化や生活習慣病の防止に繋がります。カテキンは免疫力の向上させる効果を持っており、風邪や感染症を防ぐ働きを持っています。カフェインは目覚めを良くし、集中力を高める効果がありますが飲みすぎると不眠に繋がってしまうので過剰摂取には注意しましょう。
3.クオリティシーズン
紅茶は収穫する季節によって味も香りも異なります。茶葉の特徴が表れる収穫期のことをクオリティシーズンと呼ばれています。一般に、春摘み(ファーストフラッシュ)、夏摘み(セカンドフラッシュ)、秋摘み(オータムナル)にわけられており、春から秋、季節が進むにつれて茶葉に含まれるタンニンの量が増えていくのですが、その分、発酵が進みやすくなり、紅茶の美味しさが変わってきます。春に摘んだ茶葉は新芽が多く含まれており、発酵が浅く、爽やかな香り、飲み口を楽しめます。夏は一年で最も質の高く、しっかりとした味わいとなっております。秋摘みは甘みが際立ち渋みが少なく飲みやすいため、春、夏摘みの紅茶よりもミルクティーにも適しています。
4.主な原産地と種類
紅茶は世界中で生産されており、雨季、乾季によって香りや品質も異なります。
世界最大の原産地はインドで、ダージリンやアッサムティーなど種類が豊富です。またスリランカのウバや、中国のキームンなども有名です。ここでは代表的な4種類に絞って紹介します。
〇インド
・ダージリン:標高2000メートルに達するヒマラヤ山麓を産地としており、生産量はインド茶葉の1パーセントとごく僅かな希少性の高い茶葉です。春摘みの茶葉は流通が少なく、水色は黄金色です。秋摘みのものは赤みがかった色合いとなり、味には渋みが加わります。ストレートが最も適した飲み方とされていて「紅茶の王様」「紅茶のシャンパン」とも称されています。
・アッサム:北東部の標高50~500メートルの栽培地で育てられており、アッサムは春摘みの茶葉が繊細な香りと味を引き出すことから他の季節と比べて最も品質が高いとされています。夏に摘まれた茶葉は芳醇な香りと濃厚な味わいが特徴でミルクティーに適しており、秋に摘まれた茶葉は味に深みが生まれ、かつ後味がすっきりとしているのでストレート、ミルクティーのどちらでも楽しめます。
〇スリランカ
・ウバ:スリランカで生産されるウバとはセイロンティーのひとつで、メントールのようなキレの良い、独特な爽やかさが飲み終えた後も続く比較的高価な紅茶です。ウバも一年に渡って収穫されていますが旬は夏で、上質なものはカップに注ぐと金色の円がふちに現れます。ウバの持つ独特な香りを活かすためにはストレートが最適ですが、適度なコクがあるのでミルクティーにしても美味しくいただけます。
〇中国
・キームン:漢字では「祁門」。また「キーモン」とも呼ばれる紅茶。産地のキーモン地方は元々、緑茶として栽培されていましたが、ヨーロッパで紅茶の需要が高まるにつれて緑茶より利益率の高い紅茶を作る農家が増え、十九世紀後半には紅茶の産地となりました。スモーキーな香りが特徴で英国女王の誕生日に飲まれる紅茶として有名で、旬は夏。キームンの持つ特有の香りを感じられるストレートがお勧めです。
最後になりますが、最も身近なティーバッグでの淹れ方をご紹介します。事前に温めたマグカップにティーバッグを入れ、沸かしたてのお湯を注ぐ、そして皿などで蓋をし、二、三分蒸らします。お好みで砂糖やミルクを加えて完成です。本格的に紅茶を味わいたい場合は茶葉を選ぶところから。濃さや量を変えながら自分好みの紅茶を探してみてはいかがでしょうか。