2024年12月 日常生活アウトプット系コラム・映画編 愛及屋烏
ミステリと言う勿れ(劇場版)
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劇場版(広島編)・あらすじ
無事に広島で印象派展を鑑賞した久能は、悪漢に絡まれる女性と遭遇する。 しかし、彼女が新幹線からずっと自分の後を尾けていた人物と気付いていた久能は、この『茶番』をスルー。
偶然この場面を目撃していた子供にトラウマが残ったらどうするのだ、と女性と悪漢達にこんこんと説く久能。
改めて尾行者―ー狩集汐路(かりあつまり しおじ)から、久能は唐突にバイトを持ちかけられた。 有無を言わさず彼女の祖父の遺言状開示に付き合わされる事に。
富豪である狩集家には、遺産を1人だけが受け継ぐ掟があり、現在の相続候補は汐路を含めて4人の若い従兄妹達だった。
彼らの前に相続権があった汐路の父・弥を含む彼らの親達は、8年前に同乗していた車が崖から落ちて事故死していた。
代々、狩集家の顧問を務める弁護士一家・車坂家の現当主、義家と税理士一家の真壁家の現当主、軍司によって、相続人を決める「お題」が提示された。 相続候補達は、狩集家にある4つの蔵を1つづつ割り当てられ、それぞれ過不足の無いあるべき姿にせよと命じられる。
過去の遺産相続でも候補者たちは競い合い、殺し合ったと語る汐路。今回も汐路の頭上に植木鉢が落とされ、階段に油が撒かれる等、怪しい事件が続き、猜疑心から啀み合う候補者達。
積極的に関わるつもりのなかった久能は、候補者達の軋轢だけ解消した上で東京に戻るつもりだったが、その晩に何者かに自動車で撥ねられそうになる。
その後、久能は狩集家の一族のアルバムから、一族の中で早逝した者達の共通点に気付く。その事を汐路を含む、候補者達に告げ、更に8年前の親達の自動車事故も殺人だったと推理する久能。
攻撃されると攻撃的になる久能は、改めて狩集家に纏わる不審死に挑む事に。
実写版・変更点
刑事(風呂光)達の扱いの違い
原作の田村は企画を提示された際に、主人公の整をしっかり描いてくれるということで「きちんとキャラと向き合ってくれている」と感じ感激したという。
同時に「風呂光聖子の成長も描きたい。そのため演技の上手い伊藤沙莉をなんとしても起用したい」と草ヶ谷プロデューサーから提案され了承したが、ドラマの終了後には「探偵役と刑事の両方を立てるのは実はやりづらい事だったりするので(実際どっちかが阿呆にされがちだし、協力するのも無理がある)、その為(原作では)刑事達の出番は限定されていました」と、ドラマの刑事達の描写が原作と食い違っていた事も認めている。
その上で田村自身が度々、ドラマの撮影現場に足を運び、スタッフやキャストとコミュニケーションを取り、生身の人間が役を演じているのを目の当たりにした結果、登場人物への愛着がより湧いてきたと言い、ドラマ化前にはさほど重要視していなかった、警察側(青砥や風呂光ら)のエピソードを原作でも展開させるきっかけとなった。
連ドラ最終回に移動した新幹線編
原作では、広島への移動中の新幹線内のエピソードで序盤の話。
広島編が劇場版になったので連ドラでは広島市だった印象派展の次の開催場所がドラマ版では「大阪」に変更され、それに伴い『つかの間のトレイン』での新幹線の出来事が大阪から帰る新幹線になり、美樹谷紘子の目的地も、京都でなく、名古屋に変更されている。
劇場版でも、広島の美術館を訪れている点は同じ。 (つまり、余計な遠出が増えている)
狩集家の問題に関わる事になった理由が、犬堂我路からの紹介かつ、代理として久能が見込まれていた件について、二人が出会うシーン(前述した悪漢に絡まれる茶番はカット)の前、映画冒頭の過去の自動車事故のシーンの直後に浜辺での汐路と我路の会話シーン(原作では汐路の述懐だった)が差し込まれ、大凡の背景が先に視聴者に分かる様になっている。
広島に久能が向かった理由の違い
原作:バスジャックで印象派展に行けなかった久能をバスジャックでの推理力を見込んだ犬堂我路が、自身の代理として、狩集家に関わらせる前提で「広島でも印象派展をやっている」と久能を誘導した。
映画:印象派展に行きたがっている久能を誘導するべく、汐路が友人に頼んで『広島行きのチケット』を久能の大学で安く売らせた。
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