Cross Over Is Like #12
2025年1月 好きなクロスオーバー作品をご紹介 愛及屋烏
千里眼 マジシャンの少女
千里眼とニュアージュ
探偵の鑑定
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千里眼シリーズ
『千里眼シリーズ』は、日本の小説家・松岡圭祐が1999年6月に小学館より刊行し、ベストセラーとなった『千里眼』より始まる、一連の「千里眼」作品群の事である。
概要・1
元航空自衛官のイーグルドライバーで現在は臨床心理士の『岬美由紀』を主人公としたミステリー・エンターテインメント作品となっており、今までに累計600万部以上を売り上げる人気を誇っている。文庫化や版を重ねた物には、加筆・修正がされ、読者を飽きさせない物になっている。
松岡は、自身のホームページにて「なるべく新しい版の物を読んでください」と述べている。 小学館文庫版は12作でいったん完結。
これをクラシックシリーズとして角川文庫で再発売する際、初期の作品には内容に大きく手を加えて「完全版」と銘打ち、更に一部の作品は新作と入れ替えて、刷新した。 角川文庫の新シリーズは、このクラシックシリーズの続編。
「催眠」シリーズの主人公『嵯峨敏也』や、「蒼い瞳とニュアージュ」シリーズの『一ノ瀬恵梨香』が登場する作品もあり、他シリーズと登場人物がリンクしている。
2000年には麻生学監督、水野美紀主演で映画化された。
10周年記念である2009年春には、著者の松岡による監督の下、撮影された映像版「千里眼キネシクス・アイ」が完成。 元々は、映像化検討用に制作されたパイロット版で非公開の予定だったが、期間限定商品として本とDVDがセットで販売された。 更に映像版はCGカットをリニューアルし東映ビデオで2009年10月9日にレンタルリリース。
2009年の「キネシクス・アイ」小説版では、更なる続編への伏線が張られ、暫くシリーズの刊行が中断していたものの、2021年4月『千里眼の復活』で再開。 刊行は再び角川文庫。 その続編の『千里眼 ノン=クオリアの終焉』告知以降は、令和千里眼シリーズとされるようになった。
あらすじ・2
防衛大学校を首席卒業し、幹部候補生学校を経て航空自衛隊に入隊した岬美由紀は、女性自衛官として初のF-15Jパイロット、イーグルドライバーとなる。
階級は二等空尉。所属先は百里基地の第204飛行隊。
しかし美由紀は、両親を事故で亡くした事もあって、事実上軍隊であるところの自衛隊に属している事に自己嫌悪を覚える。
楚樫呂島災害の際に命令を無視して、救助ヘリUH-60Jで被災地に向かった事から上層部の反発に遭い、更に小松基地に出向した際の北朝鮮の不審船を追尾する為の戦術航空支援任務でも命令を無視し被害者を救おうとした為、査問会議にかけられる。
幕僚監部は、反抗心はあっても優秀な幹部自衛官である美由紀を辞めさせる事を好まず、代わりに上官の板村三等空佐の精神面の問題を指摘し、精神科医・笹島雄介の証言を得て、板村を失職させて決着を図ろうとした。
美由紀はこれに憤り、自らも自衛隊を辞めた上で、精神科医の証言に誤りがあると認めさせる為に心理学のエキスパートへの道を志す。
選んだ資格は臨床心理士だった。
その理由は医師を目指すには時間がかかりすぎる事、そして防衛大を首席卒業している美由紀には、指定大学院制度の例外として特例が認められると聞いたからだった。
千里眼の異名
岬美由紀のニックネームは、作品及びシリーズの題名の由来でもある『千里眼』であるが、本人はこの呼ばれ方を非常に嫌っている。
なお、千里眼というニックネームは元来、彼女の師である『友里佐知子』の異名であった。友里佐知子はこの千里眼と言う異名に異様な執着を見せ、「自分自身こそが千里眼」と、断固として異名を譲ろうとはしなかった。
自衛隊で美由紀は幹部候補生としての訓練を受け、女性初の日本主力戦闘機F15Jのパイロット、いわゆるイーグルドライバーになった(主に同じ二等空尉の岸元と搭乗)。
これによって人並みはずれた動体視力を培った上で、臨床心理学を幅広く学んだ事により、瞬時に相手の心理を読み取るずば抜けた観察眼が養われていった。
また、様々な分野の知識を兼ね備えており、洞察力・推理力・判断力にも優れている。「千里眼」とは、これらの技能や知識が統合された結果、そういう印象を与えているだけであり、岬美由紀は決して超常的な能力の持ち主ではない。 各種格闘技にも長けているが、それも動体視力との連動である。
旧小学館版シリーズでは眼球の運動と表情筋で相手の心理を読んでいたが、角川版はこの設定を科学的な裏付けがない事として否定。 表情筋と話し方、全体的な反応(ポール・エクマン※の表情観察法)から相手の心理を読み取っている。
※感情と表情に関する先駆的な研究を行ったアメリカ合衆国の心理学者。
20世紀の傑出した心理学者100人に選ばれた。 エクマンは、あらゆる表情を分類する為にFACS(Facial Action Coding System、顔動作記述システム)を考案した。 これは表情に関連する精神医学や犯罪捜査の分野で幅広く利用されている。
エクマンは表情以外にも広く非言語コミュニケーションの研究を行った。 同情、利他的行為や平和的な個人関係の科学的解明にも尽くした。 更に人々が嘘をつく事、嘘を見破る事の社会的な側面の研究にも貢献した。 ディミトリス・メタクサスと共に視覚的嘘発見器の開発を行っている。
アメリカのTVドラマシリーズ『Lie to Me(ライ・トゥ・ミー 嘘の瞬間)』の主人公である、カル・ライトマン博士のモデルとなった。
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