AIの産み出す芸術

かつて、AIで出来ることはおおむね人間の作業の補助や、データの管理といった役割に徹したものでした。
近年はAIでできることが多様化しています。
人間の積み重ねた多くの生産活動を学習することで、AIから生産物を提案できるようになりました。
不十分な学習の分野でAIの提案する生産物は、粗さがみられるものが多いといえます。
しかし、AIが十分に学習を積み上げた分野については完成度の高いものを生産できるようになりました。

AIと人間の関係

現代は、AIは人間の生産活動においてパートナーになりつつあるといえます。
人間はAIに様々な分野の教育を施します。
旧来は、AIの生産するものは与えられた教育の範囲から逸脱しないものにとどまっていました。
しかし現代は、AIは学習した様々なことを複合させ、創造的な生産ができるようになりました。
AIの生産するものは、時として大変優れたもので、AIに施した教育の範囲を超えていることすらあります。

AIを用いた芸術

AIの生成した文章やアイデアを活用した作品が、芥川賞を受賞したことがその一例です。
作家の九段理恵は、「東京都同情塔」という作品で芥川賞を受賞しました。
執筆にあたり、5%ほどの文章はAIの生成した文章をそのまま使っていたことが明らかにされました。
それでも、創造性の高い文章であることが評価されたことは変わらず、受賞取り消しといった事態には至りませんでした。
これは、創作活動にAIを利用することは差し支えないことを意味し、AIが生成した文章による文学賞が創設されるに至りました。

AIが生成できるものは、文章のみではありません。絵画においても、AIが生成した作品がデジタルアートのコンテストで1位を獲得し、多くの作品が高額で取引されています。また、AIが古典作品の復元を試みることや、真贋判定をする取り組みがなされています。

AIの問題点

教育現場での利用

このように、AIによる創作活動は高度化を極めています。
しかし、それに伴う問題点も露出してきました。
簡単に文章や画像を生成できることから、学校教育におけるレポートや芸術の提出課題に学生がAIを利用するケースが増えてきました。
このことで、学生の能力を正当に評価することが困難になっています。
AIの利用か否かを判定するソフトウェアも開発されていますが、当分はいたちごっこになりそうです。

法的な問題

また、AIにより生成された作品の著作権はどう扱うのかといった点などの多くの問題点は議論が深められていません。
著作権においては、世界的にみても認められたケースも認められなかったケースも存在します。
児童ポルノのような違法性が生じうる作品の生成についても、どこに責任があるのかといったところから議論を始めなければならない状況です。
現状は、裁判以前に十分な法整備ができていない状態といえます。

まとめ

芸術家の中には、AIの生成したものは想像的・感性的ではないといった意見をもつ人もいます。
AIの生成する作品はそれまでの作品を模倣・応用したものに過ぎないというものです。
全く想像的・感性的な作品を産み出せる芸術家ならよいのですが、芸術家自身が模倣・応用にとどまる作品を産み出すにとどまるなら、AIに居場所を奪われるかもしれません。

AIによる芸術は、人間の感性に訴えることができるレベルになっています。
しかし、手放しで受け入れていいかといえば、そうとは言い切れない状況です。
AIの利用の利点と問題点を把握し、上手に活用していくことが大切になっています。

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