食虫植物は作物の育ちにくい環境に住む。土壌の質が悪く、根を通して土から栄養をとれないがために昆虫や小動物を捕らえて消化できるように葉が進化したらしい。葉の表面から粘液を出したり、貝のように閉じる仕組みを持つなど捕食葉の形状も至って様々だ。
その、食べる気全開の斬新な姿に魅了されて育てたことがあった。が、どれも一年足らずで枯れてしまった。常に鉢の中は湿らせていたし、日光を好むので西日のあたる出窓に置き定期的に液体タイプの活力剤を吸わせ、と、箱入り娘状態にしたところ、駄目だった。特別ウツボカズラはハードルが高く、本来であれば葉の先端に蓋のついた落とし穴を設けるはずなのに一切出さず、蘭にも似た、つるりとして分厚い葉っぱを伸ばすだけだった。
栽培に成功したのは妹だった。同じ品種、挿し木で増やした個体をわけたものだ。神経質に愛情を注いだつもりになっていた私とは異なり、部屋の隅で放置され、月に何度か、思い出したときにのみ水やりを行うようなサボテン並みの扱いを受けた結果、生存本能からか葉先は袋を作っていたし元気に冬を越えた。過酷な状況に陥って野生らしくなった、としか言いようがなかった。自分が思っているより逞しい。