
改めて読むと、ロミオにとって恋敵のパリスの台詞があって、ジュリエットにとっての恋敵のロザラインが存在だけ暗示されていることが面白いなと思った。ちょっと見てみたいな自我バリバリのロザライン(笑)
河合訳はやっぱり良いな。アリスでも原文の韻をいい感じに翻訳していて、やっぱりこういう翻訳が合う人なのだなと思った。今回のロミジュリも小説文体にされているつばさ文庫版は読了済なんだけど、ト書きのままというのも韻が強調されていいね。
この話のラストは犠牲によって争いが止まる、なんだけどそれが犠牲あってのものというのがなんとも後味が悪いよな。それこそ主役二人にとっては最強のバッドエンドなわけだし。
後書でシェイクスピアは整合性よりも勢いを重視する、と書かれていたけど私も「こまけぇことはいいんだよ!」みたいな勢いの話は割と好きで、シェイクスピアの創作姿勢には共感する。
注釈も結構多くて、読んでいて楽しい。どこで韻を踏んでいるかとか、原書ではどういう矛盾があるかというのは原書を読めない人間としてはありがたい。
もちろんかの有名なシーンである「どうしてあなたはロミオなの」は一句違わず入っている。これもとても嬉しい。ロミジュリの原作で最初に読むのは正直これがいいと思っている。