横半分に切ったグレープフルーツの断面に砂糖をかける。例えば苺に練乳をかけるように、間違いなく美味しくなる正の足し算だと信じている。スイーツ感覚で楽しむために生のトマトにもそうする。
邪道かもしれない。私は疑問を持たずに長年の慣習を守り続けているわけで、不特定多数のかけない派からしたら、素直にそのままの状態で味わえばいいのに、とか、健康に悪いとそんな見方をされるだろう。
逆に、これはどうなの? と怪しむ組み合わせ。温かい蕎麦に饅頭の天ぷら。福島の会津地方で親しまれ、お店でも提供されているほどである。さらには徳島の、甘く煮た金時豆を生地に混ぜて焼くお好み焼きも。どちらも地域特有の文化や方言を紹介するバラエティ番組で知り、ぎょっとした。共通して(後者はソース込みで)確かに日本人に好まれる甘辛い味付けではあるが、だったら別々に味わいたい、というのが本音。食べたことがないのでそんな風に億劫に思うだけで、案外、試してみたらハマるのかなあ。生まれ育った地域が地域だったら、グレープフルーツに砂糖をかけるのと同じく、ごく当然のことと受け取っている気がする。慣習にこだわると安心を生むしそれを良しとするコミュニティの結束力が高まる、が、あまりにも固執しすぎると時代や環境の変化に対応しにくく外部の価値観を尊重できなくなってしまう。理解できなくとも、他者の文化やアイデンティティを受け入れるだけの心の余地が欲しい。