よく旅先やちょっとした食事の場で、早くおうちに帰りたい、と思う。緊張で疲れたりまた退屈から逃れたいがあまり、ふと、そういう気分に陥る。仮に適当な言い訳を立てて帰宅したとしてもその後の予定はなく、ただ、パジャマ姿でベッドで横になって、だらだらとスマートフォンでネットサーフィンをしていたい。
主人と新しい住宅に移った途端、飼い猫が行方不明になったという記事を新聞で読んだ。見つかった場所は遠く離れた引っ越し前に住んでいた家だった。不慣れな地域を通ってでも元々暮らしていたところに戻る、つまり、帰巣本能がそうさせたわけだけれども、そのような動物的な本能が人にもあって、脳にプログラミングされていても不思議じゃない。社会生活によってストレスが溜まり、そして無意識のうちに、身体の根っこの部分から信号が発されているのかも。