今回は夏なので、背筋が凍るようなおすすめの映画作品を紹介する。
「生きた肌」(2011年作品 日本での公開は2012年 スペイン映画)
アントニオ・バンデラス主演。
ある夜、アントニオ・バンデラス演じる形成外科医の男性の一人娘が、ダンスパーティーに行ったのだが、帰り際に、一人の青年というにはまだ若すぎる少年に犯されてしまう。
そして、迎えにきていた父である形成外科医はそれを見てしまう。娘は犯され、精神が不安定になりのちに自殺してしまう。殺されたも同然と思った父である形成外科医は、復讐の為に少年を誘拐し、家の地下室に、監禁する。彼はある研究をしていて、どんな火傷にも耐えられる人工皮膚を開発させていて、その実験台に少年を使おうとする。
形成外科医には、恐ろしい野望があり、監禁された少年は何をされるのか分からない恐怖で毎日を過ごす。しかし6年の月日が流れ、ゆっくりと進んだ実験は、なんと少年を性転換手術、豊胸手術、顔の輪郭を女性のように形成手術するなど完全に少年を女性にしてしまったのだ。それまで鏡を見せてもらえなかった青年は、ショックではあったが、監禁映画にありがちな、形成外科医をゆっくり信用させ、外に出る機会を狙っていた。そして、青年は形成外科医から何か月もかけて信用を得て、ついに外に出ることができ、家政婦の目を盗んで、逃げ出し、逃げ切れなくなった彼は形成外科医を銃で殺してしまう。しかし、それに躊躇せず思いっきり走って、自分の家に逃げ帰った。最初は、家にいた姉に、声も見た目も完全に女性のため、青年のことを、信じてもらえなかったが、昔誘拐される直前に、二人だけの時にある約束をしたことを話したら、姉は女性が自分の弟だということを信じ、抱きしめる。両親などは出てこなかったので分からないが、この青年はこの女性の体を受け入れて生きていくのだろうなと思った。これがまた綺麗な容姿の仕上がりで、形成外科医は死んだが、実験は成功したといえよう。そして、娘の復讐も済んだであろう。青年も少女をレイプした罪の償いは充分にしたことになると思う。この作品で、一番怖いのは、少年の性器をゆっくり取り外していくシーンである。少年自身もそれが分かり、やめてくれと懇願するが、拘束されていて、されるがままだった。もちろん、そのシーンが写されるわけではないが、少年の恐怖と絶望の表情を観ていると、こちら側にもよく伝わってきた。豊胸手術や顔の形成手術には、映像としてはあまり力をいれていなかったが、性転換手術のシーンには、監督も力をいれていたようだ。豊胸手術や顔の形成手術はやり直しがきくが、性転換手術は、一度したら、二度ともとに戻らないので、そこがより衝撃的だった。最後に少年が姉と再会したシーンは、誘拐されてから十数年の月日が経っていたかのように、姉が弟が戻ってきたことが信じられないかんじで、二人が抱擁したシーンは感動的だった.
姉弟の仲の良さも感じたし、二人の昔約束したことが、少年の性が変わっても、叶えられる事で良かったと思う。そして新たな幸せをつかんでほしいと思った。
