作家のエッセイというものは、他愛のない話が面白く書けるかが勝負だと思う。本書はまさにそのアプローチを直球で行なったものだ。Amazonの解説には「とるにたらないけれど、かけがえのないものもの。」とある。江國さんにとっての宝物を集めたエッセイとも言える。
作家ならではのエッセイである「鉛筆とシャープペンシル」「『けり』という言葉」「座右の銘・もしくは好きな言葉」「カクテルの名前」が印象深い。他にも、それぞれのテーマの単語を大事にしている印象を受けた。
シャープペンシルの話は利便性は圧倒的にシャーペンだが、言葉としては鉛筆が好きという話に共感してしまった。日本語の美しさゆえ、か。
〆のエッセイに運転免許証を持っているから、運転しても怒られないという気分になるのがなぜか不思議、と綴られているが、法的に得た権利というものは免許に限らず年齢に達し得たもの、社会人という立場で得たものにしろ、結構実感が湧きにくいのかなと考えてみたりする。
発行が2003年なので、アナログツールの話が多いのもポイントで、江國さんはこの本を出した段階で39歳だったという。わたしもこういう生活を今後送りたい。作家ならではのスローライフ!今の時代だからこそ、よね。
