クリスマスに帰省ができないギムナジウムの生徒であるマルティンが、正義さんにクリスマスプレゼントにと実家までの交通費を貰う。返済不要、ということでクリスマスプレゼントと解釈するのが妥当だろう。正義さん、いい人だよな。古典海外文学にはいい大人が必須だよ。この時代お金には今よりもシビアだしね。
マルティンが帰省できない理由は父親の失業であり、普段貰っている交通費が工面できないという、なんとも悲しい話。後に父親は再就職が叶うものの、長期休暇に(仕送りをしている)親の経済的事情から帰省ができないというのは現代の寮生においても(親との仲が良い場合は)かなりショックな話だと想定する。
彼らは子供で、寮で暮らすための生活費は親の仕送りから工面している。だからマルティンの両親はおそらくプレゼントだけは送っておきたい、と無理してでもプレゼントを贈ったのだと考える。
マルティンが正義さんのおかげで帰省できた後にプレゼントを開くと、まさにマルティンのためのプレゼントで、絵を描くマルティンのための画材まである。マルティンは本当に絵を描くのが好きなのだとほっこりした。そのお礼を家族の前で言うことができたマルティンは幸せ者だと思う。
冬休みまでの描写はマルティン周辺の友人たちの話が主。「飛ぶ教室」は彼らの行う演劇の話で、その情景が微笑ましい。とくに、女装をしたシュテッカーのかわいさが脳裏に浮かぶ(マルティンたちのいる学校は男子校を想定している模様で、そのときの生徒のおどろきといったら…) だから、友人たちと同じく帰省できたマルティンは心底ほっとしたのではないかと思う。
人は死なない話だが、それでもマルティンの寂しさに胸がしめつけられてしまうのは貧しい子供の話だからなのかなと。
