映画「ハウスメイド」

今回も、背筋が凍るような怖い作品を紹介する。「ハウスメイド」(2010年韓国

1960年「メイド」のリメイク版)メイドときいて、日本のドラマ家政婦は見たとか家政婦のミタを思い浮かべていてはならない。ポスターもエロティックで、なんだか怖い。

裕福な豪邸に住み込みで働くことになった貧しい若い女性。その家庭は、事業に成功した若い主人とその妻、そして妻の母親が暮らしており、昔から住み込みで働いている老メイドも住んでいた。若いメイドは、先輩家政婦に指導を仰ぎ真面目に仕事をし、いつも笑顔でこの家族の信頼を得ていく。しかし、主人の妻が妊娠したところから話が狂ってくる。

主人が、メイドを誘惑してきたのだ。妻が妊娠中で夫婦の関係が希薄になっていたこともあり、自信満々で傲慢な主人は、メイドに手を出そうとしてきた。メイドは、最初は困惑し、気もちを抑えたが、主人の甘い言葉にのせられ関係をもってしまう。そして、二人の逢瀬は何度も繰り返され、メイドは妊娠してしまう。

昔からこの家に仕える老メイドは、主人の浮気やその他の秘密を知っても従順に立ち回るが、新しいメイドが主人との間に妊娠したころから妻の味方になり、妻に若いメイドが主人の子供を妊娠したことを告げ口し、妻の命令で、事故に見せかけて、若いメイドを殺そうとする。

妻は、もともとプライドが高く、自分が一番と思う性格だったので、夫の浮気と自分より若くて、貧しいメイドが夫の子供を妊娠したことを知って、許せなかった。老メイドは、それらを見て、命令されれば、犯罪のようなこともした。

夫妻の子供が生まれると、しんどいことは若いメイドがやり、遊ぶ時だけ夫妻は、子供と一緒にいた。夫婦の子供が、自分に懐いてくれていることだけが、若いメイドには救いだった。しかし、

妻とその母親は、家の名誉と財産を守るためだけに、若いメイドが子供を産んでは困るので、事故に見せ掛けて階段から突き落とし、その上無理矢理流産する薬を飲ませ、若いメイドは、流産してしまう。誰も助けてくれない豪邸にいて、心身共に傷ついた若いメイドはこの家から出ていくことになる。

しかし、数週間後、豪邸でパーティーが開かれているとき、ゲストが沢山いる中、若いメイドが豪邸に舞い戻ってきて、いつもはまとめていた髪をおろし、白い腹を着て、天井に吊るされているシャンデリアに二階に上がる階段から乗り移り、首をつって、まるで振り子のようにゆれて、子供を殺されたことを許さないと言うと、持っていた蝋燭の火を体につけ、火あぶりのような状態で苦しみながら死んでいった。このシーンがものすごく頭にこびりついていて、結婚していて、浮気をされた人は、この映画を浮気した相手に見せるといいと思った。あなたが浮気したら、私もこうするぞと精神的にいためつけられる。若いメイドは、貧しいうえに、大事なものを取られた悔しさを、自分の身を持って、示したのだ。

若いメイドの行動で、夫婦は、気がおかしくなり、なぜか誕生日の歌を妻が唄いだしたりして、さらにおかしくなる。これだけでも、インパクトが強いのに、老メイドも、若いメイドが亡くなって、豪邸を去った。しかし、見た目だけでも平静を保つようになった家族のところへ、再び老メイドが現れ、若いメイドの残した血を顔や体に塗りたくり、おかしくなったのかと思うように、笑いながら踊りたおすのだった。若いメイドの血を残しておいて持っていたのも怖いし、なぜ、裕福な家庭に何十年も仕えていて、今更何かの復讐をするかのようなことをしたのか。そして、周りの人々を恐怖に陥れ、そのまま立ち去り物語は終わる。

私は、若いメイドの死に方のほうが、怖かった。強烈そのものであった。老メイドは、何を考えているのか分からなかった。いつも、ドアの隙間から、主人と若いメイドの逢瀬を見ていたり、メイド同士で助け合わず、金持ちの言いなりになっていたり。最後、この家族に一生忘れられない爪痕を残して、去っていったからだ。

韓国では、富裕層と貧困層の差がかなり激しく、他の映画やドラマでも、よく問題定義される。韓国では、血縁関係が重視され、親がいない人間は、例え本人が立派な職業についていても、追いやられてしまったりする。老メイドもきっと長年この家族に虐げられていたのだろう。どんなに完璧な仕事をしてもメイドはメイドだからである。そこに若くてよく働く新しいメイドが入ってきたら、自分の立場が脅かされると感じたのかもしれない。最後に、老メイドが出ていったのは、この家族がおかしくなって、それまでの恨みつらみをはらせたからかもしれない。だが、顔や体に、他人の血をつけて笑い踊る心理は、どう考えても分から

ない。

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はる組

こんにちは。 懸賞応募と海外留学などのエッセイを読むのが趣味です。 発達障害で困ることも沢山ありますが、どうよろしくお願いします。

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