新潮文庫版は既読。
実質的な主人公はジキル博士で、弁護士アタスンの視点により物語が展開していく。アタスンが行った捜索とジキルの手記からジキル博士がどう破滅していったかが淡々と語られていき、最後はジキル自身の消滅で終わる。
ジキル博士はハイドを作り出したものはいいものの、人格を作り出すことが倫理に反することには気づかなかったんだろうか。そりゃあ人格を作り出したなら、その人格が暴走するのは十分ありえる話なわけで。作中の時間が経過するにつれ、ジキル博士の身体の中にある人格がジキル>ハイドからジキル<<<ハイドになったという話はとても恐ろしい。自分が作った人格に呑まれて消滅していくジキルが哀れすぎる。
また、ジキル博士とハイドが別人とアタスン達に区別されているのは、外見の違いだ。ジキル博士は長身の中年男性。一方、ハイドは若い身長の低い青年。ジキルはそれらを自分が作った薬によってコントロールしていたわけだが、配合の違い(副作用もあるかも)で効かなくなってくるのはジキルが自分の技術に自信を持ちすぎたのか、それとも自分が二重人格であることに快感を感じていて、ブレーキが効かなかったのか。
ジキル博士は自分の中の悪い感情を分けてみたい…とハイドを作り出したらしいのだが、そもそも善悪の感情って完全に分けられるものじゃないよね。人間生きていれば何度かは思うよ。でもジキルはそれを追求したかったんだろうなあとは思う。
