コスモス畑になればまだいいのに

 およそ5年前から、秋が近付くと家の敷地のあちこちでコスモスが咲く。どこからか種が飛んできたのだろう。勝手に生え、以後、毎年見かけるようになった。当初はいつの間にか綺麗に咲いたな、ぐらいに軽視していたけれども、株の数が年々増え続けてミントを凌ぐほど種の陣地を拡大させている。意図しない場所にぽつぽつ生えると、土壌や日当たりが異なるが故に形や大きさが不均一で、草丈が高いからこそ余計、悪目立ちする。コスモス自体は雑草の類ではないのだけれども、他の雑草と一緒に生えていると見た目が乱雑に感じてしまう。 雑草かどうかの判断は人の価値観と用途に依存する。庭や公園などで意図的に栽培されず、また管理が届かない(もしくは望まない)植物に対して、大抵の人はそれを雑草と受け取るように、我が家におけるコスモスは雑草に近い認識になってしまっている。

 きっと今年もどこかで咲く。まとまって咲いてコスモス畑になればまだ可愛げがあっていいのに。何かしら、使い道を探すか庭の景観のために引っこ抜くしかない。

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行谷いさご

たまに講座を受けながら十年ぐらいエッセイを書き続けています。くどい言い回しが表れたり、感情を挟む以上に説明文が長かったり、その辺を何度も読み返して反省を繰り返しながら一作品、また一作品……と、丁寧に、少しずつ作り上げていきたいです。

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