不確実性を受け入れる

 特別、大きな失敗をした経験があるわけでもないのでたぶん生まれつき。不安を先取りしすぎるがあまり、タスクやイベントに対して必要以上の準備をしないと落ち着かない。

 例えばカラオケに誘われたとき。その日からなるべく歌(というか発声)の練習をする。が、いつになっても何かが足りないと感じ、納得できる段階に至るまで約束を先延ばしにしてしまう。完璧な準備を自身に求めようとすると、今度は実行に移れなくなるのだ。備えあれば憂いなし、になるのはいつかわかったもんじゃない。

 無事にやり遂げても、後でどっと疲れる。物事をスムーズに進めたい一心で、旅行のスケジュールを分刻みで決めたりすると、肝心の旅行よりも時間がかかる。完璧を目指そうとするとプレッシャーが生まれ、結果、脳が疲弊。既にエネルギーが切れかかったまま本番を迎えるからだ。だから、楽しむ余裕もない。準備をしっかりすることに本気になると心の負担が増し、ストレスや不安が雪だるま式に膨れ上がる。

 意図的に、完璧を目指さずに八割の完成度で満足するほかない。どうせ想定外のアクシデントやミスもあるのだから、すべてコントロールできない、と割り切って不確実性を受け入れる方がよっぽど、柔軟性を持てる。

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行谷いさご

たまに講座を受けながら十年ぐらいエッセイを書き続けています。くどい言い回しが表れたり、感情を挟む以上に説明文が長かったり、その辺を何度も読み返して反省を繰り返しながら一作品、また一作品……と、丁寧に、少しずつ作り上げていきたいです。

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