いつまでタイム

 このコーヒーはいつまでに飲み干せばいいのだろう、とラップを巻かれた頭でぼんやり思う。美容室でカラー剤を塗りたくられた後、これといった理由もなくホットコーヒーを頼むと、差し出されるのはびっくりするぐらい淹れたての熱々。一旦、鏡台へと戻す。

 美容師から受信する「待ち時間に飲むように」という無言の圧は感じ取っている。けれど限られた時間の終着点がわからないから焦るのだ。かといって、暫く冷ましているうちにシャンプー台に案内されたらきっともう飲めない。次に飲む機会は洗髪が済み、ドライヤーで髪を乾かしたお会計の前。でもコーヒーが余計冷めるどころか、十中八九、ドライヤーの風で皮脂汚れや毛くずがコップに入るのを危惧して撤去されるに違いない。というか、そうであって欲しい。

 そんななのでホットコーヒーは出されて2、3分もしたら一気に飲む。ホットを楽しむというよりも、美容室での儀式の純度を守るためにそうする。同じ時間に店内に入るわけじゃないから、他の、縮毛やカラーをお願いするお客さんがどうしているのかわからないし、その辺は気になるところ。

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行谷いさご

たまに講座を受けながら十年ぐらいエッセイを書き続けています。くどい言い回しが表れたり、感情を挟む以上に説明文が長かったり、その辺を何度も読み返して反省を繰り返しながら一作品、また一作品……と、丁寧に、少しずつ作り上げていきたいです。

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