少し前に遡るが、十一月の誕生日にお茶菓子とインスタントのノンカフェインコーヒーが届いた。差出人は妹だった。私の好みに合わせた、甘さ控え目の抹茶のお菓子は量が多かったので、家族で毎日少しずつ味わった。
届いたその日からノンカフェインコーヒーも飲んでみた。いい意味で、従来のコーヒーと大差ない味。これなら夕方から夜かけて飲んでも罪の意識を持たなくて済むし、十中八九、睡眠に支障をきたさない。寝る前にだってコーヒーを遠慮なく楽しめるじゃないか。
日中は普通にコーヒーメーカーで淹れたものを飲み、夕方以降はノンカフェインに切り替える生活を続けた。先に在庫が尽きたのは通常の豆の方で、数日に渡っては午前午後に関わらずノンカフェインコーヒーですごした。
そうしているうちに、何とも言えないモヤモヤを感じ始めた。煙草の本数を減らしはじめた日を思い出すように、頭の中で何かがずれる違和感。居ても立っても居られず、家の近くの駄菓子屋前の自販機で缶コーヒーを買って飲んだ。日常的にコーヒーを飲む身としては、やっぱりある程度のカフェイン摂取が必要不可欠だ。急にカフェインを断つのは、耐えがたい。
結局、ノンカフェインは当初の使い方に留めておけば良かった。以後、原点に戻ってそうしている。
それ以来、コーヒーの時間はより意識的なものになった。朝の一杯は目覚め、午後のそれは集中力を保つための儀式として。そして夜はリラックスするために……。妹の贈り物はそんなバランスを教えてくれた。カフェインを完全に排除するのではなく、適度に取り入れる。人生の他の習慣にも通じそうな教訓だ。
