先日、買い物先で偶然にも、いとこに会いました。
彼女の父親は彼女が生まれてすぐ、バイクの転倒事故で下半身不随になり、車いす生活を余儀なくされました。
退院後、職業訓練を受け、自宅で時計の修理をして生計をたてていました。
私はそのおじさんから、中学の時に始めて時計をもらいました。
その時計は変わっていて、時計の裏がスケルトンになっていて中の動きが見えるようになっていました。
私は複雑な歯車の動きに魅了されました。
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高校生になった時、新しい時計をもらったので、その時計はいとこにあげました。
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おじさんが五年前に亡くなってから、いとこは「ゼンタングル」という絵を描くようになりました。
「ゼンタングル」とは単純な「タングル(模様)」を描いて作品を作りあげるアートの技法であり、その実践の最中に瞑想状態になることが「禅」でもあります。
かと言って、宗教というわけではなくて、その効果は一つの作品となり達成感が生まれ、その過程は瞑想状態の様々な効果が得られます。
彼女は父親をともらうように「曼荼羅」のようなその「ゼンタングル」を描き続け、講師の資格を取るまでに成長しました。
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彼女の家の仏壇に飾られた写真を見ながら私は
「おじさん、私は病気をしてから人生の歯車が狂ってしまったよ。」
とつぶやきました。