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 身に覚えのない差出人からの領収書がスマートフォンのメールボックスに届く。またか、と、思い、未読のまま削除する。毎朝こうだ。明らかに関係のなさそうなところから送られてきたら読むまでもない、が、私が普段使いしているクレジットカード会社の名前を用いて、さらに言えば、妙に出来がいい内容だと、不安になる。誰かが乗っ取ってカードを利用した可能性があるからだ。その段になると、送信者のメールアドレスから真偽を確かめる。十中八九、企業らしくないアドレスで安心すると同時に、どっと疲れる。クオリティが高い迷惑メールは神経の出費が激しい。

 そのような類のメールに記載されているURLを踏んだり、ましてや返事を返すことはこれまでないけれども、妙にストーリーを仕立て上げて送られてくると、割と気になる。

 実は以前、山Pを名乗る者が私を事務所の後輩と勘違いしてメールを送って寄越した(勘違い自体がストーリーの一部です、念のため)。それが妙に印象に残っていて、時々、思い出しては独りでに苦笑してしまう。

 内容はこうだ。俺山P、携帯を失くしたので、代わりにマネージャーの携帯を使って文章を送っている、届いているのなら返事が欲しい……といった具合で、よく知らないけど山Pはたぶん自分の事を山Pと言わないんじゃないか、と、内心ツッコみつつ、返信したらどんな話が待っているのだろうと続きを読みたい気持ちが湧いてきてしまう。とはいえ、興味が勝って、しっかり届いてますよ、とか、いや私こそが山P本人ですが貴方は何者ですか、などと返信したら、返信があった、という結果だけを向こうは重視し、続きを披露するどころでなく単純にカモとして扱われ、怪しげなメールがさらに押し寄せてくる予感がする。やはりノータッチがいい。

 それにしても、迷惑メールを考える人達の実態がよくわからない。自称カード会社や、自称アイドル班、という風に担当に分かれて各々作業しているのだろうか。知らないどこかで。

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行谷いさご

たまに講座を受けながら十年ぐらいエッセイを書き続けています。くどい言い回しが表れたり、感情を挟む以上に説明文が長かったり、その辺を何度も読み返して反省を繰り返しながら一作品、また一作品……と、丁寧に、少しずつ作り上げていきたいです。

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