恋愛というものを現実に体験して、成就させている人たちに驚嘆する。
この間、テレビ番組で「愛の不時着」というドラマのような恋をした人たちの話が紹介されていた。
国籍も話す言葉も違う二人の男女の恋の行方にハラハラしたものだった。
立ちはだかる壁、会えない日々、周囲の横やり…どうしてこうもこの男女はこんなつらい思いをしてまで、恋をするのだろうか。このようなガッツがあれば、きっとこの人たちは空も飛べるだろう…と私は思った。
きっとこんな熱い思いを抱いたことなど、私の今までの人生にもこれからの人生にもない。
一緒に観ていた母は感動し、涙で頬を濡らしている。私はそこまで熱く感じることはなかった。「おー」と感心する程度である。
しかし、事実は小説よりも奇なり。本当にドラマチックで燃えるような恋をした男女が、数々の障壁を乗り越えて結ばれた実話には、ただただ圧倒される。
見終わった後も余韻はしばらく残り、「結ばれて良かったね」とか「すごかったね」とかいう言葉を母と投げ合っていた気がする。
私は「恋愛」という言葉とはかけ離れた人生を送ってきた。本当にほとんど縁がなかった。
お付き合いをしたことがないわけではない。でも、どれも碌な結末を迎えなかった。思い出したくもない。
とにかく、誰かと深く純粋な気持ちで愛し合うだとか思い切った行動に出るなどということはなかった。
だから、恋のために様々な困難を乗り越えた人たちの話を聞いても、いまいち共感できない。すごすぎる。圧倒されてしまう。私が関知できる範囲を超えた出来事である。
私の数少ない知人・友人たちも大抵恋をして、結婚をしている。一体全体どういう仕組みでそんなことになるのだろう。
私の恋愛イメージは少女漫画で止まっている。なんというか、美男美女が惹かれ合って、じれったい思いをしながらも結ばれるという感じ。
前提として「恋愛=美しいもの」という思い込みがある。しかし、この思い込みは間違いで、恋愛は決してきれいごとばかりじゃないという人がこの世界において大半だとは思う。
でも、私は恋愛に夢を見ている。美しい人たちが美しい夢のような甘い時間を過ごして、幸せのままに結ばれる。そしていつまでも幸せに暮らしましたとさ…といった感じで終わる。そうであってほしいと願う。
もっと言えば、私は自分が恋愛する主体だとは考えていない。多分、今後の人生で誰かを好きになることも、好きになられることもないのだろうなと思っている。
昔、一度だけある人に恋をして20年ほど片想いをしたことはあるが、片想いで終わった。それ以降は、取り立てて誰かを強く想ったことはない。
縁がない人生なら、私は割り切って生きようと思っている。自分には関係がないのなら、他人の恋を傍観者として眺めて楽しむ。
自分の人生がエンタメではないように、他人の人生をエンタメとして楽しむのは不適切だし傲慢である。
だけれども、恋愛の部分だけは私が体験できない分、周りの人たちの話を聞いて面白がるぐらい許してほしい。
私にはまったく縁がないのだから、よろしく頼む。良い話を恵んでほしい。
終わり
