近頃はめっきりノートを使わなくなった。学生時代はもちろん、社会人になってから資格の勉強のために自分なりにボールペンでまとめた過去もあったけれども、本当にもう、暫く触っていない。これから先、必要が生まれてもルーズリーフ数枚あれば十分かもしれないし、そういう風に思うと、今や遠い存在である。
中~専門学生の春。科目ごとの最初の授業では1ページ目に妙に神経を尖らせて書いていた。綺麗な一冊にしたい、という思いからで、出だしこそ、その後も綺麗に書こうとするかを左右する重要な局面だった。変に消しゴムで消した跡が残るのも嫌だったし、特に赤のボールペンで記入する際は間違えないよう細心の注意を払った。後で二重線を引くのも、修正液ででこぼこさせるのも避けたくて、授業の内容を理解するよりも、内容を納得のいく形に残す方に躍起になった覚えがある。
今、母は漢検の勉強でノートを使っている。準二級と二級をマスターするのだと意気込み、問題を解いてわからなかった単語を何べんもノートに書き綴っている。母は覚えられればそれで良い、という人なので、赤、黒、青と、三色ボールペンのインクをそれぞれ空になるまで使い果たし、少しカラフルで、どこを開いてもペン跡が強く残る一冊になっている。母の使い込まれたノートの方がよっぽどノートらしいとしみじみ思った。
