遠く彼方に見える一筋の雲。
あれは飛行機雲だろうか。
その雲を見上げながら僕は煙草を吸う。
気づけば煙草で灰皿が盛り上がる程吸い殻で溜まっていた。
僕は食欲も無く、ある女の子の事をずっと考えていた。
あれから何年経っただろうか。
記憶も朧げで最後に食事をしたのはいつか覚えてはいない。
僕は正常なのか非正常なのかの判断がつきにくくなっていた。
何やらこの状態になってから脳裏にあの時の女の子の事が思い浮かぶからだ。
何故あの時あんな選択をしてしまったのだろうか。
と、後悔の念に付きまとわれる。
そろそろ食事をしないと、と思いながらも食欲がない。
また一本煙草を吸う。
夜になり真っ暗な空の中に幾つもある星を見上げた。
僕は一度だけ流れ星を見たことがある。
あの女の子と深夜に電話している時に見た。
どうやらその女の子も同じ流れ星を見たらしく二人で歓喜に沸いたのを覚えている。
僕は多分病気なのだと思う。
忘れられないあの女の子。
僕はあの女の子の事が忘れられずにいる。
この想いが思い出に変わるのはいつになるのだろうか。
僕は一緒に過ごしたその女の子の事を一つ一つ思い出した。
学校をサボって街中で一緒にデートをした事。
高層ビルの展望台で景色を眺めた事。
県外に行き一緒にショッピングをした事。
僕が病気を発病したきっかけはその女の子の影響だと思う。
しかし、今振り返ると24年前の遠い記憶に郷愁を感じる。
そして、24年経った今となっては良い思い出になっている。