わたしが尊敬している職業シリーズ 「樹木医」のこと。

「いよいよ今年も始まったな!どんな年になるかな?」と思ったとたん、悲しいことに元日から石川県の能登半島で大きな地震があった。能登の名物の朝市通りなど、地震と津波、火災などで町が壊滅状態という「…デジャヴ?」と思う映像に毎日心が痛い。私も一応約13年前の東日本大震災の経験者(山よりの地域に住んでいるので、うちの周りはみんなが報道で見るほどの被害はなかったけど…)なので、気持ちは少しだがわかる。「これからどうなるんだろう」「今、この状況は現実?」と何度思ったろう。当時、寒かったかも覚えていない。でも、近所のガソリンスタンドにタンクローリーを見たときや、ライフラインの3つが戻ったときのうれしさは忘れない。(あまりにうれしくて、一番最後にガスが通ったときにうちに点検に来てくれた埼玉のガス会社のおじさんと玄関で笑顔で写真を撮った)日常が戻りつつある実感を感じた。

私たちが住む日本には四季があり、一年中あちこちで色とりどりの景色、植物が観られる。観光スポットから、近所の公園、向かいの家の庭の植木、学校の花壇…
私の住む仙台も、伊達政宗公の政策のおかげで今では「杜の都」と言われていたり、仙台を象徴する美しいケヤキ並木もある。
それらを私たちが当たり前のように見れるのは、ある人たちの存在なくしてはできない。植物はふだん自分たちで生きているけど、災害にあったり、病気になったら助ける人間がいる。いわば、「木のお医者さん」。
正確には「樹木医」だ。
「樹木医」は、意外に歴史は浅く1991年から始まった制度で、財団法人日本緑化センターが運営する。「樹木医」になるには、まず、5年以上(令和5年から「7年以上」だったのが短縮されたよ!)の実務経験(樹木の調査、診断、管理、公園緑地の計画・設計監理などに関する業務経歴)があることが必須。または「樹木医補」の認定を受けてから1年以上の実務経験があることが必要で、この条件をクリアしてやっと樹木医研修受講者選抜試験を受けることができ、試験に合格すると樹木医研修を受講、資格審査を経て「樹木医」の資格を取得できる。
「樹木医」の診る樹木は、公園の樹木、街路樹、天然記念物に指定されるような有名樹木から、一般家庭の庭にある樹木まで幅広い。木や枝の間引きの仕方、病気の予防対策などの指導(日光や栄養が行き届くようにするなどの手入れ方法)も行う。


★いつも「今年の干支(えと)は?」と使っているけど、実は「干支」は「かんし」と読むのが正解。「干支」という言葉は、「十干十二支(じっかんじゅうにし)」を略した言葉で、「十干」自体は単体で用いられることはなく、「十二支(干支)」と合わせて使われる。
今年(2024)を「十干十二支」で言うと、「甲辰(きのえたつ)」の年。
→「甲」は植物の成長を表していると言われる「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」の「十干」の一番目。植物が固い種から芽を出す、強いエネルギーに満ちている状態を表し、ものごとの始まりを意味する。長期的な夢に向かって、新しいことを始めるのにもいい年と言われる。
→「辰」は「登り龍」など、上向きで縁起がいいと言われ、成長の年や、これまで努力してきたこと、準備してきたことが報われる年と言われている。

ちなみに前回の甲辰の年は60年前(1964年)、東京オリンピックがあった年。この年の日本は高度経済成長期の真っただ中で、これをきっかけに戦後だった日本は勢いよく復活し、その後もバブル崩壊やらリーマンショックやら、自然災害やら、何回も「今回ばかりはもう日本はダメだ!」と思っても、みんなで助け合って、なんとかここまできている。

東日本大震災のとき、東北の沿岸の植物や農作物が波を被って塩害で土地もろともダメになったと思ったけど、植物の根元は生きていて、新しい芽を出した植物もいっぱいあり、当時被災した人々の希望になった。

植物も種を蒔いたからといっても、すぐに花が咲くわけではない。
時間をかけて咲く。ときに人間の手を借りて、必死に、なんとか元に戻ろうとする。
東北のほうも、今、時間をかけて以前みたいに戻っている。新しいものも育っている。
月並みだけど、東北の復興を見てきたから言える。北陸のほうの人たちも、今は辛いけど(今は、生きてるだけで必死で辛いのかもわからない状況だと思うけど…)、困ったら、誰かに手を貸してもらってもいいから、叫んでいいから、あきらめないでほしい。希望を捨てないでほしい。生きてさえいれば、何とかなる。誰かが支えてくれる。
今回の震災も、ニュースを見て全国各地のみんなが、離れた場所でも何か自分にすぐできることはないか?と思っている。行政、他県の自治体、企業、募金、ボランティア…

たしかに、いまだに東北の方にも苦しんでいる人もいることも忘れてはいけない事実だ。でも、前に進むことができる人はどんどん進んで、みんなが前に行けるようになったときに歩く道を開いていけばいい。

甲辰の今年のラッキーアイテムは「植物」や「自然」らしい。だからって、いきなり観葉植物を買うとかじゃなくて、ちょこっとお花を部屋に飾ったり、樹木が多い公園に行ったり、野菜やフルーツを食べたり、植物柄の持ち物(傘とかハンカチとか)を持ち歩くだけでもいいらしいよ!
(この「樹木医」の記事を書いた私にも少しでもいいことがあればいいなぁ…そうだ、私は定禅寺通りに今すぐ行けばいいのか。また何か教えてくれるかも…)
みんな、今年も今の自分のできる範囲で行動しよう!前に行こう!立ち止まっているヒマはない。できないこともない!

私は東日本大震災のとき、不安なときに見た、停電で真っ暗な空にいっぱいのキレイな星たちも忘れない。上を向いて行こう。

人と人、人と植物、助け合って生きていく。


  • 0
  • 0
  • 0

パクチー

歴史、絵画・舞台鑑賞なんかが好きな、難病+障がい者の二刀流です。 興味があること、思っていることを書いてみようと思ってるので、 共感できるひと、気になったひと、ちょっと寄っていってください。

作者のページを見る

寄付について

「novalue」は、‟一人ひとりが自分らしく働ける社会”の実現を目指す、
就労継続支援B型事業所manabyCREATORSが運営するWebメディアです。

当メディアの運営は、活動に賛同してくださる寄付者様の協賛によって成り立っており、
広告記事の掲載先をお探しの企業様や寄付者様を随時、募集しております。

寄付についてのご案内