つぶやき~お母さん~

その日はかなり嬉しいことがあって
電話を切った後だった
寝っ転がってふと、自分の腕のにおいをかいだときだった

お母さんのにおいがする

ほんとうにびっくりした

まさか、お母さんのにおいが乗り移ってたなんて

そういえば、
うちのおばあちゃんのマミちゃんが言っていた

お母さんが亡くなってから
まるで、私にお母さんが乗り移ったかのように
お母さんにすごく似るようになったのだそう

兄への接し方も
とてもお母さんに似ているのだそう

マミちゃんが車で夜迎えに来てくれた時
遠くから見た私の姿がとてもよくお母さんに似ているのだそう

もしかしたら、本当にお母さんは私に乗り移ったのかもしれない

お母さんは私にとって女神だった
世界一自慢できるお母さんだった

そんなお母さんのもとに生まれて私は幸せだよ

私は将来お母さんのような人間になりたい
私が母親になったらお母さんのような、お母さんになりたい

お母さんはいつも私の話を
怒らず、否定せず、ずっと聞いてくれた
夢も応援してくれた
毎日学校であった話をうんうんと聞いてくれた
いつも優しかった
お母さんが一番の理解者だったから同い年の友達やほかの大人に相談話をする必要がなかった

私が小学生の時、学校の宿題で
「お母さんにとって自分はどんな存在ですか?って聞いてきてください」
と先生に言われて
お母さんに帰ってきてすぐに聞いたことがある

そしたら、お母さんは考えることもなく、すぐに答えてくれた
「沙彩はお母さんにとって宝物だよ」

今もまるで昨日のことのように覚えている

今になってから
兄から「実は僕お母さんに怒られたことある」
と初めて聞いて驚いているが、

私はお母さんに怒られた記憶がひとつもない

うちの家では
おじいちゃんがなくなったら愛犬のヒメちゃんにおじいちゃんのいびきが移って、ヒメちゃんがなくなったら、お母さんにいびきが移った
もしかしたら、今度はお母さんが私に乗り移ったのかもしれない
(私はいびきかいてません💦)

そういえば、お母さんの幽霊だったらとりつかれてもいいとあのとき思ってたっけなぁ

お母さんが天国にいったとき
私はお母さんのそばに行きたくて、お母さんのもとに行きたくて
電車の線路に飛び降りそうになったことがある
このままポンっと身を投げればお母さんのもとに行けるかなって
待っててね、お母さん。って

でもそのとき、
突然、お母さんに言われた言葉を思い出した
「沙彩、どんなことがあっても自ら命を絶つことをしていはいけないよ」

その言葉で私は慌てて駅のベンチにしがみついた
そして、自分の体が線路に行かないように座ったまま手すりにつかまって、必死に自分の体を押さえた

その言葉を聞いた当時の私は
どうしてお母さんがそんなことを言うのかわからなかった
たしかにいじめられていた時だったけど
自らそんなことするなんてさらさら考えていなかったし、
いじめからもお母さんとマミちゃんがちゃんと守ってくれていたから
そんなことありえないと思っていた
だから当時の私はお母さんに自信をもってこう言っていた
「なにいってるの?そんなことするわけないじゃん」

お母さんのメッセージに命を救われた瞬間だった

お母さんのエピソードはいっぱいある

おはやしの先生が
はじめて会ったとき、まだ私のこと何も知らなかったとき
私の背後に黄色いやさしい影が見えたらしい
それは私が一人でいるとき、寂しそうにしていると
そっと寄り添う影

おはやしの先生はその時思ったんだそう
「もしかして、沙彩ちゃんお母さんなくなってるのかもしれない」
私のお母さんがなくなっていることを知らなかったときからそれに気づいたおはやしの先生もすごい
きっとそのやさしい影はお母さん

おはやしの先生は私に教えてくれた
「お母さんはいつもそばにいるよ」

それは本当だと思う

ある日
私が夜自分の部屋で寝落ちしそうになったとき、肩にそっと誰かが手を置いた気がした
その手はきっとお母さん
「風邪ひくよ」って言ってくれたのかもしれない

お母さんが天国にいったあの日、
お母さんは夢に出てきてくれた
お母さんはベッドから起き上がって元気でピンピンしていた
そして私に
「沙彩、私死んだの?」ってキョトンとした顔で聞くから
「そうだよ」って答えたら
「えーっ!ウッソー!?」って女子高校生みたいにびっくりしていた
元気でピンピンしていて、元気すぎてちょっと生意気なくらいだった
そして私に
「沙彩、お母さんねぇ、もう体全然痛くないんだよ」
って言ってくれた
私は
「よかった~お母さんはもう体痛くないんだね」
と安心したと同時に
「そっか…お母さんずっと体痛かったんだ」
と思った
生前、いやな顔ひとつしなかったお母さん
私はずっとお母さんが体が痛かったことを知らなかった

私はここ最近、
ふるさとで兄とお母さんと私で出かけている夢を見る
そのときは夢だということも忘れて、あの時のようにみんなで楽しくお出かけを楽しんでいる
お母さんとは夢の中で会える
だからもう寂しくない

昨日ちょうどグループホームでみんなと話していた
「そういえば、お母さんなくなったのによくこんなに元気だね」ってね
それは沙彩ちゃんが成長したからだよって言ってくれる人もいた
それもそうだし
それに今私とてもしあわせなんだもんさ

当時
いろんな人が私のことを励まそうとしてくれた
お母さんは夜空にいるよ
お母さんは私たちの中にいるよ
そういってくれたけど
夜空なんて遠すぎるよ
私たちの中なんて、触れないじゃない
そう思っていた

当時の私の心も忘れたくない
だってその時の心を忘れてしまったら、過去の自分が悲しむから
今はそう思えるかもしれないけど
当時のそう思えなかった私も大切にしたい
そしてそっと「お母さんにまた会えるよ 生き返るよ」って言ってあげたい

今私はこうして
たくさんのお母さんに囲まれて生活している
これからこの先ずっとひとりぼっちだ
ふるさとの家みたいにあったかい家になんて二度と住めない
お母さんに二度と会えない
と思っていた私は

この家で
たくさんのお母さん代わりの人に囲まれて
ふるさとの家のようにあったかい家に暮らしている

大丈夫、私は絶対にひとりぼっちにはならない

お母さんが天国に行って
しばらくしたある日、高校の授業参観で
同級生のお母さんに声をかけられた
「沙彩さん、沙彩さん、お母さんなくなられたの?大丈夫?私ね、あなたのお母さんにすごく助けられてね 周りになじめなくて一人でいたところをお母さんが声をかけてくださったのよ それで今こうしてなじむことができたの」

私は唖然としていた
私はこの話を初めて聞いた
だってお母さんはそんなこと一言も言っていなかったから

ああ、お母さん、あなたなんていい人だったの

そのころにはお母さんがいなくなった悲しみも和らいでいて
私はその同級生のお母さんにこう言った

「お母さんはたった17年しか一緒にいられなかったけど、お母さんはたったの17年間で一生分を教えてくれました だから大丈夫です」

私はお母さんが自分だけじゃなくて、ほかの人も助けていたことを知ってとても嬉しかった
この人にとってもお母さんは恩人として映っているんだね

お母さんへ
私は今初めて同い年の友達に相談話を聞いてもらってます
大人より同い年の友達に相談したほうがいいような内容だったから
まだ同級生に相談するのも、相談して返ってくる大人のアドバイスも苦手だけど、大人と同い年と目線が違うことが分かったから、周りの大人の人がアドバイスがいやな時があるんだねと気づいてくれたから
いい方向に進んでいます

今しあわせな毎日を送っています
私はこの日常が好きです
たくさんの人に支えられて今こうして楽しく生きています
また 会おうね

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沙彩

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