うさぎのスノウ物語

白とオレンジ色のボディーのネザーランドドワーフは、静岡県で生まれました。生後二か月程になると、お母さんや兄弟とお別れして遠くの街に行きます。周りには自分と同じくらいの小さい子うさぎや、大人のうさぎもいました。最初はどきどきでしたが、人間が危害を加えてこないことが分かってからは、ケージの中でくつろぐようになりました。

ある日垂れ耳の大きな子と同じケージになりました。給水機の下でのんびりうたた寝していると、同居している大きな子が背中に乗って、お水を飲み始めました。重くてぐらぐらしますが、じっと耐えます。いつの間にか来ていた知らない人もこっちを見て笑っています。大きい同居うさぎが活発なのはいつものことで、また目が閉じていきます。

その日、初めてキャリーバッグに入りました。男の子だけどピンク色のバッグで、ゆらゆら揺れていると新しいお家につきます。日当たりのいい物件で、牧草もたくさん置いてあるお家です。同居うさぎもいなくて、人間以外の動物もいません。目の前には、この前大きいうさぎに踏まれているのを見て笑っていた人がいました。何回か近寄ってきたり手を出してきたので怖くてどきどきしていると、すぐに離れていきました。

『すのう』と呼ばれていることに気づいた頃、体がフィットするかごに入るのが好きになりました。なでなでにも慣れてきて、小さい人間が少し大声を出しても平気になってきました。たまに『けだま』とか『わたげ』とか言われながら、また温かい光で眠くなってきます。

かごが小さくなったのか、体が入らなくなった頃、お気に入りの人間ができました。他の人だと抱っこが怖くてすぐに降りたくなりますが、その人だと少し安心です。そうして暮らしているうちに、お家を広くしてもらったり、飼い主の前でも横になって眠れるようになったり、テレビがついたら見に行くようになりました。

かばんを背負った飼い主が、何百回と『いってきます』と『ただいま』と『かわいい』を言う日々が過ぎて、先月6歳になりました。好きな野菜はきゃべつです。もっと好きな食べ物はおやつの乾燥野菜です。何度も間違えられますが、女の子じゃないです。おもちゃをもらっても、そんなので遊ぶような子どもじゃないので咥えて投げます。トイレットペーパーの芯はおいしいので好きです。
春の日差しはぽかぽかしているので、最近の日中は日に当たりながらうとうとして、日が落ちたらなでなでされるのがお気に入りになっています。

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Snow

小説を書くことやハンドメイドが趣味です。動物も勿論大好きです! 小柄なうさぎを飼っています。コーギーのような柄の、立ち耳のネザーランドドワーフです。

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