スノウお迎え物語

小さいころから、動物を飼ったことがありませんでした。
潔癖で動物嫌いの家族がいて、また経済的な余裕もなかったためです。私自身は動物が好きで、近所の白猫ちゃんが散歩をしているのを遠目から眺めたり、小学校で出会った二羽のうさぎを眺めるのが好きでした。絶対に飼育委員に入ろう!と思っていましたが、その前に二羽ともなくなってしまいました。黒くてあまり人に懐かないココアと、白くて人懐っこいハッピーを、今でも覚えています。思えば当時から、猫や犬よりもうさぎが好きでした。
引っ越しや転校、慣れない環境での人間関係は、人見知りの私にはとても大きな壁でした。この頃は家庭環境もあまり良くなく、学校でも家でもストレスがあり、不登校になって人と関わらなくなりました。高校に入ってからはある程度精神も安定していきましたが、不安障害の病名が分かるまではずっと苦しみ続けました。

そんな中ペットショップ巡りが好きになって、家族と小動物売り場を眺めていると、変わった色のツートンカラーの子うさぎがいました。これがスノウとの出会いです。
同居うさぎは体が大きく、子うさぎはうさ社会での荒波に耐えているようでした。踏まれたり水をこぼされたり、それでもあまり気にする様子もなくマイペースな子うさぎを見て、家族はこの子だ!と思ったそうです。我が家では大きい声や物音をたてる特性のある人がいて、繊細な性格の子は向いていなかったんです。
元々うさぎを飼ってみないかという話は家族であがっていましたが、動物を飼うという責任に私は不安で、うさぎについてたくさん調べていました。名前を決めるのにもたくさん悩みましたが、結局一番最初に浮かんだスノウに決めました。雪のようにぽわぽわした淡い色の子うさぎだからです。キャリーバッグは青とピンクが売ってありましたが、女の子みたいに可愛い見た目のスノウにぴったりだと思い、ピンクを選びました。丁度過ごしやすい春、我が家のリビングの一角にうさぎのお家ができました。

後から家族に聞くと、この頃の私は傍からみても『やばかった』らしく、相当気持ちが病んでいたのだと思います。
お迎えしてからは、まだ二か月の子うさぎのためすぐに触らず、離れて見守りました。しかしすぐに家に慣れたようで、足をしまって箱型になっては家族と『何あれ!?』と話し、他の子より耳が短いからか、顔をくしくしと前足で整えても耳に届かず、何度も空振りしては家族と笑って、我が家に会話が増えました。自室に籠ってばかりだった私もスノウを見るためリビングで過ごすようになり、今でもスノウの会話が毎日繰り広げられます。私は一日何回可愛いと言っているんでしょうか…。大抵スノウを形容する言葉はIQが低くなりがちです。動物飼いさんあるあるではないでしょうか。
我が家のアイドルが、何歳になっても、歩くのが大変になっても、目が見えなくなっても、どうなろうとずっと可愛がって過ごしていきます。

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Snow

小説を書くことやハンドメイドが趣味です。動物も勿論大好きです! 小柄なうさぎを飼っています。コーギーのような柄の、立ち耳のネザーランドドワーフです。

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