水のあるところを歩くと目線が下にいく。波長を合わせた群れの影や、身体についた虫を落とすために跳んでできた水面の円から魚が泳いでいる気配を感じ取って、姿を探そうとする。特別深い意味はなくって、本当にただ、あ、いるな、ぐらい。自宅のすぐ後ろに川が流れていて、昔から、付近を散歩する際にはそうだった。
十月の半ば。北海道に旅行に行ったとき友人と支笏湖を周った。紅葉シーズン真っ只中なので湖を囲うように連なる山の景観はもちろん素晴らしかった。よく貼れた日だったので湖自体も透き通っていて、橋を渡る最中に見下ろすと水底の石の形まではっきりわかるほど、自然の質が高かった。泳いでる魚(ヤマメとか? 恥ずかしながら魚の名称についてはあまり詳しくない)を立ち止まってしばらく眺めていた。ゆとりを払える機会を持つと、後で、何故か心が落ち着いてる。