1975-1997に日曜19:30CX系列で放送されていた「世界名作劇場」というアニメ枠がある。一部の年度を除き、原作を西洋で書かれた海外文学(主に20世紀初期以前)としていることが大きな特徴。
私は一部の作品の世代であるが、ほぼ未見であった。2022年にAmazon Prime Videoが上記シリーズの一部作品の配信を始めたことでシリーズにのめり込むこととなった。私には好きな脚本家(既に故人)がいるが、その脚本家が全話のシナリオを書いていた作品が「ロミオの青い空」という作品だった。脚本家の名前だけを目当てに観始めたが、児童文学の世界観に少年漫画のテイストを加えた作風にハマった。以降、他シリーズについても現在に至りサブスクリプションまたは無料配信で補える分については観ていっている。(現在は「愛少女ポリアンナ物語」を視聴中)
SNSでシリーズについて検索すると、面白いことにほぼ「情操教育によい」という意見で一致する。作品によってはいじめが顕著だったり、かなり辛い展開を強いられるが、観た作品を振り返ったり未見の作品でも他者の感想を読む限りでは、着地点としては概ね性善説や道徳に則って制作されている印象を受けた。落ち着いたノリの作品が多いため、好みとしては別れるだろうが、昨今のアニメ作品が合わないという方は一度観てみてもいいと思う。
私はシリーズの影響により、古典海外文学をよく読むようになった。全部で7〜10冊くらいある「赤毛のアン」のシリーズを別訳で二回読んだ。「レ・ミゼラブル」は難しい話であったことと、最初に手に取った本が抄訳だったため完訳でリベンジしたいところではある。個人的なお気に入りは新潮文庫版「小公女」だが、アニメ版がハードすぎると聞いているため、「レミゼ」共々原作のみの知識となっている。
アニメに話を戻すと、世界名作劇場のもう一つの特徴は淡白とした絵柄である。こちらもシリーズによって多少ばらつきはあるが、人気作品の場合はシンプルな絵柄であることが多い。おそらく初期スタッフが流れていったスタジオジブリと画風が似ているからだと思われる。私は最初絵柄についてウイークポイントだと思ったが(失礼)、シリーズを観ていくとこの絵柄でないといけないと思うから不思議なものだ。
※個人的に絵柄がとっつきやすいシリーズはキャラクターデザイナーがスタジオジブリ作品の作画監督であった「赤毛のアン」「愛の若草物語」「ロミオの青い空」かなと考えている。演出的には「母をたずねて三千里」「あらいぐまラスカル」も秀逸。
※「赤毛のアン」までの作品はガンダム参入前の富野由悠季氏もコンテを書いていたりする
先述した通り、私はまだ全てのシリーズを視聴したわけではないし怖くて視聴できない作品も結構あるため、そこまで詳しく語れるわけではないが観ていった作品で人気作品とされる作品は全て面白かったため、自分の肌に合うアニメシリーズだと考えている。
シリーズで個人的におすすめなのは、4クール作品の視聴が苦痛でなければ「三千里」「ラスカル」「アン」、比較的短い作品である必要があるなら「ロミオ(全33話)」かな。どれも画面的に美しく、道徳的にもバランスがとれているかと。
公式に望むことはサブスク未解禁の作品をどうにかして欲しいくらいだが(復活も特に望んでなかったりする)、新しくBlu-rayをリリースする際は画角を4:3にしてくれると嬉しい。配信であれば別に16:9でも構わないんですが、ソフト化するならば放送時の画角のままリマスターをお願いします!
