TRPGシステム解説 シノビガミ編

 TRPGのシステムを解説していきます。
 今回は影の世界で暗躍する”シノビガミ”について解説します。

シノビガミとは?

 世界の裏側に潜む”忍者(シノビ)”となって目的のために暗躍するシステムです。

 公開される表向きの使命を隠れ蓑として、隠した本当の使命を達成するため、時に協力し、時に騙し合い、奔走するシステムとなっています。

世界観

 基本的に現代社会を舞台としており、忍者達は表の世界に溶け込んで日常を生活しながら、”忍びの世”と呼ばれる影の世界で日夜争いを繰り広げています。それは、表には秘匿されており、一般人の目には入りません。

 忍者は”六大勢力”または ”六大流派”と呼ばれるものに所属しており、思想や立場の違いから敵対や協力を行っています。

 忍者は皆、古事記にて存在が語られている”忍神”の子孫であるとされ、絶大な力を持った忍神は全ての願いを叶える秘術”天上天下”を扱えると伝わっています。忍神は死後、肉体が六つの”神器”に分かれたと言われており、それぞれが別々の流派に受け継がれていましたが、数年前に忍神復活を目論んだ1つの流派が全ての神器を強奪し、数千人の命と神器を贄として忍神復活の儀式を実行しました。復活自体は他の流派により阻止されましたが、その際に神器はさらに細かく欠片となって各地に散らばってしまいました。
 神器は欠片であっても大きな力を持っており、取り込むことで他の忍者とは一線を隔した力を手に入れられるため、多くの者が欠片を手に入れようと争っています。

システムの特徴

 シノビガミの特徴を解説していきます。
 一部の解説がかなりの長さとなったため次回に回すことにしました。

  • GMとPCの呼称

 シノビガミでは特別な呼称はありません。

 PC達は忍者と呼ばれる存在ですが、忍者はNPCにもいるためPCのみを指して忍者とは呼びません。

  • 判定方法

 シノビガミは2D6を使った”サイコロ・フィクション”というルールが採用されています。

 これは、6つの”分野”にそれぞれ11個の”特技”からなる計66個の特技が書かれた表を使った判定方法です。取得している特技から判定する特技までのマスの数だけ基本難易度から難易度が上昇していきます。
 例えば、判定する特技が取得している特技から3マス離れていたとすると、シノビガミの基本難易度は「5」なので3足して難易度「8」を2D6で判定します。
 特定の能力を持っている場合は最上段と最下段、右端と左端が繋がっているものとして判定することができます。

  • スペシャルとファンブル

 判定の大成功と大失敗です。

 スペシャルとファンブルは以下の条件と効果を持ちますが、ファンブルは通常時と戦闘中で条件と効果が変わります。

1.スペシャル:条件は出目が「6」のゾロ目であること。効果は判定が成功となり自分の”生命力”または状態異常である”変調”を1つ回復します。

2.通常時のファンブル:条件は出目が「1」のゾロ目であること。効果は判定が失敗となりルールブックのファンブル表を振り適用します。

3.戦闘中のファンブル:条件は次回の戦闘の項目で解説するプロット以下の出目が出ること。効果は”逆凪”という状態になりラウンド中判定できなくなります。

 スペシャルとファンブルは状況次第では何の影響もないことがあり、通常は出たら何かあるくらいの感覚で大丈夫です。戦闘中は戦局を左右する重要な要素なので注意しておきましょう。

  • 使命

 セッションでPCが行動する目的です。

 使命にはセッションの導入で全体に公開される”表の使命”と後述する”秘密”として隠しておく”本当の使命”があります。
 使命は達成することで後述する功績点を獲得することができますが、この時に達成するのは本当の使命の方でなくてはなりません。
 表の使命はあくまでその状況に関わるための建前ですので、達成しても意味はなく、本当の使命を最優先して動くことになります。

  • 秘密

 セッション開始時に全員に配られる個人情報であり、本当の目的です。

 シノビガミの根幹を成すルールであり、最重要の情報です。PCは全員持っており、本当の使命が書かれています。
 秘密は最初は基本的に自分しか知らず、他人のものを知りたい場合は後述する”情報判定”を行い調べる必要があります。
 秘密の情報によって敵対関係が変化し、表向き敵対していても裏では繋がって協力していたり、表の使命が本当の使命と同じだったり、第3の目的のために動いていたりなど秘密によっては協力シナリオのようで全員敵対していたり、バラバラのようで目的は一緒だったり、見た目とは全く違うシナリオであることも多くあります。

  • 情報

 セッション中にPCやNPC達が持つデータです。

 シノビガミの情報には秘密・居所・奥義の3種類があり、基本的にセッション開始時は自分の情報しか持っておらず、他人の情報は条件を満たすことで入手することができます。
 情報は他のPCやNPCに渡すことができ、これを使って他のPLと交渉することや特定のキャラクターに知ってほしい情報がある場合、無償で相手に渡してしまうことも可能です。ただし、自分の秘密だけは渡すことができないので、知ってほしい場合は自分を調べてもらうようにお願いするか戦闘中に次回解説する”回想シーン”というものを使う必要があります。
 それぞれの情報の入手方法と効果は以下に解説します。

1.秘密:情報判定を行う事で入手できます。本当の使命が書かれた情報です。

2.居所:情報判定を行う事で入手できます。持っていると後述するメインフェイズ中に戦闘を仕掛けることができます。

3.奥義:奥義を使用したキャラクターと同じシーンに登場していることで入手できます。持っている事で対象者の奥義の発動を阻止する”奥義破り”の判定を行う事ができます。奥義に関しては次回に解説します。

 情報はシノビガミを遊ぶ上でとても重要となり、セッション中は基本的にこれらを集めて決戦が有利になるよう立ち回ることになります。

  • 感情

 キャラクターの間で結ばれる感情です。

 感情は”感情判定”に成功する事で結ぶことができ、成功した後互いに感情表を振り、出たプラスかマイナスの好きな属性を選択して取得できます。感情にはいくつか種類がありますが、効果は変わりません。
 感情には以下の3つの効果があります。

1.情報共有:感情を結んでいる相手が情報を入手したときに自分も入手できます。ただ情報共有は連鎖することはないため、情報を入手した人に直接感情を結んでいる必要があります。

2.感情修正:感情を結んでいる相手の出目に修正をつけることができます。同じシーンに登場していれば、結んでいる感情がプラスの場合は「+1」、マイナスの場合は「-1」の修正をつけられます。

3.戦闘乱入:感情を結んでいる相手が戦闘を仕掛けるまたは、仕掛けられた時にその戦闘に乱入することができます。

 感情は結んでいれば基本有利になるため積極的に結んだほうがいいですが、プラスとマイナスの選択を間違うと不利になってしまう事もあるため、ある程度は状況を見て決めたほうが無難です。

  • セッションの進行

 シノビガミではシーン制が採用されています。

 シノビガミのセッションは導入・メイン・クライマックスの3つの”フェイズ”に別れており、それぞれのフェイズで必要なシーンを全て描写することで次のフェイズに進行します。シーンはマスター・ドラマ・戦闘の3つがあり、状況次第でシーンが切り替わります。
 まずそれぞれのシーンについて解説します。

1.マスターシーン:シナリオ中にGMが好きなタイミングで発生させることができ、必要に応じて様々な状況を描写したり効果を発生させることができます。

2.ドラマシーン:メインフェイズ中にPLが発生させることができ、発生させたPLがシーンプレイヤーとなり、PCの行動を行います。
 ドラマシーンでは行動によって情報判定や感情判定など多くの判定が発生しますが、GMに指定されていない場合、シーンプレイヤーが判定の特技を選択することができるため、難易度は「5」であることがほとんどです。これは約83%で成功するので、ドラマシーンでの判定は大体成功すると考えてよく、これにより情報は基本ばれると考えていいです。もちろん立ち回り次第では隠し通すこともできます。
 このシーンにはシーンプレイヤーが許可したPCとGMが許可したNPCしか登場できませんが、特定の忍法を使用することで無理矢理登場することもできます。

3.戦闘シーン:メインフェイズ中に戦闘が発生した場合に切り替わります。戦闘シーンでは生命力に1点でもダメージを受けると脱落となり、1ラウンド終了時点で戦闘終了となります。
 戦闘終了時に残っているのが1人の場合は勝者となり、戦闘に参加したPCが持っている情報を得る・好きな感情を相手に取得させる又は自分が取得する・プライズと呼ばれるアイテムを奪うの3つから選択して戦果として得ることができます。2人以上残った場合は勝者なしとなり誰も戦果を獲得できません。
 クライマックスフェイズの戦闘はいろいろ条件が違うので、次回で改めて解説します。

 次にそれぞれのフェイズでは以下の状況が発生します。

1.導入フェイズ:今回のシナリオにPC達が関わることになった表面的な経緯を描写するフェイズです。それぞれのPCの導入部分をマスターシーンで描写し、全員分終わるとメインフェイズへ移行します。

2.メインフェイズ:PC同士が情報収集や使命達成のための行動を行うフェイズです。基本的にドラマシーンで進行され、戦闘が発生すると戦闘シーンが挟まり、シナリオの進行度合いによって必要であればGMがマスターシーンを挟みます。シナリオに設定された条件が満たされることでクライマックスフェイズへ移行します。
 メインフェイズでは各PLが1回ずつドラマシーンを行うことを”1サイクル”と呼び、このサイクルを重ねていくことでシナリオを進行します。

3.クライマックスフェイズ:PCやNPC達が使命達成のために最後の戦いを行うフェイズです。戦闘が発生しますがマスターシーンとして扱われ、最後の一人になるか、戦場に残っているキャラが全員戦闘の意思が無いことを宣言するか、設定された条件が満たされるまで続きます。

 メインフェイズの終了条件に制限はありませんが、設定される条件は「サイクル数が設定された回数に到達する」が多く、あまり他の条件は設定されません。理由としてはPL達が自分の有利な状況にするためにわざと条件を満たさないようにしてしまったり、セッションの流れ次第では条件を満たすことが不可能になり詰んでしまう恐れがあるためです。
 さらに忍法の中にはメインフェイズ中にも使えるものもあり、膨大な数のサイクルを使えば自分以外のPCとNPCをクライマックスフェイズ前に全滅させることも可能です。これらのシナリオを崩壊させる危険を防止するために終了条件は設定されたサイクル数であることが多いです。クライマックスフェイズ終了後はエンディングと各PCのエピローグを描写してセッション終了となります。

  • アフタープレイ

 シノビガミのアフタープレイでは功績点の計算や使命の達成の確認を行います。

 ”功績点”は他のシステムで言う経験値に相当し、これを使用することでPCが強くなっていきます。獲得方法は使命達成・クライマックスフェイズ終了まで脱落しない・よいRPをする・参加者の投票によるシナリオを盛り上げたMVP・流儀または仇敵の達成・プライズを獲得するの6つです。この中で使命達成のみ功績点が多く獲得できるので、より使命の重要度が増しています。条件の内”プライズを獲得する”はセッション中に一度でも持てばよく、全員で順番に回せば全員獲得したことになります。
 次に使命が達成されていない場合、その使命がPCにとって特別重要なものであるとGMやPLが考えたとき、”忍務失敗表”を振ります。忍務失敗表は”弱点”というPCに不利な効果を与える制限が載っていて、出目に対応する2つの弱点から選択して獲得します。そのためPCは弱体化することになるのですが、弱点は取得時に制限の代わりに功績点を与える効果があり、悪いことばかりではありません。
 ですが、忍務失敗表によって既に持っている弱点を獲得した場合、1D6点の功績点を失う事となり、マイナスになってしまうとキャラロストになってしまいます。
 シノビガミでは珍しいPLが望まないキャラロストであるため使命は基本達成したほうがよいです。
 功績点はPCの他システムのレベルに相当する”階級”を上げたり、忍具を一時的に追加したり、弱点の逆でPCに有利な効果を与える”長所”の獲得に使用することができます。

最後に

 シノビガミはPVPシナリオも多く、PC同士で敵対することは珍しくないので、結果次第ではPLごとに勝ち負けが発生することになります。
 セッション中に判定があまり成功せず、交渉も上手くいかずにクライマックスまで行ってしまい敵味方と使命の達成方法が分からないために結局何もできなかったり、本来は三つ巴の戦いのはずが相手の交渉により2対1にされてしまい、一方的にやられてしまうこともあります。
 このように思い通りの行動ができず、悔いが残る負け方をしてしまう事が多くありますが、これらを引きずって他の参加者に当たるのは絶対にやっていけません。割り切ってプレイしましょう。

あとがき

 今回はシノビガミの解説をしましたが、また長くなったために分割することとなりました。
 こうなるのならば最初のD&D解説の時も2つに分割してもっといろいろ解説すればよかったとちょっと後悔してしまいます。
 分割した内容はキャラメイクと戦闘周りの解説です。キャラメイクは要素が多いだけですが、戦闘は結構独特で解説が難しいところも多いです。

 次回はシノビガミの解説の続きを行いたいと思います。

画像参照元:https://bouken.jp/pd/sg/index.html

  • 5
  • 0
  • 19

6面

ゲームをよくプレイしています。コンピューターとアナログを問わずにプレイしており、コンピューターゲームでは主にアクション・RPG・シミュレーションを好んでいます。アナログゲームではTRPGをよくプレイしており、そちらについて投稿していきたいです。

作者のページを見る

寄付について

「novalue」は、‟一人ひとりが自分らしく働ける社会”の実現を目指す、
就労継続支援B型事業所manabyCREATORSが運営するWebメディアです。

当メディアの運営は、活動に賛同してくださる寄付者様の協賛によって成り立っており、
広告記事の掲載先をお探しの企業様や寄付者様を随時、募集しております。

寄付についてのご案内