TRPGシステム解説 ナイトウィザード編 その2

 今回はキャラメイクについて解説します。
 前回ナイトウィザードのシステムについて解説したときに長くなってしまったため分割しましたが、キャラメイクのみですと少々短いので、一部の魔王についても解説しています。

キャラメイクについて

 ナイトウィザードのPCはクラス・キャラクターレベル・属性・能力値・CF修正値・プラーナ・戦闘値・特技・装備の9つの要素で構成されています。他にも設定面のパーソナルデータというものもありますが、データ的には一切影響せず、特に制限もないので自由に決めて問題ありません。
 以下に9つの要素をそれぞれ解説します。

  • クラス

 他のシステムでいう職業です。

 クラスにはオーソドックスな”魔剣使い”や魔術師”、変わり種の”アイドル”や”転生者”、種族が変わる”吸血鬼”や”人狼”など「31種類」が存在し、その中から2つ選びますが2つとも同じでも問題ありません。クラスは数が多いため個別の解説は割愛します。
 クラス毎に使用できる特技の傾向や能力値が大きく変わり、戦い方が全く異なるのでやりたいことや他のPCのクラスなどを考慮して選択しましょう。

  • キャラクターレベル

 キャラクターの経験や強さを表します。

 通常はレベル「1」から始まり、基本的に1セッションが終了する毎に「1レベル」上昇します。GMが必要だと感じた場合は「2レベル」以上上昇させても問題ありません。
 レベルが上昇するとクラスチェンジするか特技を取得することができ、さらに戦闘値に計算式に応じたボーナスポイントを振ることができます。
 当然レベルが高い方がやれることが増えるので、面白さ重視で最初から高レベルのPCを作って遊んでみるのもいいと思います。

  • 属性

 能力値にボーナスを得ることができます。

 属性はそのキャラクターの運命や加護を表しており、光と法を司る”天”・闇と混沌を司る”冥”・大地と安定を司る”地”・海と調和を司る”水”・炎と破壊を司る”火”・大気と自由を司る”風”・虚構と無を司る”虚”の7種類が存在し、この中から根本的な属性となる”第一属性”と”補助的な属性となる”第二属性”を選びます。
 それぞれの属性毎に能力値やHPとMPへのボーナスが異なり、PCの能力を考慮したほうが強くなりますが、他の要素を塗りつぶすほどに強力なわけではないため、設定を重視して選んでも大丈夫だと思います。

  • 能力値

 キャラクターの基本的な性能を表します。

 クラスと属性を決定したら2つの要素の能力修正値を合計し、その後にどれか1つの能力値に1点のボーナスを加えることで能力値が決定されます。
 能力値には以下の6つが存在します。

1.筋力:力強さやタフさを表します。

2.器用:手先の器用さを表します。

3.感覚:五感や第六感の鋭さを表します。

4.理知:知識量や思考速度を表します。

5.意思:心の強さや忍耐強さを表します。

6.幸運:運の良さを表します。

 能力値は高い方が強いですがレベルアップで上昇することはなく、上げるためには後述する特技を取得して上げる必要があります。

  • CF修正値

 C値とF値を値分修正することができます。

 幸運の値から端数切捨てで算出され、これが高いほどC値とF値を大きく動かすことができます。
 ですが、幸運が高いということは他の能力値が低いということでもあり、幸運はCF修正値以外には影響しないので、幸運を重視しすぎると戦闘能力が低下することになります。
 クリティカルとファンブルはどんな値でも出るときは出ますし、出ないときは出ないのであまり気にしすぎないほうが良いです。

  • プラーナ

 使用することで様々な効果を得ることができます。

 世界観的には全ての物質が持つ生命力の様なエネルギーで、これをPCは使用していくつかの有利な効果を得ることができます。使用できるのは設定上、生命活動に必要な分を残した余剰分なので使い切ったからといってキャラロストしたりはしません。
 プラーナの使用による効果は以下の通りです。

1.達成値の上昇:全ての判定に2D6の達成値を追加できます。一度に複数消費してさらに追加することもできます。

2.ファンブルの打消し:ファンブルを打ち消してただの出目として扱うことができます。

3.ダイスロールのやり直し:判定でダイスを振った後にもう一度だけ振りなおすことができます。元の出目がクリティカルかファンブルだった場合は振りなおせません。

4.ダイス操作:ダイスの出目を「±1」できます。ファンブルの場合は操作できません。

5.戦闘不能の回避:戦闘不能になった際に2点消費してHP1で耐えることができます。

6.月匣の理の解除:フォートレスに設定されている月匣の理の効果を受けなくすることができます。効果を受けなくなるのは消費したPCのみです。

 他にもプラーナは一部の特技やアイテムのコストとしても使用するので、状況を見て使用するか温存するかを選択しましょう。
 初期値は「7-CF修正値」となり、CF修正値が高いとプラーナの量が少なくなるので、幸運が高すぎると戦闘力が低下する原因でもあります。

  • 戦闘値

 戦闘時に使用する値です。

 命中や回避、攻撃力など戦闘時に直接使用する値で、能力値から算出するものとしないものがあります。戦闘値は「10個」ありますが、それぞれの戦闘値の解説は割愛します。
 能力値からの算出をした後、選んだクラス・レベルボーナス・特技・装備による修正を加えて値が決定されます。

  • 特技

 キャラクターが持つ特殊能力です。

 特技にはクラス特技と一般特技の2種類が存在し、さらにクラス特技には自動取得特技・通常の特技・秘技に分かれています。
 自動取得特技はそのクラスになったときに自動で取得される特技で、秘技はそのクラスでなければ使用できないまたは効果を発揮しない特技です。
 特技には取得できるキャラクターレベル・スキルレベルの上限・使用タイミング・判定に使う値・対象・射程・代償・使用条件があり、これらを満たしていない場合は取得や使用ができません。
 初期作成では選んだクラスの自動取得特技2つ、他のクラス特技4つ、一般特技2つの計8つの特技を取得します。この時、選ぶ2つのクラスを同じにしている場合は浮いた自動取得特技1つ分の代わりに好きなクラス特技を取得できます。
 特技にはスキルレベルがあり、他の特技を取得する代わりに取得している特技のスキルレベルを初期作成では上限2レベルまで上昇させることができます。
 通常、特技はキャラクターレベルの上昇時にしか取得できませんが、一般特技は経験点を「5点」+名前の右についている「★の数×5点」消費することで取得できます。

  • 装備

 キャラクターが持つ武器や防具です。

 装備には武器・防具・装身具・魔装の4種類が存在し、それぞれ装備できる部位があります。部位には右手・左手・頭部・上半身・衣服・肩・籠手・その他の8種類があり、同じ部位には2つ以上装備することはできませんが、その他のみGMが許可すれば2つ以上装備可能です。その他はどの部位でもない箇所であり、乗り物や装飾品などが該当するため、同時に装備することが可能だと判断される場合があります。
 ナイトウィザードでは特定のクラスの自動取得特技で特殊な装備である”箒”を取得できます。この箒はクラスによって剣や銃、杖に鎧など見た目と性能が大きく変化し、箒毎に設定された”スロット”にオプションを付けることでカスタマイズすることも可能です。
 箒には飛行機能が備わっており、乗って飛ぶことにより一部のトラップなどを回避することができます。
 装備には重量が存在し、装備品の重量の合計が「筋力+レベル」を超えると一部の戦闘値にマイナスの修正が入ります。強力な装備ほど重量が高い傾向にあるため、PCの能力値を考慮して装備品は選択しましょう。

魔王について

 登場する個性豊かな魔王たちについて解説します。

 元々は魔王と侵魔は別の存在でした。魔王が表界に侵攻する際に本人では力が強すぎて世界結界を超えられないため、使い魔として生み出されたのが侵魔だったのですが、侵魔の中に力を付けたことで魔王を名乗るものが現れ、次第に境界線が曖昧になっていきました。
 このことに対して元から魔王であったものも特に咎めたりはしなかったので、現在では魔王は強力な力を持った侵魔であるとされています。

  • ”蠅の女王”ベール=ゼファー

 裏界の第一人者と目される強大な魔王

 最強の魔王ルー=サイファーが討伐された後に次に強大な力を持っていたことから裏界の第一人者とされており、空を飛ぶものを支配する力を持ちます。
 享楽主義者で争いごとをゲームの様に考えており、人間たちにも積極的にちょっかいを出すため、魔王の中で最も知名度が高く、その知名度は聖典に直接名前が載っているほどです。
 そんな性格のため当然ながら表界に何度も侵攻しており、そのたびにルールを設けウィザード側にもわざわざ勝ち筋を用意します。しかしながら、この用意した勝ち筋のせいで全て敗北しており、一部からはポンコツ魔王などと呼ばれてしまっています。ですが、もしこの魔王がゲーム感覚ではなく本気で侵攻を開始した場合、世界結界は破壊され人類はなすすべなく蹂躙されると予想されており、実際は人類がベール=ゼファーに遊び相手として見られているから勝てているにすぎません。
 外見はある学校の制服を着た銀髪の少女であり、人間と見分けがつきません。さらに、好奇心旺盛で流行などにも興味があり、表界によく侵入しているため街中でばったりと出くわすことがありますが、彼女はある意味人間に対して好意的なので余程失礼で怒らせるようなことをしなければ即座に敵対することはありません。

  • ”荒廃の魔王”アゼル=イヴリス

 その場に存在するだけで周囲の万物からプラーナを吸い尽くす魔王

 自身の周囲にある生物や非生物問わずに全てからプラーナを吸収し消滅させる力を持ちます。
 ですがその性格は、影響が出ないように周囲に何もない荒野で一人佇み、人間や侵魔問わず近づいてきたものに危険であるため離れるように警告したり、過去に対策をしていなかったために召喚され、滅ぼしてしまった街の跡地へ時折鎮魂に訪れるなど非常に善良です。
 そのため自分の力を忌み嫌っており、自虐的で内向的な性質が強く他者と関わろうとしませんが、寂しがり屋な面があるためかしっかりと力が外に漏れないように対策を施せば召喚に応じてくれることが多く、理由を真摯に説明するれば力を借りることも難しくありません。
 近年、ベール=ゼファーがこの魔王の力に興味を持ち交流を始めました。ベール=ゼファーはその強大な力によりアゼル=イヴリスの影響を受けずに接触が可能であったことで交流が続き、初めての友人として認識されます。ベール=ゼファーの方も最初は完全に利用するつもりで近づいたのですが、この孤独な魔王に対して情に絆されたのか必要以上に交流を重ね、力を利用するようなこともしていません。
 外見は銀髪で自分の力を抑えることができる特殊な加工を施した帯状の布を全身に巻いた女性の姿をしています。当然ながらこの布も力を完全には抑えられておらず、人前には自分から出ようとはしません。
 最近になってこの魔王がルー=サイファーの生み出した侵魔であったことが分かりましたが、ルー=サイファーが討伐された後も力が消えることなく発揮され続けたままです。

  • ”金色の魔王”ルー=サイファー

 かつて最強と言われていた魔王

 ウィザード達に敗北したことで力の大半が666個の”獣の欠片”として散逸してしまいましたが、新たに小さな少女として転生を果たしました。力をほとんど失った今でも裏界全体に大きな影響力を持っています。
 獣の欠片を全て回収することで完全な復活が可能であると言われていますが、何故かあまり積極的ではなく、今はほとんど活動せず落ち着いています。
 非常に傲慢で表界と裏界に存在する全てのものは自分のものであると考えていますが、力を持つ者に対しては彼女なりのリスペクトを持って接するため、自分を打倒したウィザード達には強い関心を示しています。
 外見はビスクドールを思わせる小さな金髪の少女であり、恐らく転生後の姿そのままです。転生体の影響を受けているのか言動が少しマイルドになっており、召喚の際の供物としてチョココロネを要求します。

最後に

 当然ながら人間のNPCにも個性的な者たちが多くおり、特に主人公的な立ち位置である通称「下がる男」”柊蓮司”はかなりのベテランでとても強いウィザードですがセッションに参加する度に学年やレベル、年齢など様々なものを下げられている不憫なキャラクターでもあります。

 ナイトウィザードは漫画化やアニメ化がされており、活字以外で公式リプレイを楽しむことができます。そして、このような形で展開されているということは、もちろん公式によるギャグ回の様なものもあり、本来は敵同士での絡みや人間模様が楽しめます。

あとがき

 今回はナイトウィザードのキャラメイクと魔王たちについて解説しました。

 魔王は今回解説した3人以外にもたくさんおり、みんな個性的で魅力的なキャラばかりです。個人的に私はベール=ゼファーが一番好きですね。
 実は世界観についてプレイするにはあまり影響がないことから、解説を省略した要素があったりします。省略したのは表界と裏界の成り立ちや世界結界を作った守護者ゲイザーについてなどについ手で世界観を理解するには重要ですが、カジュアルに遊ぶ分にはあまり影響しないと感じたのため、長くなると思いカットしました。気になる方は是非ルールブックを購入してみてください。

 次回は三つの剣によって作られた王道ファンタジー”ソードワールド”について解説したいと思います。

画像参照元:https://www.fear.co.jp/nw/index.htm

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6面

ゲームをよくプレイしています。コンピューターとアナログを問わずにプレイしており、コンピューターゲームでは主にアクション・RPG・シミュレーションを好んでいます。アナログゲームではTRPGをよくプレイしており、そちらについて投稿していきたいです。

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