今回はソード・ワールドのキャラメイクについて解説していきます。
前回は世界観やシステム面の解説をしていますので、良ければそちらも読んでみてください。
解説は最新版である”ソード・ワールド2.5”を基準としています。
キャラメイクについて
ソード・ワールドのPCは種族・生まれ・能力値・技能・冒険者レベル・戦闘特技・言語・装備・様々な戦闘に関わる数値・所持金の10個の要素で構成されています。他に経歴などのパーソナルデータが存在しますが、RP以外には関係ないので割愛します。
- 種族
ソード・ワールドには非常に多くの種族が存在します。
種族は一部の例外を除いて「生まれつき穢れを持たない人族」と「生まれつき穢れを持つ蛮族」の大きく2つに分類され、基本的にPCは人族の冒険者なので人族に分類される種族の中からなりたい種族を選択します。
種族ごとに別々の能力傾向と”種族特徴”という固有能力を持ち、さらに初期習得言語の違いや選択できる技能に制限がある種族も存在するため、自分がやりたいこととパーティー内での役割を考慮して選択しましょう。
選べる種族は基本ルールブック3冊だけで12種類あり、サプリメントを導入するとさらに増える上に、導入するサプリメントによっては蛮族のPCも作ることができます。そのため、種族の時点で選択肢が非常に多く様々な構成で遊ぶことができますが、初心者はデータの把握が大変なので、最初は基本ルールブックⅠの7種類で始めるといいかもしれません。
基本ルールブックⅠに載っている種族を一部紹介します。
1.人間
最も多く存在する人族で見た目も現実の人間と変わりません。どの技能にも適性があり、運命を切り開く力があると言われています。
種族特徴として”運命変転”を持ち、1日1回だけ判定のダイスを裏返すことが可能です。例として、ダイスの出目が「1と3の4」だった場合、運命変転で裏返すと「6と4の10」になります。

2.ルーンフォーク
第三文明期の魔動機文明時代に作られた人造人間です。肉体の構造は人間とほとんど変わらないため食事や睡眠を取りますが、人間と区別するためか首と体の一部分が硬質素材で覆われています。
魔動機文明時代の遺跡の中にはまだ動いているものがあり、そこで生産された者が地上に姿を表します。筋力と器用さに優れるため戦士や射手に適性がありますが、出自からか神の声が聞こえないため神聖魔法は使用できません。
種族特徴として”暗視”と”HP変換”を持ち、暗視は暗闇でも昼間と同じようにものが見え、HP変換は1日1回だけHPを好きなだけ減らしてMPを同じ値回復することができます。

3.ナイトメア
一部の人族から生まれてくる突然変異です。生まれながら魂に少量の穢れを持ち、極端に色白で頭に角が生えており、体にはあざがあります。どの種族から生まれたとしても種族の特徴を無視し、人間にナイトメアの特徴を持った様な見た目で生まれます。
穢れを持つうえ角によって生まれる際に母体を激しく傷つける事から多くの場合忌み子として忌避されますが、戦闘全般に高い適性を持つため冒険者には歓迎されます。
ただ、リルドラケンの場合は卵生なので母体を傷つける事がないこともあり、少し個性的な子供程度で特に忌避されたりはしないようです。
種族特徴として”異貌”と”弱点”を持ち、異貌は1日1回だけナイトメア独特の姿に変身することで魔法を使うために必要な動作がいらなくなり、鎧によるペナルティも無くなります。弱点は銀製武器と生まれた種族毎に特定の属性からのダメージが増加します。

この他にもファンタジーでおなじみのエルフやドワーフ、直立したウサギのような姿のタビット、植物から人族となったメリアなど数多くの種族が存在します。

- 生まれ
PCが生まれ育った環境によって初期習得技能と基礎能力値が変化します。
種族ごとに”生まれ表”が設定されており、そこからRoCで決定します。これは、やりたいことに応じた技能を生かしやすい能力値に調整するもので、後述する能力値のランダム要素でPCが弱くなりすぎて戦えないという事態を避けるためでもあります。
- 能力値
キャラクターの基本的な性能を表します。
能力値は生まれで決定した基礎能力値に種族ごとに決められた数の6面ダイスを振って出た値を足すことで決まります。ダイスは全体を通して3セット振り、それらから好きなものを選んで適用することができます。
能力値には以下の6つがあります。
1.器用度:手先の器用さと道具の扱いの巧さを表します。
2.敏捷度:動きの素早さと運動能力を表します。
3.筋力:力の強さを表します。
4.生命力:肉体のタフさと健康を表します。
5.知力:頭の良さと知識量を表します。
6.精神力:精神的な強さと魔法への抵抗力を表します。
能力値が決まったら”能力値ボーナス”という実際の判定や処理に使用する値を算出します。能力値ボーナスは能力値を「6」で割って端数を切り捨てた値となるため、何らかの方法で能力値を上昇させるときは6の倍数になることを意識するとよいでしょう。
- 技能
キャラクターが習得している技術や魔法の体系を表します。
技能は取得や成長させるための消費経験点が違う”テーブルA”と”テーブルB”の2つに分類され、テーブルBの方が消費経験点が少なく成長させやすいです。
技能には戦闘するためのものだけでなく、探索や知識と交流などの非戦闘用のものも存在し、基本ルールブック3冊だけで16種類あり、これらを組み合わせてPCの構成を作っていきます。初期作成であれば基本的にパーティー内で能力値を考慮して担当を決めて、好きな戦闘用の技能と担当した非戦闘用の技能をそれぞれ1種類ずつ取得することになります。
戦闘用の技能にもいくつか種類が存在し、物理攻撃の技能ですと防御力が高いものや攻撃のみを考えたものなどがあり、魔法攻撃の技能は属性を使用するものやゴーレムなどを作るものなど取得するものによって戦い方が全く異なります。
当然、技能もサプリメントを適用することで増やすことができ、選択肢が非常に多いです。その分、とてつもない数の組み合わせがあり、極まれば1回の手番で10回の攻撃を叩き込むようなこともできるようになります。


リルドラケンの重戦士 タビットの魔法使い
- 冒険者レベル
キャラクターの強さの指標です。
冒険者レベルは取得している最高レベルの技能と同じレベルになります。例えば、技能を10種類取得していても、技能の最高レベルが「2」であれば、冒険者レベルは「2」です。
冒険者レベルを上げることで一部の戦闘にかかわる数値が上昇したり、後述する戦闘特技を取得することができるので強くなりますが、一つの技能だけを上昇させてしまうと対応力が低く、罠などに掛かりやすくなるうえ、一部の判定では特定の技能を持っていない場合は成功しても得られる恩恵が少なくなるので、冒険者レベルだけを気にしすぎると思わぬところで不利になってしまうことがあります。さらに、ルールブックでは複数の技能を同時に伸ばしながら成長することを想定して敵の強さが設定されているため、1つの技能ばかり高くて他が一切育っていない場合、GMの難易度調整が非常に難しくなってしまいます。
これらの理由により冒険者レベルは急いで上げればよいわけではなく、ある程度遅くなったとしてもいくつかの技能を同時に伸ばしていったほうが良いです。
- 戦闘特技
戦いに使用する技術です。
戦闘特技にはダメージを上昇させるものや誤射をしなくなるものなどいくつもの種類があり、冒険者レベルが奇数に上昇する度に1つ習得しますが、特定の技能を持っていないと習得できないものもあり、これらをどのように組み合わせるかによって戦闘能力が大きく変化します。
戦闘特技には常時型・主動作型・宣言型の3種類が存在し、それぞれ効果の発動タイミングや制限が異なります。以下にそれぞれの詳細を解説します。
1.常時型:習得した時点から効果を発揮します。
2.主動作型:戦闘中に主動作を消費して発動します。原則1度に1つしか使えませんし攻撃もできなくなりますが、何らかの理由で主動作を複数回行える場合はそのたびに別の戦闘特技を発動させたり攻撃することも可能です。
3.宣言型:発動タイミングは戦闘特技ごとに違いますが、1回の手番に1つしか発動できません。これは主動作が複数回行えたとしても変わりません。
魔法は戦闘特技と違い、対応した技能のレベルを上昇させることで使用できる魔法が解禁されていきます。そのため、物理系の技能に比べやれることが多い分、データ量も多くなるので初心者は把握するのが大変かもしれません。
- 言語
キャラクターが習得している言語です。
言語には大まかにそれぞれの種族特有の言語、人族が共通して使用している交易共通語、蛮族が共通して使用している汎用蛮族語、魔法の体系ごとの言語の4つの分類があります。
当然、習得していない言語の言葉は分からないため、共通した言語を使えない場合は意思疎通することができませんし、敵の話している計画などや遺跡に書いてある文字が分からないので、ある程度パーティー内で習得言語はばらけさせておいた方が良いです。
PCは人族であれば最初から自分の種族の言語と交易共通語を習得しており、特定の技能を取得や成長させることで他の言語を習得していくことができます。
- 装備
キャラクターが装備している武器や防具です。
武器と防具には重量制限は特にありませんがランクや必要な筋力(必筋)が設定されており、特定の戦闘特技を習得していなかったり、能力値の筋力が必筋未満だと装備することができません。
さらに、魔法技能では防具の種類に制限があったり、魔法の発動体として特定の装備が必要です。
- 様々な戦闘に関わる数値
HPや命中力などの戦闘に関わる数値です。
基本値は能力値や能力値ボーナスと冒険者レベルや特定の技能のレベルを足して算出されます。その後、装備などの修正値を足して実際に使用する値が決定されます。
- 所持金
キャラクターが持っているお金です。
ソード・ワールドの通貨は”ガメル(G)”といい、初期作成でPCは「1200G」所持しています。この所持金を使い初期装備やアイテムを用意するのですが、足りない場合はGMや相手のPLが許可すれば他のPCから借りることも可能です。当然、収入が発生したら返すようにしましょう。
ただ、お金は装備やアイテムだけではなく前回解説した通り生活していくうえでも使用するので、依頼などの報酬を全額使い切ってしまうとそもそも生きていけなくなります。
最後に
ソード・ワールドではPCの経歴などのパーソナルデータを決める際にランダム表からRoCで決定します。これが非常に種類が多く面白い代物で、ロールで決めるととんでもない過去を持ったPCが出来上がることがあり、一部のPLの間では大惨事表などと呼ばれ楽しまれています。
ロールの場合のパーソナルデータの作り方は経歴表を3回、冒険に出た理由表を1回振って決めるのですが、冒険に出た理由表の方が曲者で、経歴表の結果が「故郷で楽しく過ごしていた」という感じになったとしても、冒険に出た理由表の結果で「故郷を滅ぼされた」なんてのが出たりすることがあります。ただ、こんなのは簡単に想像できる方で時には「神の声を聞き、神になるため」に冒険に出たなんて設定になることもあり、普通思いつかないようなPCが作れるので、是非一度はランダム表を振ってパーソナルデータを決めてみてください。
あとがき
今回はソード・ワールドのキャラメイクについて解説しました。
ラクシアには非常に多くの種族が暮らしていて、それぞれが複雑に絡み合っています。さらに個人的な思想により、蛮族でありながら人族の街で生活しているものやその逆のパターンも存在し、世界観の設定が非常に練られています。
そのため、初心者から熟練者まで長く楽しめるシステムとなっています。
次回は巨大な犯罪都市でチンピラとなり成り上がりを目指す”サタスペ”について解説したいと思います。
